ビジネスシーンからオフの日まで、女性の足元にスニーカーはすっかり定着しました。とくに、きれいめなスタイルに合わせやすい“白スニーカー”は人気ですが、汚れの目立ちやすさに悩む声も聞かれます。また、秋以降になるとレザーブーツの出番も増えます。春夏に硬くなったり、カビが生えてしまったりしたブーツをまた“一軍”に戻すには、どんなケアが必要でしょうか?
靴のケア用品を取り扱う株式会社R&D「靴磨き女子部」の清水美帆さんに、白スニーカーとレザーブーツのケア方法を教えていただきました。
[ナイロン×スエード] コンビ素材の白スニーカーの汚れ落とし
一口に白スニーカーといっても素材はさまざま。最近では、アッパー(靴の足を覆う上部)に異なる素材を組み合わせ、機能性とファッション性の両方を追求したモデルが人気を博しています。一方で、このようなコンビ素材をどのようにケアすればいいか悩んでいる人も多いのでは? ここでは、ナイロンとスエードを組み合わせた白スニーカーの汚れ落としを紹介します。
【使用する道具】
左上から
・皮革製品専用 カビ除去・予防スプレー
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・シューキーパー
・ブラシ(馬毛)
・クロス(綿100%)
・スニーカー専用クリーナー 泡タイプ(さまざまな素材に対応したもの)
・こすり洗い用ブラシ(コシがあり小さめなもの)
・防水スプレー
【ケア手順】
1. 最初に靴ひもを外しておく
「シュータン(靴ひもの下の部分)も洗うので、最初に外しておきましょう。靴ひもは傷まないように、洗剤でもみ洗いします」(株式会社R&Dの靴磨き女子部・清水美帆さん、以下同)
2. カビを除去する
「靴のつま先部分に黒カビがわずかに発生していました。脱いですぐの靴を風通しの悪い場所で保管すると、カビが生える原因になります。まず、このカビを除去しましょう」
「黒カビが見られるつま先部分をカビ除去シートで拭き取ります。シートタイプのクリーナーなので、ナイロン繊維の隙間に入り込んだ汚れやホコリも一緒に取り除くことができ便利です。
この時、靴の内側も拭いておきましょう。スニーカーはつけ置き洗いをすると、内側の接着剤がはがれる可能性があり、おすすめできません。そのため、カビ除去シートで汚れを落とし、除菌しておくといいですね」
「同じ場所に何度も発生するような頑固なカビに対しては、カビ除去スプレーをしっかり吹きかけるのが効果的。内側にも吹きかけてカビを予防しましょう。カビ除去スプレーは、靴の素材に合ったものを選ぶのが重要です。このスニーカーは、一部にスエードが使われているので、皮革製品にも使用できるカビ除去スプレーを選びました。
カビ除去クリーナーで拭き取り、カビ除去スプレーを全体に吹きかけたら、1日置いてカビが消えるのを待ちます。それでも再発するようなら、もう一度スプレーし、さらに1日置きます。カビが再発しなくなるまでくり返してください」
3. シューキーパーや詰め物を入れ、つま先の履きジワを伸ばす
「スニーカーは甲のつま先部分に履きジワができやすく、そこに汚れが溜まります。シューキーパーなどで圧をかけ、しっかり伸ばすことで、履きジワに入り込んだ汚れを細かく落とすことができます。シューキーパーがない場合は、つま先部分がパンパンに張るように布などで詰め物をしてください」
4. ブラシで汚れ・ホコリを落とす
「アクティブなシーンで履くことの多いスニーカーは、泥汚れなどもこびりついています。ブラッシングは念入りに」
5. スニーカークリーナーでこすり洗いする
「今回使用した泡タイプのスニーカークリーナーは、スムースレザー、スエード、合成皮革、人工皮革、キャンバス、布地、ナイロンなど、多様な素材に対応します。複数の素材を組み合わせたスニーカーを持っている人には、どんな素材にも使えるクリーナーが便利です。
クリーナーを数プッシュしたら、小さめのブラシで円を描くようにこすり洗いしてください。スエード部分は優しめにブラシを動かし、ナイロン地の部分はたたき洗いするのがポイント。かかと、ソール、つま先という具合に、一カ所ずつ仕上げていきましょう」
6. クロスで泡を拭き取る
「こすり洗いが終わったら泡をクロスで拭き取ります。手ぬぐいや柔らかい綿素材のTシャツの切れ端でも代用可能です」
7. 防水スプレーで仕上げる
「最後に、撥水・防水効果のあるスプレーを靴から20cmほど離して、全体にまんべんなく吹きかけてください。週1回の使用が効果的です。防水スプレーはスニーカーの素材に合うものを選んでください」
Q.内側はどうやってケアする?
A.
「クリーナーシートで拭いたり、除菌・消臭スプレーを使用したりするのも一つの方法です。最近では、粉タイプのものも人気で、履く前に振りかけておくと、靴の中で菌が発生しにくい環境を作ってくれます」
Q.突然の大雨で内側までびしょ濡れに。生乾きのニオイが気になる……正しいケア方法は?
A.
「早く乾かすことが重要! 水気をできる限り拭き取ったら、風通しの良い場所で陰干ししてください。壁に立て掛けると早く乾き、カビの予防にもつながります。また、天日干しをすると素材によっては日焼けの原因になるため注意が必要です」
[シンセティックレザー] 光沢感のあるスニーカーのオリジナルの白さを少しでも取り戻す
きれいめなスタイルによく合う、シンセティックレザー(人工皮革)の白スニーカー。しかし、気づけば薄汚れ、仕事で履くのがはばかられる状態に……。とくに、アッパーにできた深い履きジワとソール側面の汚れは、どうしたら新品の白さに近づけられるでしょうか?
