いつの時代も「占い」は人気です。とくに最近は、コミュニケーションアプリ「LINE」が占いコンテンツに力を入れており、チャットやビデオ通話などでより気軽に体験できるようになりました。ただ、占いサービスの種類が増えすぎてしまい「どの占いが自分に合っているのかわからない」と迷う人も増えているようです。
そこで、目的に応じた占いの種類や、自分に合った占い師の選び方について、スピリチュアル分野の知見を活かし、スピリチュアル・ビジネス・コンサルタントとして活躍する有元裕美子さんに教えていただきました。
コロナ禍でタロットブームが到来!
占いの注目度には波があり、今は占いに対する世の中の興味関心が高まっている時期なのだそう。有元さんにその理由について詳しく教えていただきました。
「占いは、目に見えない超越的な力を前提としており、科学的に証明されているわけでもないため『怪しい』『怖い』と感じる方も少なくありません。そのため、怪しさや恐怖心を払拭してくれるような出来事があると、占いに対する世の中の興味関心がぐっと高まります。
とくにテレビの影響力は大きく、2005年から放送された美輪明宏さんや江原啓之さんが出演する『オーラの泉』は、占いを含むスピリチュアルブームの先駆けとなりました。その後、一度ブームは去ったものの、2020年から星ひとみさんらが出演する『突然ですが占ってもいいですか?』の放送がはじまったことなどで、再び占いに対する世の中の熱が上がってきているという状況です」(有元裕美子さん、以下同)
さらに最近の占いブームには、コロナ禍も関係しているといいます。
「先の見えない毎日に多くの方が不安を抱える今、モヤモヤとした気持ちのはけ口として、人に会わずに相談できるオンラインの占いサービスを選ぶ人が増えています。
なかには自ら占いを始める人もいて、本などで比較的簡単に習得できるうえ、ファッショナブルな見た目が魅力的なタロット占いが人気です。占い雑誌『My Calendar』が2020年秋号で『丸ごと1冊、タロット占い大特集』をしたところ、予約時点で前号の3倍以上の注文が入ったそう。タロット関連のグッズや書籍も飛ぶように売れているんですよ」
占いにはどんな種類がある?
占星術、手相、タロット占いなど、占いにはたくさんの種類があります。とはいえ、いまいち違いが分からないという人も多いのではないでしょうか?
「大前提として、占いは理論重視型と直観重視型の2種類に分けられます。それぞれの特徴と代表的な占術について説明していきましょう」
【理論重視型】
「生年月日や手相、タロットなど確かな証拠に基づいた占いです。中国式の分類の仕方だと、さらに細かく「命術」「相術」「卜術」の3種類に分けられます」
・命術(めいじゅつ)
「生年月日や生まれた場所など、個人情報に基づいた占い。代表的な占術には、四柱推命や占星術などがあります。一生変わることのない情報をもとにするので、性格や才能、運命などの生まれ持った特徴、人と人の相性などを占うのに適しています」
・相術(そうじゅつ)
「人相や手相など形に基づいた占い。代表的な占術には、人相占いや手相占いのほか、風水、姓名診断などがあります。その人のパーソナルな部分が反映された形をもとにするので、命術と同じく性格や才能、運勢などを占うのに適しています」
・卜術(ぼくじゅつ)
「タロットやサイコロなどを使い、『どのカードを引いたか』『どのサイコロの目が出たか』など偶然性に基づいて占う手法。代表的な占術には、タロット占いや易占い(※)などがあります。『これはやるべき』『これはやらないほうがいい』など、相談ごとに対してハッキリとした答えが出るので、未来の方向性を占うのに適しています」
※サイコロや筮竹という竹の棒を使って占う占術
【直観重視型】
「名前の通り、占い師の直観(ときには直感も)をもとにした占いです。占い師の直感や直観を使って、魂やオーラなどの潜在意識領域や守護天使、ご先祖、宇宙人など高次元の存在にアクセスして情報を引き出す方法を指します。水晶占いや霊視、霊感、チャネリング(※)などが直観型の占いに分類されます。占い方も答えの出し方もさまざまなので、どんな相談ごとが適しているかは占い師によって変わってきます」
※神や天使、魂など、高次元の存在からメッセージを受け取ること
占い師選びの3つのポイント
相談したい内容に適した占いを選ぶのも大切ですが、合わせて重要視したいのが自分に合った占い師を選ぶこと。有元さん曰く、自分に合った占い師に占ってもらうことで、終わった後に元気になったり、ワクワクしたり、「そうか」と腑に落ちるそう。大勢の占い師の中から自分に合った人を選ぶポイントについて確認していきましょう。
占い師選びのポイント1.
相談内容と占い師の得意分野が一致しているか?
「ほとんどの占い師がどんな相談内容の占いでも受け付けていますが、少なからず得意不得意があります。恋愛、仕事、健康など、どの相談内容が得意かはプロフィール欄に記載されていることが多いので、占い師のポータルサイトやお店のHPなどで確認してみてはいかがでしょうか」
占い師選びのポイント2.
占い師と自分に共通点があるか?
「例えば、前職が自分の職種と同じ占い師さんに仕事の相談をすれば、業界用語や業界の事情を理解したうえで占ってくれます。きっと業界のことをまったく知らない占い師よりも、腑に落ちる言葉をくれるでしょう。SNSやブログなどで、職歴や趣味、特技といった占い師のパーソナルな部分をチェックし、自分との共通点を探してみてください」
占い師選びのポイント3.
