覗けば深い女のトンネルとは? 第6回「男の内緒話に潜むヒミツの萌えセリフ」
突然ですが、『流星の絆』というドラマを見ていた人はいますか? もう何年も前のドラマですが。あれで、めちゃくちゃ女性萌えするシーンがあるんですよ。
『流星の絆』は、東野圭吾原作の小説で、子どものころに両親を殺された3人兄弟が、その犯人を捜す物語。ドラマでは、兄を二宮和也、弟を錦戸亮、末っ子妹を戸田恵梨香が演じていました。脚本はクドカン。原作からかなりアレンジされたクドカン節爆発のストーリーで、和久井は小説・ドラマのどちらもたいへん楽しみました。
で、ドラマではかるーい詐欺をして生計を立てている3人。偶然犯人とおぼしき相手を見つけ、その息子(要潤)に近づき、彼の父親を逮捕させようと画策します。そしてその証拠づくりのために、戸田恵梨香は要潤に恋を仕掛けるんです。ところが、たいへんな問題が起こります。
ニノと錦戸くんが2人で話し合っているシーンでのこと。
錦戸「兄貴、あいつ本気だよ。あいつ戸神(要潤)が好きなんだ。本気で俺たちの敵の息子に惚れてるよ」
二ノ宮「知ってるよ。そんなのずいぶん前から気付いてたよ」
錦戸「いいのかよ兄貴」
二ノ宮「いいわけねえだろ!」
ここ、超絶萌えです。穏やかに兄弟で話し合っていたのに、突然叫ぶニノ。
「いいわけねえだろ!」
「いいわけねえだろ!」
「いいわけねえだろ!」
ああ……何度リピートしてもしびれます……。
男性には「はぁ……?」って感じでしょうか。しかしこの「いいわけねえだろ!」は、多くの女の心を捉えたシーンのようです。「あのシーンはよかった」という女子が周りにちらほらいますし、「見ながら自然と泣いちゃって、夫が不思議そうにしていた」という女友達もいました。
もう、何度見直したことか。「いいわけねえだろ!」
そもそもニノ演じるお兄ちゃんが、めちゃくちゃかっこよかった。ちょっと情けなくて、でも頼りになる。ニノのセリフの回し方ってとても自然で、そしてかわいらしいんですよね。
さてこの「いいわけねえだろ!」が、どうして萌えなのか……。説明が難しいです。
まずこの兄弟2人は、妹(戸田恵梨香)が好きなんですよね。だから、よりによって彼女が敵の息子に惚れちゃうのは、いろんな意味でいいわけねえんです。
そして、「そんなのずいぶん前から気づいてたよ」(←この言い方もカワユイ)と、笑みを浮かべながら余裕をかましていたのに、突然表情を変えて叫ぶんですよ。彼の気持ちの本気度が見えてグッときます。こういうところ、ニノはホントにうまいんですよ……。
錦戸くんのセリフを遮るように叫ぶところにもハッとさせられます。そうだよね、いいわけないよね、うんうん。
そしてその後、困ったように錦戸くんが目を伏せるのもリアルで萌えます。そうだよね、いいわけないよね、うんうん。
このように「いいわけねえだろ!」のひと言で、女は大いに共感し、共鳴し、そしていろんな妄想が頭からあふれ出してきます。
「そんなにニノは戸田恵梨香のことが好きなんだね……」が
「ニノはこんな風に女を激しく好きになる人なんだ……」になり
「ニノがこんなに私を好きになったら……」となります。
基本的に女は、クールな男性が好きです。すぐカッカきて暴れられたら、恐ろしくて仕方がないです。死んじゃうような目に遭うかもしれないし。「いいわけねえだろ!」は戸田恵梨香本人に叫んだら台無しです。マジで怖い。自分が叫ばれたら萌えません。……そう、この「いいわけねえだろ!」マジックは、自分は決して体験することのできない、ヒミツの萌えセリフなんです。
男の内緒話って、しょーもないのが大半なんでしょうけど、こういう内緒話は絶賛聞いてみたいです。