日本車には脅威。BYD「シーライオン6」はEVの気持ちよさとガソリン車の安心感を得たい人に最良の一台

ink_pen 2026/1/24
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日本車には脅威。BYD「シーライオン6」はEVの気持ちよさとガソリン車の安心感を得たい人に最良の一台
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

これまで日本では電気自動車(BEV)だけを販売していた中国・BYDが、2025年暮れに新たなカテゴリーとして、新世代プラグインハイブリッド(PHEV)SUVの「SEALION 6(シーライオン6)」を日本市場に投入しました。

EVとして力強く抜群の快適性を感じる走りを発揮しながら、1.5Lエンジンを組み合わせたPHEVとして、圧倒的なコストパフォーマンスを実現。今回はそのシーライオン6で御殿場~箱根を走り、注目のパフォーマンスを体験してきました。

ラインアップは前輪駆動車と4輪駆動車の2タイプ。いずれも価格は破格!

シーライオン6が正式発表されたのは、2025年10月に開催されたジャパンモビリティショーの会場でした。それまで日本ではBEVだけを販売してきたBYDでしたが、日本はハイブリッド車(HEV)が主戦場であり、BEV一辺倒だけでは販売実績を上積みするのは難しいと判断したのでしょう。

BYDは満を持して、中国でも好調な売れ行きとなっているPHEVのシーライオン6を日本市場へ投入してきたのです。

日本ではBEVメーカーとしてスタートしたBYDだけに、BEVメーカーと思われがちですが、実は世界で初めてPHEVを量産販売した実績があります。2008年のことですから、もう17年も前のことです。それ以降もBEVを開発する一方で、PHEVも並行して開発。いまもなお、PHEVはBYDのなかで重要な位置づけとして生産されています。

その代表的な存在がシーライオン6なのです。中国ではFWD(前輪駆動モデル)とAWDの2タイプがラインアップされていますが、日本ではまずFWDからの導入となり、AWDは少し遅れて登場する予定となっています。

「スーパーハイブリッド」と銘打たれたPHEVのパワーユニットは1.5L直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせたもので、最高出力が72kW、最大トルクが122Nm。モーターは145kW/300Nmを発揮します。バッテリー容量は18.3kWhとなっています。

驚くのはその販売価格です。前輪駆動(FWD)車は約398万円(税込)、4輪駆動(AWD)車でも約448万円(税込)という価格設定。装備で違いがあるため単純比較はしにくいですが、たとえばFWDのプリウスならZグレードで460万8900円(税込)ですし、4WDがあるアウトランダーなら600万円(税込)以上もします。このPHEV同士での価格差は驚異的と言わざるを得ません。

乗り心地も上々で、インテリアは上級車らしい質の高さを実感

シーライオン6のボディサイズは全長4775×全幅1890×全高1670mmで、ホイールベースは2765mm。このサイズはプリウスよりもずっと大きく、アウトランダーと比べても少し大きいといった感じです。BYD内での比較では「シール」がありますが、こちらはセダンであり、全長も少しだけシールが大きいです。

↑ボディサイズは全長4775×全幅1890×全高1670mmで、ホイールベースは2765mm。シーライオン7はすべてにおいて一回り大きい。
↑タイヤは前後ともインドネシアのギティというブランドの「コントロールP10」。サイズは235/50R19 99Vが装着されていた。

また、“シーライオン”としてはBEVである「シーライオン7」がラインアップされていますが、実は名前が同じだけで、“6”と“7”はプラットフォームもデザインもまるで異なる別のクルマです。その証拠にフロントグリルのデザインも違いますし、ボディサイズもホイールベースも“7”の方が、一回り寸法が上回っていることからもわかると思います。

↑シーライオン6は、シーライオン7とはデザインもプラットフォームも異なるまったく別のクルマとなっている。

さて、シーライオン6の運転席に座ると、これまでのBYDのクルマとは少し雰囲気が違うことを感じます。それはメーターパネルにありました。

従来は平面の液晶パネルが露出される状態にあったものが、シーライオン6ではダッシュボードの枠内に収まっていたのです。そのため、外光の影響を受けにくく、高い視認性も確保されており、個人的にはこのスタイルの方が好ましいと感じました。

↑ダッシュボード内に収まるメーター。外光の影響がなく視認性も高かった。

インテリアはブラック&ブラウンの2トーンカラーで、上級車らしい質感の高さが伝わってきます。シートは大きめでたっぷりとしており、ホールド性も上々。クッションの固さもほどよく、今回の御殿場~箱根を走り抜けた長めのルートでも疲れを感じることはありませんでした。

