「台湾日帰り~!?」この計画を話すと誰もが同じ反応をする。だいたい海外旅行で日帰りするなんて考えたこともなかったし、JALとANAなどレガシーキャリアの割引切符には“最低滞在日数”というのが設定されていて、実質日帰りツアーなんて不可能だった。それがLCCの搭乗によってそれが実現できるようになった。ただし、それはフライトスケジュール次第。つまり、滞在時間があまりに短くなるようなスケジュールしか組めなければ日帰りには適さない。そこで白羽の矢が立ったのがPeachの「東京(羽田)-台北(桃園)弾丸スペシャル」だ。
このキャンペーンで企画されているフライトは、羽田空港を午前5時50分に飛び、台北・桃園空港には午前8時50分(現地時刻)到着。帰国は同じ桃園空港を20時45分(同)に飛び立ち、羽田には翌日未明の0時45分に戻ってくるスケジュール。台北では12時間近く、入国や搭乗手続きを踏まえても正味10時間ぐらいは滞在できる計算となる。
それだけではない。このキャンペーンで驚きなのはその料金。なんと往復で7000円なのだ。羽田と桃園空港でそれぞれ空港利用料が別途かかるのと、LCCでは必ず徴収される支払い手数料がプラスされるため、結果として1万2250円ほどにはなる。それでも東京から京都へ行く新幹線代片道運賃よりも安い計算だ。まさに破格の価格設定と言えるだろう。
ただ、このキャンペーンは「ハッピーピーチプロモ」として企画されたもので、購入時にいくつかの条件はある。ひとつは購入がモバイルサイト、もしくは電話によるコンタクトセンターのみでの受付となることだ。PCサイトからは入れない。また、コンタクトセンターで予約すると新規予約手数料として2160円が加算される。結果、この費用を節約するためにもお勧めはモバイルサイトからの予約だ。
ふたつ目は、このキャンペーンには「ハッピーピーチプラス」が設定されていないことだ。そのため、座席指定や荷物を預ける費用はすべてオプション料金が発生する。同時に受託手荷物もすべて有料なるので注意したい。
シートは広めの空間が確保できる「スマートシート」がお勧め
このプランそのままではシートの指定ができない。必要に応じてオプション料金を支払うことで指定は可能となるのだ。台北までは往路でフライト時間が4時間ほど。横の座席幅はレガシーキャリアと同等ではあるものの、正直言えば、人によってはスタンダードシートだとニースペースは狭く感じられる。そこで今回は、他に比べて足元のスペースが広い非常口列(12・13列目)の座席を選べる「スマートシート」を選んだ。指定料金は国際線なので片道1100円、往復で2200円がかかる。
この予約では前方2列目から5列目の全ての座席も選べるが、早めに降りられるメリットがあるだけで、シートピッチはスタンダードシートと同じ。非常口座席は緊急時脱出時の手伝いをすることが条件とはなるものの、広々とした空間を確保したいならメリットは大きい。ただ、12列目は、後ろも非常口座席なので緊急時の通路を確保するため、リクライニングが不可となっている。ついでに言えば、スタンダードシートで指定できる11列目も同じ理由でリクライニングはできない。よって、お勧めは13列目となる。
そのほか、最も高い「ファストシート」は1列目の座席が指定でき、ここは足元が相当に広い上に、一番早く降りられるメリットがある。それだけに指定料金は片道2200円と設定されている。「プレジャーシート」は前方6列目から11列目の全ての座席、並びに14列目から30列目の窓側の座席が指定でき、料金は片道850円。スタンダードシートでも指定料金は片道600円がかかる。
購入後も少し知っておきたいことがある。予約確認はモバイルサイトの「予約確認」のページまたはコンタクトセンターから、座席指定や受託手荷物の変更はコンタクトセンター(TEL:0570-200-489/通話料有料)での確認のみとなる。とはいえ、8日前になると登録したメールアドレスへ「ご搭乗前のご案内」が届く。これをプリントアウトして空港へ持参すればいい。
また、このプランは2017年1月22日までに購入できる期間限定キャンペーンであることも知っておきたい。土日祝日と12月23日~1月7日の期間も対象とはならない。それでも購入は空いていれば1日前の午前0時まで購入できるので、「急に台湾で小籠包を食べたくなった!」と思い立って出掛けるのも、このプランならあり!なのだ。
早朝便に乗るための羽田へのアクセスは大きな課題
次に考えておくべきは羽田空港へのアクセス方法だ。Peachでは国際線だとチェックインを50分前までに済ませるように案内しているが、そこから保安検査もあることを考えれば、理想的には2時間前には手続きしておきたい。しかし、当然ながらこの時間帯に電車やモノレールは運行していない。
一応、都心ターミナル駅から午前4時半前後に到着する早朝便のバスがあるが、ターミナル駅までの足が確保できるかが問題となる。そこで空港のロビーには前日の最終電車に乗って搭乗時刻まで待つ人が大勢いるわけだが、お勧めは1階のローソン前付近。ここは照明も暗めで仮眠するにも最適だ。食べ物や飲み物も安く手に入れられるのもメリットだ。
これらの事情を踏まえ、今回はマイカーを使うことにした。羽田空港国際線駐車場の料金は、入場から72時間まで24時間ごとに2100円。帰国が翌日の午前0時45分なので、再入国手続きの時間を踏まえても前日の午前2時以降に入場すれば24時間での料金で済む。
Peachのチェックインカウンターは3時20分にオープン。全員がカウンターの前に立って深々とお辞儀をした後、チェックインが始まった。Peachは自動チェックイン機で手続きするのが原則だが、羽田空港の場合はフライトの数が少ないこともあり、カウンターで行う。ここでパスポートと予約票を提出すれば手続きは終了だ。
日帰りなので預ける荷物はないと思うが(私の場合はリュック一つだけだった)、ある場合はカウンターへ向かいその手続きをする。受託手荷物料金は台北行きの場合、インターネットで予約すれば2800円/個だ。気をつけるべきは機内手荷物で済むと思っていたのに、サイズが大きく受託手荷物となってしまう場合。当日、カウンターでこれを申し込むと3880円/個となる。身の回り品1個の他、土産等の1個の計2個までは機内に持ち込めるが、重量は合わせて10kgまで。この辺りをきちんと把握した上で搭乗したい。
待ち時間はカード会社ラウンジを上手に使え!
