2025年5月21日、次期「RAV4」がワールドプレミアされた。とはいえ詳細なスペックは発表されておらず、日本での発売は2025年度内の予定と伝えられており、もうしばらく先の話になりそうだが、執筆時点でわかっていることを整理してお伝えしたい。

「RAV4」の累計販売台数は1500万台!
まずはRAV4の振り返りから。初代RAV4が登場したのは1994年のことだ。当時は「SUV」という言葉がまだ一般的ではなく、「RV」ブームの真っ只中。RVといえばクロカン系の4WD車が定番だったところに、乗用車に近い内容のとっつきやすい都会派として登場したRAV4は、ほどなく大ヒットした。人気男性アイドルが出演する印象的なTVCMを見て購入したという若い女性も少なくなかったそうだ。

また、当初は3ドアモデルのみだったが、後により便利な5ドアが追加されると、販売が急増。そのことから、2000年に2代目では5ドアがメインとなり、デザインテイストこそ初代の延長上ながら、ボディサイズの大幅な拡大をし、3ナンバーとなった。

2005年登場の3代目で、さらにサイズの拡大が図られ、5ドアのみとなった。RAV4をベースとするロングボディ版で3列シートも選べるヴァンガードも加わった。

2013年には4代目が登場。その存在が報じられることはあったものの、共通性の高い当時の「ハリアー」とのバッティングを避けることを主な理由に日本には導入されなかった。当時の「オーリス」似のデザインはなかなかスタイリッシュで、もし日本でも販売されていたらそれなりに人気を博していたように思える。

2019年に登場の5代目は、約6年のインターバルで日本市場に復活。同じくハリアーとの共通性が高い内容ながら、それぞれ個性を際立たせ、よりSUVテイストを強めたキャラクターが与えられたことも効いて、北米をはじめとする海外や日本で絶大な人気を博した。パワートレーンは発売時にはHEVとガソリンだったところ、のちにPHEVも加わり、グレードにあわせて3タイプもの4WDシステムを用意するなど、かなり力が入っていた。

かくしてRAV4は、180以上の国や地域で年間100万台以上される、トヨタを代表するグローバルモデルの1台に成長を遂げた。累計販売台数もすでに1500万台をゆうに超えるところまできているのはたいしたものだ。
6代目は「Life is an Adventure」がコンセプト
そんな中で今回披露された6代目RAV4は、「Life is an Adventure」を開発コンセプトに、「だれもがこのクルマでそれぞれのアクティブな生活を楽しんでいただける」ことを目指している。そのために、パワートレーン、デザイン、3つのスタイル、知能化技術に注力したという。

パワートレーンはPHEVとHEVがラインアップされ、純ガソリンの設定はない。PHEVに関しては、ハイブリッドユニットが第6世代へと進化し、DC-DCコンバータの一体化等により小型・高効率化とともに出力が12%向上する。さらに、リチウムイオンバッテリーの大容量化により、動力性能の向上とともに、EV後続距離は現行の95kmから150kmにまで大幅に伸びるという。
また、V2H(Vehicle to Home)に対応するほか、50kW以上の急速充電(最大125A)で約30分、満充電の80%まで充電が可能となるなど、利便性が向上する。HEVについては、2.5リッター直4エンジンを踏襲しつつ、トランスアクスル、パワーコントロールユニット、電池等の改良によりモーター出力を向上し、軽やかな出足とシームレスでダイレクト感のある走りを実現するという。
プラットフォームは5代目と同じ「GA-K」の改良版で、ねじり剛性やサスペンション剛性を現行比で約10%の向上させるほか、フロアまわりに微小な振動を取り除く高減衰接着剤を使用することで、フラットな走り出しとキビキビしたコーナリング性能を実現。4600mm×1855mm×1680mmというボディサイズは5代目とほぼ変わらず、狭い日本でもあまり取り回しに苦労することなく乗れるサイズを維持してくれるのもありがたい。
3種類の異なるスタイルがラインナップ
外観は、「Big Foot」(=大径タイヤを強調)、「Lift-up」(=高い走破性を想起)、「Utility」(=使いやすい荷室空間)をポイントにデザインしたとのことで、どこへでも行けそうな雰囲気を表現している。その上で、ユーザーの多様なニーズに応えるべく、「CORE」、「ADVENTURE」、「GR SPORT」という3種類の異なるスタイルがラインナップ。

「CORE」は街中で目を引く洗練されたデザインが特徴で、既出のトヨタ車に通じる「SUVハンマーヘッド」の採用によりタフさを表現するとともに、バンパー一体グリルにより先進感と強さを立体的に表現している。

冒険心を掻き立てるラギッド感(武骨さ)を強調したという「ADVENTURE」は、ワイドトレッド化と専用ホイール・アーチモールや、縦比率の高い大型グリルによりSUVらしい力強さを実現したほか、ハンマーヘッドのノーズピークを高くすることでオフロード感の強いプロポーションを強調している。

「GR SPORT」は走る楽しさを味わえるスポーティなモデルとして、GRの一員らしく進化したFunctional MATRIXグリルや空力性能を高める前後スポイラー、ホイールデザインを採用したほか、+20mmのワイドトレッド化、足まわりの専用チューニング、ボディ剛性の強化などにより高い操縦安定性を実現するという。

4WDについては電動パワートレーン化にあわせてすべてE-Fourとなる見込みだが、5代目のような差別化が図られるかどうかは続報を待ちたい。
エンタメ体験を可能にするインテリア空間
インテリアは、SUVの機能性をベースに各種機能を一体的に配置したアイランドアーキテクチャーをコンセプトに使いやすさを追求している。平衡感覚をつかみやすいようインパネを水平とするとともに上面を約40mm低くして良好な視界を確保し、さらにはスマートフォンとの連携への対応を図ったほか、機能性や操作性を高めるべく配慮している。また、新世代マルチメディアをトヨタ初採用する旨も伝えており、それがどのようなものなのかも気になるところだ。

荷室はもともと733Lと十分すぎるほど広かったが、さらに749Lへと拡大するほか、リアシート折り畳み時の角度を10度から5度に抑え開口部との段差が従来モデルより抑えられているるなど使い勝手が高められる。ゴルフバッグなら7個、サーフボードなら15枚も積載可能というからたいしたものだ。
知能化技術については、「Arene」と称するトヨタが開発した車両向け開発プラットフォームが初めて採用される。これにより、エンターテインメントや利便性を高めた「移動の楽しさ」とともに、さらなる「安全・安心」や「交通事故ゼロ」の未来に向けて、気たるべき「SDV(Software-Defined Vehicle)」の時代に向けて、大きな一歩を踏み出すことになる。
6代目となる次期RAV4に関心を持っている人は大勢いることだろうが、ひとまず2025年6月の執筆時点でわかっていることだけても、非常に魅力的であることには違いない。今後のさらなる詳細な情報を楽しみして待つことにしよう。
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