↑質の高さを感じるインテリア。シートはホールド感も高く、前席にはベンチレーション&ヒーター機能が備わる。

レッグスペースは前後席とも十分で、特に後席での空間は余裕すら感じるほどの広さ。コンソール上の操作スイッチ類は少し小さめと感じましたが、これも慣れればそれほど違和感はなくなるレベルです。

↑レッグスペースも広くゆったりと座れる後席。写真はリクライニングで倒した状態。
↑カーゴスペースはSUVならではの高さゆえに、かさばるものもたっぷり入る容積を持つ。
↑小さめのシフトノブは世界的な流れを踏襲。全体に操作スイッチが小さめだが、慣れることで違和感はなくなる。

センターにあるディスプレイは、15.6インチとかなり大きいのですが、ほかのBYD車と違ってタテ方向に回転はしません。これまでディスプレイの回転がひとつのウリとなっていた感がありますが、個人的にはそのメリットをあまり感じることはありませんでした。これだけ大画面であれば、回転する必要はほぼないのではと思っていたからです。

↑ダッシュボードのデザインはオーソドックスでなじみやすさを感じる。中央のディスプレイは15.6インチで回転はしない。
↑センターに装備された15.6インチディスプレイ。コントロールスイッチはやや小さめだが、よく整理されていてわかりやすい。

カーナビの表示も従来よりも洗練され、見やすさは一段とアップ。ただ、ルート案内をしていないときにGPSでの測位となるのは、これまでと同じでした。

↑Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応しているため、スマホ内のアプリを使うことも可能だ。
↑なぜかBYD車のカーナビ機能は、一般的に“夜モード”と呼ばれる画面がデフォルト。“昼モード”に切り替えることはできる。
↑音声を使ってエアコンなど多彩なコントロールに対応するが、目的地の検索には対応できていなかった。

峠道も楽にこなす必要十分なパワーと、徹底した静粛性の高さに驚く

PHEVのシステムは状況に合わせてエンジンとモーターを切り替えるシリーズ・パラレル方式ですが、実際に走行すると電動駆動が主体となり、一般道ではアクセルを深く踏み込んだり、バッテリー残量が極端に減ったりしない限りはエンジンがかかりません。

↑“スーパーハイブリッド”とされる「DM-i」エンジンは1.5L4気筒の第2世代を搭載。
↑ドライブモードは「ノーマル」を基準に「エコ」「スポーツ」「スノー」などを用意。コンソールスイッチで簡単に切り替えられる。

高速道路ではエンジン駆動となる時間が増えますが、それでも高速域までは電動駆動で引っ張り上げ、巡航に入ってからエンジンに切り替わるといったシステムになっていました。これによって、加速時のノイズを最小限にとどめているのです。

こうした効果もあって静粛性は驚くほど高いものとなっています。モーター周りやダッシュボード付近に遮音材を施したほか、遮音ガラスの採用とも相まってエンジン音はほとんど聞こえないレベルです。

乗り心地もかなり上質で、荒れた路面ではリアから多少の突き上げを感じても、シートがそれを受け止めるために身体にショックをあまり感じさせないのです。

パワーの出方は基本的にBEVと変わりません。箱根の峠道では電動駆動らしくトルクフルな走りを味わうことができ、回生ブレーキも効果的に働くことでストレスなく快適に走れました。また、峠道の上り坂でもエンジンがかかることはほとんどなく、アクセルをぐっと踏み込んだ状態で初めてエンジンがかかるといった感じです。

↑峠道でも力強い走りでドライブを楽しませてくれた。
↑個人的には美しいと感じたバックスタイル。後続車からも存在感をしっかり感じ取ってもらえそうだ。

もちろん、絶対的なパワー感ではBEVには敵いませんが、上り坂が続くようなシーンでもパワー不足を感じることはないと思います。

そして、見逃せないのがシーライオン6は、鉛電池が一般的な補機バッテリーもリン酸鉄リチウムイオン(LFP)となっていることです。

しかも、この補機バッテリーはシステムとしてクルマ全体に組み込まれ、放電量が増えた場合には駆動用バッテリーから充電される仕組みとなっています。これなら、少し使わない期間が長くなってもパワーユニットが起動しなくなるといったトラブルに陥らずに済みそうです。

シーライオン6は日本車を驚愕させるだけの高い完成度だった

ここまで造り込まれ、上級車としての乗り心地も上々で、装備もそれにふさわしい内容となっているシーライオン6。

これでFWDとはいえ、400万円を切ってきたことは間違いなく日本メーカーにとって脅威となることでしょう。果たしてこれを迎え撃つのに十分なタマが日本メーカーに用意されているのか……。そんな心配がつい頭をよぎってしまうほどの完成度だったのです。

特に「EVの気持ちよさとガソリン車の安心感を両方ほしい」という人にうってつけの一台になると思います。

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