「冷えは万病の元」とはよく言ったもの。家族揃って冷え知らずで冬を乗り越えるためには、どんな食材を積極的に摂ったらいいのでしょうか。
今回は、現役の小児科医として働きながら8歳、5歳、2歳(双子)の4人の子どもを育てているYouTuber「女医の日常」さん(以下、女医さん)を取材。超多忙な日々の中でも、手際よく栄養満点のごはんを作る動画が人気の女医さんに、体を芯から温める食材選びや、ある日の献立などを教えてもらいました。
おいしく体温アップ! 女医さん一家の、ある日の「冷え対策メニュー」
女医さんが日ごろ、親子で積極的に取り入れている食材は何でしょうか。まずはその理由とともに、食材をピックアップしていただきました。
・根菜類(にんじん、ごぼう、れんこん、大根、さつまいも)
地中で育つため水分が少なく、体を温める作用が強い。
・しょうが
辛味成分(ジンゲオール、ショウガオール)が、血管を広げて体温アップ。
・ねぎ、たまねぎ、にんにく
硫化アリルが血流を良くしてくれる。
・赤身の肉と魚(豚肉、牛肉、鶏むね、マグロ、鰹)
良質なタンパク質が熱を作る材料に。鉄分も冷えやすさを改善してくれる。
・香辛料(カレー粉、こしょう、唐辛子)
少量で血流促進。食べ過ぎは胃に負担になるので注意。
・発酵食品(味噌、キムチ、納豆、ヨーグルト)
腸内環境が整うと、代謝もよくなり冷えにくい体に。
・黒い食材(黒ごま、黒豆、ひじき、きくらげ)
ミネラル豊富で血行がよくなる。
一方で冷たい飲み物や甘い飲み物、生野菜、南国のフルーツ(バナナ、パイナップル、キウイなど)は体を冷やすため、注意が必要だといいます。

女医さん一家は普段どのような食事を取っているのか、ある一日の「冷え対策メニュー」を見ていきましょう。女医さん初の著書である『女医の日常ごはん』に載っているレシピも挙げていただいたので、すぐに再現できますよ!
■朝
・ごはん(できれば雑穀米)
・納豆
・牛肉とごぼうのしぐれ煮
・豆腐とわかめとねぎのお味噌汁
■昼
・ほうとう風かぼちゃ味噌煮込みうどん
■夜
・しょうが焼き
・ひじきと厚揚げの煮物
・まぐろのコチュジャンあえ
上記以外に「さつまいもと鶏もも肉の甘辛炒め」、「タンドリーチキン」、「肉巻きれんこんの簡単タルタルソース」、「さば缶のキムチあえ」といったレシピもおすすめだそう。
さらに、女医さんはデザートでも冷え対策をしているそう。黒胡麻プリンやさつまいもプリン、干し芋、大学芋など、市販されていて簡単に手に入るもののほかに、サッと作れる3品もおすすめしてくれました。
・ホット甘酒ヨーグルト/無糖の甘酒を温め、ヨーグルトと半々にして混ぜる
・ホットココア/砂糖控えめで作る。カカオには血管拡張作用があり、温まりやすい
・シナモンアップル/りんごを温め、ヨーグルトに乗せてシナモンを振りかける

今日からできる、食事以外の「冷え予防アクション」
そもそも、なぜ「冷え」は良くないのでしょうか。医学的な観点から、女医さんに解説してもらいました。
①体温が下がると、免疫細胞(白血球)の働きが鈍くなる
→体温が1度下がると、免疫細胞の働きは約30%落ちると言われている。
②血流が悪くなり、免疫細胞のめぐりが悪くなる
→体が冷えると末梢血管が収縮し、ウイルスと戦う細胞が行き届きにくくなる。
③自律神経が乱れる
→冷えると交感神経が緊張し、免疫バランスが崩れやすい。
女医さん曰く「『免疫力』という医学用語はない」そう。医学的に「免疫」とは「力」ではなく「システム」であり、向上させるものではなく“維持することが大事”。そこで「免疫システムが整っている状態」でいるためにはどうすればいいかという観点で、食事以外の冷え予防アクションも聞きました。
①朝:体温を上げる習慣を取り入れる
・白湯、常温の水を数口〜1杯
・軽いストレッチ
・朝日を浴びる(自律神経が整う)
②昼:筋肉を使う(太ももやお尻など大きな筋肉を使うのが良い)
・階段を使う
・少し早歩きする
③夜:冷やさない、リラックスする
・湯船に10〜15分つかる(38〜40度)
・寝る前に、温かい飲み物を飲む
・足首、お腹、腰回りを冷やさない
・スマホは控える(自律神経に影響)

朝日を浴びたり、お風呂にゆっくり浸かったり……「何気ない毎日のルーティンを見直すことが、結果として健康を守る「免疫システム」の維持につながる」と、女医さんは語ります。
もちろん、食事も重要です。今回紹介した数々のレシピは、『女医の日常ごはん』に詳しく掲載されています。「今日は何を作ろう?」と迷ったとき、おいしくて冷え予防にもなるメニューがきっと見つかるはず!
女医さんが実践している冷え対策はこれだけではありません。次回の記事では、女医さんがYouTube動画で取り上げていた市販の冷え対策アイテムから“特におすすめの3つ”を厳選。女医さんが買い物するときに考えていることや、意外に知らない「飲み物の適温」についても深掘りします。
