「見えルークス」だけじゃない! 日産の新ルークスは静かで抜群の安定感とクラスを超えた乗り心地がいい

ink_pen 2026/2/1
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「見えルークス」だけじゃない! 日産の新ルークスは静かで抜群の安定感とクラスを超えた乗り心地がいい
会田 肇
あいだはじめ
会田 肇

カーライフアドバイザー。カーナビやドライブレコーダーなど身近な車載ITグッズのレポートを行う他、最近はその発展系であるインフォテイメント系の執筆も増えている。海外で開かれるモーターショーや家電ショーにも足を運び、グローバルな視点でのレポートに役立てている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

いまや世界的にも存在が注目されている日本の軽自動車。日本ではその割合が3台に1台を占めるようになり、その約半分を占めるのがスーパーハイトワゴンです。軽自動車という限られた枠内で最大限の広さを求める、いわば“軽自動車のミニバン”的な存在で、各社の“覇権争い”はまさに熾烈を極めています。

そんななかで、モデルチェンジを果たしたのが日産の新型「ルークス」。その進化ぶりを、試乗を通して検証しました。

マルチカメラを駆使して周囲をすべて見通す“見えルークス”

新型ルークスといえば、俳優の仲里依紗さんが“見えルークス”としてアピールしているTV-CMを見た人も多いのではないでしょうか。これは運転席からの視界のよさに加え、マルチカメラを活用したフロントワイドビューなどの先進技術で死角を減らし、物理的・技術的に「よく見える」ことをアピールするものです。

↑2025年の秋に販売を開始した新型ルークス。

見逃せないのがインテリジェント アラウンドビューモニターに搭載される「自動表示地点登録」機能です。

実はカメラを通して周囲を確認できる機能は、これまでも多くの車種に搭載されていました。しかし、その多くはドライバーが「VIEW」ボタンを押すなど何らかの操作をする必要があったのです。

新型ルークスでは、場所をあらかじめ登録しておくことで(最大40か所まで登録可能)、自動的にフロントワイドビューなどの映像をモニター上に表示できるようにしているのがポイントとなります。

しかもその表示機能はきわめて多彩。車両を上空から見下ろすような映像や、車両の周囲360度を回転させて見せる「3Dビュー」をはじめ、交差点などで運転席から死角になる前方の左右の状況を広く映し出す「フロントワイドビュー」、まるでクルマの真下が透けて見えるような表示で直前の障害物を回避できる「インビジブルフードビュー」といった機能が含まれます。

これらの機能により、ルークスは“見えルークス”として安全・安心なドライブをサポートするというわけです。ただし、これらの機能はメーカーオプションとなります。

↑「見えルークス」を作動中の画面。右側の画面でカメラをタップすると、その方角からの状況に切り替わる。

もうひとつ見逃せないのが、インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)&BSW(後側方車両検知警報)の搭載です。

一般的には「ブラインドスポットモニター」と呼ばれる機能で、斜め後方にいる車両を検知することで、車線移動時の安全性を高めてくれます。プロパイロットエディションのみの装備ですが、この機能は日産「デイズ」に続く搭載で、軽自動車としては数少ない搭載例となります。

新デザインで見た目はよりワイド感を演出。疲れにくいシートも秀逸

さて、今回の試乗車は「ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディション」と自然吸気モデルの「X」。どちらも横浜市内の一般道を中心に試乗しました。

新型ルークスはプラットフォームをキャリーオーバーとしていますが、外観は大きく変貌を遂げています。フロントから見るとフロントグリル周辺のデザイン効果もあってか、従来よりもワイドさを感じさせますし、サイドラインも真ん中付近で逆凹みのアクセントをつけることでデザインに変化を生み出しています。

なかでも注目はAピラーを従来よりも立てていることで、斜め前方の視界を高めると同時に、座ったときの広々感をもたらす効果もあります。

↑Aピラーを立てることでルーフを前方に出して広々とした空間をもたらし、ピラーを細くすることで前方視界も拡大している。サイドビューは真ん中付近で逆凹みのアクセントをつけてデザインに変化を生み出した。

車内に入ると前方にはフラットなダッシュボードが広がります。上面に突起物がなく視界はきわめて良好。全方位での視界が広げられたことで、“見えルークス”機能との併用によりストレスが少ない運転が可能になるというわけです。

↑ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディションの運転席周り。コックピットはセンターディスプレイまで一体化してフラットな雰囲気を作り出している。
↑エアコンの操作スイッチはタッチ式で継続されたが、レイアウトを変更して誤操作を最小限にした。
↑自然吸気モデルの「X」のダッシュボード。タッチ操作を踏襲し、シンプルながら使い勝手の良いインターフェースが心地よい。

インテリアの質感も高く、仕上がりはもはや上級車を凌ぐレベル。実用性も高く、運転席前にはダッシュボード上にアッパーボックスを備え、助手席側には使い勝手のいいトレイと大容量のグローブボックスを2段で装備。実用性の上でも文句のつけようがない出来映えです。

↑自然吸気モデルの「X」の前席シート。十分なシートサイズで快適な乗り心地を実現した。
↑収納スペースの多さも新型ルークスの見逃せないポイント。運転席の前にアッパーボックスを備えただけでなく、助手席には大型トレイをはじめ下方にスラントして開くグローブボックスなどを用意するなど実用性も高い。

シートは日産独自の疲れにくいゼログラビティ思想に基づくもので、身体をしっかりとホールドしてくれるため、運転中も快適な乗り心地を味わうことができます。後席は座面長が延長されてサイズもたっぷりとしており、なかでもヘッドレストを上に出さなくても座れるのは軽自動車とは思えない余裕すら感じさせます。