性に合う話し方をしてくれるか?
「ストレートにガツンと言ってほしいか、それともオブラートに包んでやさしく言ってほしいかは人によってちがうはずです。占い師本人が書いた文章などから、自分の性に合う話し方かどうかを掴んでみるとよいと思います」
占いサイトの有意義な使い方とは?
最近は占いサイトやYouTubeなどでも占いができるようになりました。「いきなり数千円も出して占ってもらうのは抵抗がある……」ということなら、まずはそれらを利用してみてもいいかもしれません。
「占いサイトやYouTubeは、不特定多数の人が見ることを想定している以上、どうしても一般論になってしまいます。そのため、抽象的な悩み(例:仕事の向き不向き)は占いサイトやYouTubeに頼り、より具体的な悩み(例:この業界や会社は自分に合っているのか)ができたら一対一の対面の占いで自分だけの答えを求めにいくといいかもしれませんね。
ただし占いサイトの中には、詐欺まがいのものも紛れており、気づかぬうちに1000万円もの課金をしてしまうといったトラブルも起きています。むやみやたらに会員登録をせず、できるだけ大手の占いサイトを使うようにしてください」
占い中に気を付けるべきことは「自分主体」と「包み隠さず伝えること」
占いを自分にとってより有意義なものにするために、占ってもらっている最中はどのような点に気を付ければいいのでしょうか。有元さんに、占い中の注意点についてうかがいました。
占い中に気を付けるべきこと1.
常に自分主体でいること
「占いの結果は、あくまでアドバイスのひとつです。たまに占いで示された方向にそのまま流れてしまう方がいるのですが、それでは占いが主体になってしまいます。占いを主体にすると今後また不安なことが起こったときに占いに答えを求めてしまい、次第に依存のような状態になりかねません。
そのため『この先こういうことがしたいと考えていて、そのためにはどうしたらいいですか?』など、自分の意思を持ったうえで占いにのぞむのがベストです。とはいえ今はまだ自分の意思が固まっておらず、『これからどうしたらよいのか』といった漠然とした相談をしたいケースもあると思います。そういうときは占いの結果を一意見としてとらえ、最終的な判断は自分で下す意識を忘れないようにしてください」
占い中に気を付けるべきこと2.
自分の情報はつつみ隠さず伝えること
「いい人に思われたいという気持ちがあるのか、自分の情報をすべて話さない相談者さんも多くいます。すると占い師は限られた情報でアドバイスをしなくてはならないので、『こういうこと?』などと相談者の胸の内を探るところから始まったり、結局的を射た答えをもらえなかったりします。より具体的なアドバイスをもらうために、自分の情報はつつみ隠さず伝えるようにしましょう」
占いは “人生に深みや彩りを与えるツール” になる
占いを「当たるか、当たらないか」という観点で楽しんでいる人も多いでしょう。もちろんそれも楽しみ方のひとつですが、有元さんは「占いを人生に深みや彩りを加えるツールとして使ってほしい」と話します。
「占いは私たちに『人知を超えた意見』『コミュニケーションの糸口』『自分や他人の新たな一面を知るきっかけ』を与えてくれます。そして、これらの要素を日常生活に活かすことで、人生に深みや彩りが加わっていきます。
恋愛、結婚、転職、病気など自分の人生にとって大きなイベントが起こると、きっと多くの方が『この判断で正しいのかな』『これから私はどうしたらいいんだろう』と悩むはずです。そのとき、自分や周りの人だけだと、これまでの経験や常識の範囲内の意見になってしまうと思うのですが、占いはもっと広い視野で提案してくれたり、予想だにしない方向性を示してくれたりします。
また、経験や常識の範囲を超え過ぎて、たまに奇想天外な結果が出ることもありますよね。ラッキーアイテムが『なんだそれ!?』と感じるようなものだったり、相性占い中に、超インドアな彼について『放浪癖があるから注意してください』と言われたり(笑)。本当にそのアイテムがラッキーか、パートナーに放浪癖があるかはわからないですが、少なくとも奇想天外な結果は会話のきっかけとなるはずです。
そして、占いは自分や他人の新たな一面を知るきっかけにもなります。『あなた、本当はこれも得意ですよ』『新しくこれを始めてみるとよいですよ』など、考えもしなかったアドバイスが飛んでくると、『じゃあ少し興味を持って取り組んでみようかな』と視野が広がったり、『苦手だと思っていたけど、意外とそうでもないのかな?』と思い込みが外れたりするかもしれません。
占いを通じて自分や他人について理解を深めることで、自分のトリセツも充実していきます。すると、ついイライラしてしまい自己嫌悪に至りそうなときには『今はそういう時期だから仕方ない』と思えたり、他人と意見が合わないときには『この子はこういう考え方だもんな』と納得できたり、少しだけ毎日が生きやすくなるのではないでしょうか」
占いは、今回お伝えしたポイントなどを参考にうまく使えば、自分の人生を大きく好転させるきっかけになり得ます。これまで「怪しい」「怖い」と敬遠していたなら、一度チャレンジしてみては?
【プロフィール】
スピリチュアル・ビジネス・コンサルタント / 有元裕美子
長年、シンクタンクにて、健康およびスピリチュアル分野等の研究・コンサルティング等に従事し、独立。執筆、講演、行政の委員・アドバイザー、メディアへのコメント等多数。著書に『スピリチュアル市場の研究』(東洋経済新報社)『「肥満解消」マーケティング』(日本経済新聞出版社、共著)他。