保安検査を終えて出国。ここでも待ち時間はあるわけだが、ここで待ち時間を快適に過ごせるとっておき情報をお伝えしよう。それはカードラウンジを使う方法だ。LCCであるPeachにはJALやANAのような専用ラウンジは用意されていない。その代わりクレジットカード会社が提供するゴールドカードユーザーのためのラウンジが羽田空港国際線ターミナルには用意されている。ここを利用するのだ。
カードラウンジは「SKY LOUNGE」と「TIAT LOUNGE」の二つがあり、どちらも24時間オープン。出国手続きを終えると目の前に現れるエスカレータで4階まで上がると入口が見えてくる。入って右が「SKY LOUNGE」で、左が「TIAT LOUNGE」となる。これ以外にターミナルの増設に伴って追加された「ANNEX」がそれぞれのラウンジに用意されているが、オープンが午前7時からなので、今回のフライトでは使えない。
重要なのはこの二つのラウンジ、使えるクレジットカード違っている上に、その提供されるサービス内容が違うことだ。「SKY LOUNGE」は一般的なカードラウンジと同じく、ソフトドリンクが無料になるだけ。ビールなどのアルコール類は有料で、シャワーを浴びるのも有料だ。それに対し、「TIAT LOUNGE」はこれらがすべて無料となる他、パンやおにぎりなどの軽食までも無料で食べられる。中華航空やハワイアン航空、デルタ航空などのラウンジとしても使われているだけにその充実度には大きな違いがあるのだ。
ここまで差があるなら誰もが「TIAT LOUNGE」に入りたくなるが、実は入れるクレジットカード会社が限られている。それはトヨタ自動車が発行している「TS3カード」、ポルシェオーナーのための「ポルシェカード」、三越伊勢丹が発行している「MIカード」の4ブランドだけが対象なのだ。それ以外のカードは残念ながら「SKY LOUNGE」の方を選ぶしかない。同行者はいずれも1名まで無料では入れるが、それ以上は共に有料となる。
この中でお勧めのカードは「TS3カード」だ。中部国際空港(セントレア)に専用ラウンジを備え、ここでは軽い食事も用意されているなど、クレジットカード会社が提供するラウンジとしてはなかなかの充実ぶり。年会費は他のクレジット会社と同じ1万800円で、家族会員も1名まで無料で発行してくれる。これを使えば最大4人まで無料で入れることとなり、家族や友人達との旅行にも役立つ。同じゴールドカードを持つなら「TS3カード」はおすすめの1枚となる。
LCCなのに機内で映画やゲームが楽しめる!
搭乗時刻が近づいてきた。搭乗は機内の後方に座る人から順に始まる。Peachが使うエアバスA320-200は通路が1本で、後方席から入っていかないと流れが滞るためだ。シートに座り、ドアが閉まると電波の発信する機器の使用を控えるようアナウンス。いよいよ台北へ向けて出発だ。羽田を飛び立ち、雲の上に出るとちょうど朝日が昇るタイミングに遭遇。初日の出を拝んでいるような気分になる。
ここから4時間近くのフライトをどう過ごすか。JALやANAなどのレガシィキャリアでは大半が座席に個人モニターが付いていて、映画などを見て過ごせるが、LCCではそれらの設備は搭載されていない。Peachも同様だ。だが、Peachには奥の手があった。それはエンタメ用アプリ「high!」を使うことで、搭乗24時間前になると映画や機内誌、ゲームなどのコンテンツをダウンロードできるようになり、それらが機内で楽しめるのだ。中には有料コンテンツもあるが、人気ドラマなどは1話分だけを無料で楽しめたりもする。
エンタメ用アプリ「high!」をスマホにダウンロードすると、搭乗24時間前から様々なコンテンツがダウンロードできるようになる。機内モードのまま楽しめるのがいい
そして、機内では飲食メニューも用意されている。LCCであるため、飲物も含めすべて有料とはなるが、Peachならではのこだわりの期間限定メニューが用意されている。搭乗した11月には「フルーツ王国」として知られる和歌山県北部に位置する紀の川が生み出す「桃シャーベット」「いちじくシャーベット」が用意されていた(いずれも400円)。人気メニューとしては、フライドチキンチーズカレー(900円)、「たこ晶」のたこ焼(750円)などがある。その他、スナック類やカップ麺などのメニューも用意。人気商品などは売り切れになることもあるので、早めの注文がお勧めだ。
この日はラウンジで軽く食べたので、機内では食べないつもりでいたが、他の人が食べているのを見るとつい食欲を刺激されてしまう。思案したあげく、コーヒー(200円)と特製ピーチデニッシュ(350円)だけを食べた。
機内で食事をしながらアプリを楽しんでいると、あっという間に台湾だ。次回はいよいよ台湾上陸の様子をお届けする。