↑日産の“ゼログラビティ”思想に基づくシートを採用。乗員を包み込むような心地よさを生み出している。

まさに大人が長時間座っても疲れにくい“特等席”といえるでしょう。

↑自然吸気モデルの「X」の後席シート。座面長を延長することで軽自動車ではトップクラスの快適性をもたらした。
↑後席を一番前にスライドさせると荷室床面長はスーツケースも立てて入れられるし、写真のように後席を倒せば長尺物も積載可能な広大なスペースが生まれる。
↑全グレードでオプションとなる「快適パック」では、写真のパーソナルテーブルのほか、リアシーリングファンなど多彩な機能がプラスされる。

高い静粛性と確実に向上した乗り心地。ターボ車ならパワーも十分

↑「ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディション」(224万9500円/2WD)。パワーユニットは直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジンで、最高出力47kW(64PS)/5600rpmを発揮。

試乗はまず、ハイウェイスター G ターボ プロパイロットエディションから行いました。走り出してすぐに感じるのはハンドリングの質の高さです。電動パワーステアリングに軽量小型のブラシレスモーターを採用したことで、ハンドル切り始めの反応において明らかに滑らかさが増しています。軽自動車特有の「スカスカ感」がなく、しっとりとした手応えがあるのです。

走りもアクセルを軽く踏むだけでスムーズにスタート。中速域までこの流れは続き、市街地での動きはきわめて軽快です。

↑ドライブモードは「SPORT」「STANDARD」「ECO」の3種類。特にエコモードは一定速度までは確実に加速し、そこからは省エネ走行になる使い勝手のよさが光る。
↑プロパイロットはモノカメラとミリ波レーダーの組み合わせ。アルゴリズムを改善し、より自然な制御が可能となった。

加えて乗り心地でも進化を遂げました。基本構成はこれまでと同じにしながらも、ショックアブソーバーを最新版に変更しつつゴムブッシュを含めたチューニングを施すことで、乗り心地が驚くほど進化しているのです。

特に大きな段差を越えた際の収まりが劇的によくなり、スーパーハイトワゴン特有の「横揺れ(ロール)」も抑制。カーブでも踏ん張りが効くため、運転に不慣れな方でも安心して曲がれるというわけです。

室内音の静かさにも驚かされました。軽自動車では珍しいフロント遮音ガラスや、ドア周りの吸音材が強化されたことにより、一般道を走行中でも後席に乗っているカメラマンと普通に会話を楽しめたのです。

エンジン音の遮音もしっかりしているようで、気になることがほとんどありませんでした。また、新型ではマイルドハイブリッドが廃止され、それによってアイドリングストップからのセルモーター音が気になるかと心配していましたが、それも無用でした。

一方のXは、パワーが小さい自然吸気(ノンターボ)だけにターボモデルに比べると加速はかなり鈍くなります。そのため、アクセルもつい踏み込みがちとなり、エンジン音も高めとなってしまうのです。それだけに静粛性でもターボモデルと比べて明らかに劣ります。

↑自然吸気モデルのX。街乗り中心でなら不足は感じないかもしれないが、高速域ではアクセルをつい踏み込みがちとなる。

ただ、サスペンションの追従性は良好で、フラット感のある乗り心地はターボモデルに決して劣らないレベルにあるといっていいでしょう。

音声操作が便利なGoogleの車載インフォテイメントシステム

最後に新型ルークスに搭載された、Google Automotiveを使ったインフォテイメントシステムについて解説します。

よくAndroid Autoと混同されがちですが、Google Automotiveは車載システムにOSとして組み込まれているもので、スマホなしでもGoogleのアカウント連携を可能にするものです。

車載システム上で直接GoogleマップやGoogleアシスタントなどを利用できるため、たとえば目的地の検索のほか、エアコンの操作といった車載側の機能が音声を使って操作できます。

↑OSにGoogleを採用したインフォテイメントシステム。写真はGoogleマップで東京駅までルート探索したもの。Googleによる圧倒的に高い検索能力が魅力となる。

加えて、カーナビでは車載側から車速パルスなども使うことで、高精度に測位できるのもポイントです。

一方で、Google Automotiveは現状で使えるアプリに限りがあり、たとえばナビアプリではGoogleマップ以外にNAVITIMEは使えるものの、Yahoo!カーナビやCOCCHiといったアプリには非対応となります。

とはいえ、これらのアプリを使いたいときは、車載側との連携はできなくなるものの、Android AutoやCarPlayに対応したスマホを接続して使うことは可能です。

今回の試乗ではGoogleマップを使って体験しましたが、Android AutoやCarPlay上で使うGoogleマップと大きくは変わりません。交差点では進行方向を矢印で案内し、交差点名や車線ガイドも表示されます。

ただ、これまでの車載カーナビに比べると情報量は劣ります。しかし、常に最新データの下でルートガイドを使える安心感はとても大きいですし、特にGoogleによる目的地検索能力は極めて高く、これを超えるカーナビはないと断言できます。

音声での操作にも対応したため、たとえばエアコンの操作では、設定温度を変えるなら「温度を上げて(下げて)」「温度を25度にして」といったコマンドに対応。また音楽再生時は「○○(曲名/アーティスト名)を再生して」と発すれば即座に聴きたい曲を呼び出せます。

音声での操作が日常化すると、二度と手放せなくなる便利さがあります。あくまでGoogleでのアップデート次第ではありますが、今後の進化にも大いに期待が持てるインフォテイメント機能といえるでしょう。

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撮影/松川忍

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