加熱式たばこIQOSの専用スティック「テリア」開発インタビュー。研究開発部門責任者が語った日本市場の重要性とは?

ink_pen 2025/9/18
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加熱式たばこIQOSの専用スティック「テリア」開発インタビュー。研究開発部門責任者が語った日本市場の重要性とは?
増谷茂樹
ますたにしげき
増谷茂樹

クルマ、バイク、自転車などタイヤの付いている乗り物が好きなライター。アウトドアやスポーツなど体を動かす系のネタも得意。エコ系メディア、デジタル系モノ情報誌、Webニュースで原稿を書きながら現在に至る。

現在、世界的に進行しているのが喫煙者の”煙が出ない製品”への移行です。2015年時点では1%だったユーザーは10年で41%にまで増加しています。その流れを牽引しているのが加熱式たばこ「IQOS」。人気を支えている加熱式たばこ専用スティック「TEREA(テリア)」のどこにこだわって開発しているのか、フィリップ モリスの担当者に聞きました。

加熱技術と味わいのバランスを重視

世界の加熱式たばこの市場を牽引しているのが実は日本。加熱式たばこデバイス「IQOS ILUMA i(イルマ アイ)」シリーズも世界に先駆けて2024年に日本で発売され、その後世界に展開していきました。現在では日本の約半数の喫煙ユーザーが加熱式たばこを選択していて、これも世界的に見て先駆的な数字。なかでもIQOSは日本国内でのユーザー数が1000万人を突破していて市場の成長を牽引する存在です。

このIQOS人気を支えているものの1つが、専用のたばこスティックです。IQOS ILUMA i(イルマ アイ)およびIQOS ILUMA(イルマ)専用たばこスティックであるテリアは、国内主要たばこ市場で売上No.1の地位を確立しています。

↑先日発表された数量限定パッケージのテリア「KIWAMIエディション」。「京源」の波戸場承龍氏・波戸場耀鳳氏によってデザインされた紋章とTEREAロゴが描かれています。現在販売中。

このたばこスティックの開発について、フィリップ モリス インターナショナルの研究開発部門の本部長を務めるマティアス・ビューラー氏と、同部門のフレーバリストであるフラビー・アラメンディ氏にお話しを聞くことができました。

↑フィリップ モリス インターナショナル VP イノベーション&プロダクトデベロップメント HnBを務めるマティアス・ビューラー氏(左)。グローバル・ヘッド・テクノロジー・デベロップメントのフラビー・アラメンディ氏(右)。

まずはテリアの開発において重視しているポイントと、自信を持っている成果について聞いてみました。

「重視しているのはIQOSの加熱温度に最適化された味わいと、たばこスティックのブレンド、そしてフレーバーという3つの要素のバランスです。加熱については、どの温度がより良い味わいを実現できるか、より喜びを提供できるかを研究し、精密にコントロールしています。この3つの基盤となる技術を確立できたことが、これまでの一番の成果だと考えています」(マティアス氏)

日本ではIQOSイルマとテリアが導入されたころから、急速にユーザー数が増えたとのことですが、この3つの要素が高い次元でバランスできたことがその理由なのかもしれません。

日本のユーザーの思考は和食に通じる!?

IQOSの工場とラボ(研究所)はスイスにあります。その場所で日々研究と開発を重ねているマティアス氏とアラメンディ氏。日本の市場が世界をリードしている状況についてマティアス氏は次のように分析します。

「IQOSは11年前に日本の愛知県・名古屋市とイタリアのミラノで販売をスタートしましたが、日本の消費者は非常に敏感にIQOSのメリットを理解してくれたと感じています。煙の出ない製品の利点を感じていただけたのは、この国の周囲の人たちへの配慮を重視する文化と関係があるでしょう。また、新しいテクノロジーに対しての関心が強いことも理由の1つだと考えています」(マティアス氏)

↑フレーバーについてはスイスの開発工場で400種以上のアロマを組み合わせ、ブレンドに2年以上かかることもあるとか。

日本向けのフレーバー開発についてはアラメンディ氏に聞いてみました。

「フレーバーの開発では、感覚に訴える感動と香り、そして味わいのバランスを重視しています。日本のユーザーについては、センセーションに対する希望は高いのですが、香りについては目立たない方がいい、味わいについては甘みを抑えた方がいいという思考があるようです。これは、瞬間を楽しむ和食と通じるものを感じます。香りや味わいが強くない方が好まれるのも共通する点ではないでしょうか」(アラメンディ氏)

↑フラビー・アラメンディ氏によれば日本向けに開発され、その後世界に広がったフレーバーも少なくないとか。

 「テリア初のカプセル製品『オアシスパール』は、日本のユーザーのみなさまが好む自然な味わいや甘さに合わせて、丁寧に味を調整して開発しました。その結果、カプセルカテゴリーでは日本国内No.1となり、人気の銘柄となりました」(マティアス氏)

日本市場の「こだわり」に対する取り組みを積み重ねた結果、テリアは加熱式たばこ製品カテゴリーのなかでも最多となる23銘柄を国内で展開。日本で生まれた味わいが海外に導入されるケースもあり、世界各国の製品戦略にも影響を与えているといいます。

 「日本市場の強いメンソール嗜好に合わせて開発された『ブラックシリーズ』は、現在では様々な国の市場にも展開されています。日本市場はイノベーション革新の出発点であり、世界を牽引するパイオニア的存在なのです」(マティアス氏)

テリアとセンティアの違い

同社のIQOS ILUMAおよびIQOS ILUMA i専用たばこスティックにはテリアと「SENTIA(センティア)」がありますが、両者の違いがどんなところにあるのかも気になるところです。

↑センティアとテリアの価格を比べると、センティアの方が少しだけリーズナブル。

「開発のプロセスに特に違いはありません。両者の違いは狙っている方向性で、テリアではより革新性を狙ってチャレンジングなことをしています。重層的な味わいだったり、複雑な香りを実現するためのブレンドといったことですね。センティアはよりメインストリームのクラシックな味わいを狙っていて、喫煙者により多様な選択肢を用意しています」(フラビー氏)

現在IQOSの事業は90か国ほどで展開しており、間もなく100か国になるという。最後にこれから取り組んでいく課題について聞きました。

「日本では喫煙者の半数が加熱式に切り替えていますが、日本以外ではその割合はもっと多いのです。残りの半数の人たちの、加熱式に切り替えてもらう方法を見つけることが課題だと考えています。どうすれば煙の出ない製品に切り替えてもらえるか、そのためにはどのような体験を提供できるのかを考え、日々研究開発に取り組んでいます」(マティアス氏)

↑9月17日に発売を予定している、103台限定の「IQOS×京源」コレクターズボックス。「梅桜」の紋が印字された特別仕様のIQOSとKIWAMIエディション全16銘柄を収納できる。
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