【西田宗千佳連載】ソニー・ホンダのEVはどうなった?「クルマのスマホ化」の現状と課題

ink_pen 2026/2/2
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【西田宗千佳連載】ソニー・ホンダのEVはどうなった?「クルマのスマホ化」の現状と課題
西田宗千佳
にしだむねちか
西田宗千佳

モバイル機器、PC、家電などに精通するフリージャーナリスト。取材記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組などの監修も手がける。ツイッターアカウントは@mnishi41。

Vol.158-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回は2026年のCESで発表されたソニー・ホンダモビリティが手掛けるEV(電気自動車)「AFEELA(アフィーラ)」の話題。これまでのEVと異なる点と課題は何か。

 

今月の注目アイテム

ソニー・ホンダモビリティ

AFEELA 1(アフィーラ ワン)

8万9900ドル~(約1400万円※)

※1ドル=約154.7円で換算(2026年1月30日現在)

↑2023年のCESで初披露されて以降、毎年改良型のプロトタイプを展示。40基のセンサー搭載により安全運転を支援するほか、ソニーの立体音響技術を生かした、理想の没入空間を実現する。第1弾は2026年内に出荷予定だ。

初登場から4年を経ていよいよ出荷開始を発表

ソニーグループと本田技研工業の合弁会社であるソニー・ホンダモビリティは、1月に米ラスベガスで開催されたテクノロジーイベント「CES 2026」に出展。2026年下半期にカリフォルニア州で、電気自動車(EV)である「AFEELA 1」の出荷を開始すると発表した。価格は8万9900ドル(約1400万円)からで、日本向けは2027年上半期より出荷される予定だ。

ソニー・ホンダモビリティは2022年に設立。センサーやロボティクス技術を自動車に生かし、いままでにない製品を作れるのでは……というソニー側と、EV開発への出遅れ感に課題を感じ、既存の自動車開発とは別の形での展開を模索していたホンダの思惑が合致して生まれたプロジェクトでもある。

自動車の生産と販売には独自のノウハウが必要であるため、生産の主体はホンダのオハイオ州イーストリバティ工場で行われるものの、EVをコントロールする制御系や安全運転・自動運転系はホンダとソニーが共同開発、車内エンターテイメントやアプリ制御、クラウド連携といった部分は主にソニー側が担当している。

EVと従来の自動車の違いは「モーターで走ること」ではない。現在は走行やサスペンション制御はコンピュータ次第。ソフトの価値が重要であることに変わりはない。

一方で、中国のEVと米国、特にテスラのEVはそれぞれ別の進化をしており、日本の自動車とも違う進化を遂げている。特に、ソニー・ホンダが意識していたのはテスラだ。

テスラの特徴は、購入後もソフトの改良で自動車が進化し続けることだ。スマホがOSのアップデートで機能アップしていくように、自動運転や車内エンターテイメントが進化し、価値を高めていく。

走行性能や乗り味はいまだ未知数

AFEELA 1も同様の考え方を採る。自動車内のユーザーインターフェースはAndroidをベースとしたOSで作られていて、多数のアプリが動く。音楽や動画配信が使えるのはもちろん、Zoomでビデオ会議もできる。コンソールの表示や位置はタッチ操作でカスタマイズできるし、車内で聞こえる“走行音”も変更可能だ。本来はもちろんモーター音だが、あえて1965年にホンダにF1初優勝をもたらした「RA272」のエンジン音に変えられる。

利用者やドライバーの行動・好みはクラウドに記録され、アプリの提供や音声アシスタント連携、ナビなどの提供に使える。自動車単体では完結せず、クラウド上のサービスも含めてAFEELAを構成するのが特徴だ。こうした発想はテスラや海外高級EVの一部では導入されているもの。ソニー・ホンダはさらに発想を推し進め、“スマホ化したクルマ”路線で勝負する。

一方、同社はまだ“AFEELAの乗り味”についてほとんど言及しておらず、プレスや購入予約者にも試乗会を行っていない。自動車メーカーとしては異例のことで、その点に一抹の不安を感じる。ソフトとクラウドでどう自動車が変わるのか、本質的なところがまだ不透明だ。その狙いがどこかは、次回以降でさらに詳しく考察する。


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