【使用する道具】
左上から
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・シューキーパー
・ブラシ(馬毛)
・補色剤(ホワイト)
・クロス(綿100%)
・こすり洗い用ブラシ(コシがあり小さめなもの)
・スニーカークリーナー 泡タイプ(さまざまな素材に対応)
・ソールクリーナー
【ケア手順】
1. コンビ素材のスニーカーのケアと同様、靴ひもを外し、カビを除去し、ブラッシングまで行う(コンビ素材のスニーカーのケア手順1~4を参照)
2. スニーカークリーナーでこすり洗いをする
「泡タイプのスニーカークリーナーを数プッシュし、小さめのブラシで円を描くようにこすり洗いしてください。履きジワが深い部分は、シワに沿ってブラシを動かします。メッシュ部分はたたき洗いが効果的。汚れが浮いてきたらクロスで拭き取ります」
3. ソールクリーナーでフォクシングテープの汚れを落とす
「フォクシングテープ(ソール外周)の汚れが落ちると、一気に清潔感が戻ります。指にクロスを巻きつけ、ソールクリーナーを吹きかけて拭いてください」
4. 深い履きジワやしつこい汚れには、白の補色剤を塗布する
「この時点で白さはだいぶ戻りましたが、深い履きジワやしつこい汚れが気になるなら、ホワイトのレザー補色剤を塗ってもいいでしょう。最後に、防水スプレーをかけて仕上げます」
Q.白スニーカーだからこその注意点は?
A.
「白スニーカーの場合、どれだけ早く汚れに対処できるかが白さを維持する鍵になります。汚れの付着時間が長いほど、汚れが落ちなくなりますから。外出先でもティッシュなどを使って可能な限り汚れを落としてください。また、汚れが落ちやすい環境を作るために、週1回の防水スプレーをおすすめします」
Q.真っ白にするため漂白剤を使ってもいい?
A.
「素材によっては繊維が脆くなったり、ソールがべたついたりする可能性があります。漂白剤の使用は推奨しません」
秋冬の出番前にすべき「本革ブーツ」のケア方法
しまいこんでいたレザーブーツをそろそろ一軍にもどす季節。履き始める前にどのようなケアをしておくべきでしょうか?
【使用する道具】
左上から
・皮革製品専用 カビ除去・予防スプレー
・皮革製品専用 カビ除去・予防シート
・保革栄養クリーム
・スムースレザー用クロス(起毛)
・馬毛ブラシ
・グローブ型クロス
・シューキーパー
【ケア手順】
1.ブーツの状態をチェックする
「チェックするポイントは3つ。乾燥して白茶けていないか。革が硬くなっていないか。ソールの接着剤がはがれていないか。革の乾燥や硬化が見られる場合は、栄養クリームを塗ります。ソールの接着剤の剥離が見られる場合は、修理が必要です。
また、カビが生えていないかもチェックしましょう。白い斑点状の模様が見られたらカビの可能性大。ナイロン×スエードのスニーカーで紹介したカビの除去方法(手順2)を試してみてください」
2. シューキーパーを入れ、馬毛ブラシで汚れ・ホコリを落とす
「シューキーパーを入れ、靴全体に圧をかけるとケアがしやすくなります。柔らかい馬毛のブラシで汚れ・ホコリを払ってください」
3. 指にクロスを巻き、保革栄養クリームを出す
「ポイントは、クリームを出し過ぎないこと。クリームが多すぎると、逆に艶が出なくなってしまうんです。片足に対して真珠1粒くらいの量があれば十分です」
4. 保革栄養クリームを塗る
「くるくると指で円を描くように塗り込んでいきます。最初は目立たないかかとの内側から始め、最後につま先を塗ります。革の色味が濃くなり、全体がしっとり柔らかい手触りになったら、栄養が行き届いたサインです」
5. 馬毛ブラシでクリームを馴染ませる
「通常、保革栄養クリームを塗った後は、硬めの豚毛ブラシで摩擦熱を起こし、クリームの栄養や油分を革に浸透させます。しかし、今回使用したクリームエッセンシャルは柔らかい素材でも十分浸透させることができるため、馬毛ブラシを使用しました」
6. クロスで磨いて仕上げる
「グローブ型のクロスを使用すると、クリームを効率よく均一に馴染ませることができ便利です。また、手順3で使用した起毛クロスのきれいなところを使って磨くことも可能です」
Q.カビが生えない環境を作るには?
A.
「カビが好む環境には、温度、湿度、汚れの3要素が関係します。まず、しまう前に汚れを落とすのは必須ですね。次に、通気性を確保しましょう。靴箱に穴をあけたり、風通しの良い部屋で保管したりするといいですね。
靴箱など、湿気がこもりやすい場所で保管するなら、湿度対策をしましょう。市販の除湿剤を設置したり、靴箱の内側を除菌シートで拭くだけでも効果はあります」
Q.ブーツを履き始めたら、お手入れの頻度は?
A.
「3、4回履いたら、手順2~6のお手入れを1回挟んでください。そのタイミングでカビ除去・予防スプレーまたはシートを使うと、カビが生える心配はなくなるでしょう」
Profile
株式会社R&D 靴磨き女子部 / 清水美帆
シューケア用品輸入販売商社 株式会社R&Dの女性社員を中心に立ち上げた「靴磨き女子部」メンバーの一人。専門知識に基づいた「大切な靴が何年も履けるような靴のお手入れ法」を雑誌、WEBメディア、SNSなど幅広いメディアを通じて発信している。
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