スズキ初の本格EV「eビターラ」のプロトタイプに試乗! 新開発のEV専用プラットフォーム「ハーテクトe」を採用し、SUVらしい力強さと実用性を両立。前後に電気モーターを配した4WDの走りや、日本向けにこだわった内装色など、完成度の高いコンパクトEVの魅力と、ヒットの可能性を徹底解剖していく。
スズキ待望の本格EVはプロトタイプでも侮れない!

スズキ
eビターラ
SPEC【4WD】●全長×全幅×全高:4275×1800×1640mm●車両重量:1890kg●パワーユニット:電気モーター×2●最高出力(前/後):174PS/65PS●最大トルク:31.3kg-m●バッテリー総電力量:61kWh●一充電走行距離(WLTCモード):450km以上
随所にEV的要素を採り入れつつ全体的には手堅い仕立てに


楕円形状のステアリングやフローティングしたセンターコンソール、ワイド感を強調するディスプレイなどでEVらしい新しさを演出するインパネ回り。細部の質感も満足できる水準だ。
EVの新しさとSUVの力強さを表現

EV専用に新開発されたプラットフォーム「ハーテクトe」上に載せられるボディは、ラギッドなディテールでSUVらしさを演出。生産はスズキのインド工場が担当する。
SUVらしい使い勝手を確保

荷室は、コンパクト級SUVとして不足のない広さと使い勝手を実現。後席使用時でも、実用的な荷室長が確保される点も魅力的だ。
カラーコーデは日本向けの独自仕様


EVらしくヒーター内蔵となるシートは、日本市場向けに設定したという華のある色使いも魅力。前後席とも空間は十分な広さだ。
電気モーターは前後に用意

フロント用モーターは、仕様によって2種類のスペックを使い分ける。バッテリーは、BYDの子会社から供給されるリン酸鉄リチウムバッテリーを搭載。
コンパクト級のEVとしてすでに完成度はハイレベル
サイズ的には、コンパクトEVに分類されるeビターラの暫定スペックは以下の通り。まず、駆動方式は2WDと4WDが選べて電気モーターはフロント用が144PSと174PS。リア用は65PSで、4WDのフロント用は高出力版となるがトータルの最高出力は184PS。最大トルクはフロント用が出力を問わず19.7kg-mで、4WDは同じくトータルで31.3kg-mとなる。バッテリーの総電力量は2WDの144PS版のみ49kWhで、その他は61kWh。航続距離は、最も長い2WDの高出力版で500km以上とされている。
今回の試乗車はプロトタイプだったが、走りは駆動方式を問わず自然な仕上がり。動力性能は2WDでも不満のない水準だが、走行条件に応じて前後駆動配分を可変させる4WDでは積極的に操る面白さも確かめられる。現状、価格は未発表だが、その設定次第ではeビターラが人気EVとなる可能性は十分にありそうだ。
構成・文/小野泰治 撮影/宮越孝政
※「GetNavi」2025月9・10月号に掲載された記事を再編集したものです。