アウトドア
2022/4/13 19:15

ガテン系から脱皮した「ワークマン」のモノ作りにはやっぱり「作業服」のDNAが息づいていた!

2022年で創刊40周年を迎えた、押しも押されぬモノ誌の決定版「モノ・マガジン」と、創刊23年目を迎えたピチピチの“新卒世代”「ゲットナビ」とのコラボ連載は第3回。今回のテーマは、ただいま絶好調の「ワークマン」です。ゲットナビ編集部のある御徒町からほど近い、上野の東京本部にうかがいました。

第1回 スバル「レガシィ アウトバック」
第2回 アディダス「TOUR360 22」

 

二つの目で見ればピントが合う!

ゲットナビ×モノ・マガジンの「ヒット」スコープ
– Target 3.ワークマンのキャンプギア–

アラフォー以上にとってワークマンは、いわゆる現場向けの作業着を中心に扱う“ガテン系”のイメージが強いブランド。吉 幾三さんが作業着姿ではつらつと歌うテレビCMを記憶している人も多いでしょう。

 

しかし、ここ数年でワークマンは大改革を実施。2016年には、タウンウエアやスポーツウエアとして着られるスタイリッシュなデザインのプライベートブランドを立ち上げて話題を呼びました。さらに2020年には、レディース向けの新業態「#ワークマン女子」がスタート。「東京ガールズコレクション」への出展も果たしています。

 

そして2022年2月、待望のキャンプギアを展開。本格的なテントやタープ、シュラフなど100アイテム以上をリーズナブルな価格でラインナップし、業界に衝撃を与えました。

↑オフィス内にあるセットでキャンプ気分を味わう。左から、ワークマン広報部チーフの鈴木悠耶さん、「ワーク&アウトドア」部門のチーフバイヤー林 邦彦さん、モノ・マガジン編集長の前田賢紀さん、ゲットナビ編集長川内一史

 

↑左:鈴木悠耶さんは広報部に配属されて2年。怒濤の新規事業展開に当初は戸惑いつつも、様々なメディアを通してワークマンの魅力を広く伝えている/右:広報経験もある林 邦彦さん。ウエア開発に強いこだわりを持っている

※モノ・マガジン前田編集長のレポートは記事の最後にリンクがあります!

 

カジュアルラインのウエアも、原点は作業服にアリ!

2022年4月現在の出店状況は、プロ向けの作業服が中心の「ワークマン」が559店舗、一般向けの高機能ウエアをメインに取り扱う「ワークマンプラス」が372店舗、今年に入って新店が多くオープンしている「#ワークマン女子」が12店舗、職人向けのフラッグシップとなる「ワークマンプロ」が1店舗。

 

目まぐるしいスピードで進化を続けるワークマンですが、ウエア開発の原点はあくまで作業服にあると、鈴木さんと林さんは口を揃えます。機能的で、丈夫で着やすく、価格はリーズナブル。様々なコンセプトのラインでウエアを展開するなかでも、その哲学は一貫しています。

 

・フィールドコア

「フィールドコア」は、タウンユースにも向くカジュアルアウトドアライン。ジャケットやパンツのほか帽子などのアクセサリを揃え、価格帯は1000~3000円台とリーズナブルです。

↑フィールドコアの耐久撥水トラベルシェルパンツ(税込1900円)。軽量で高いストレッチ性を備えたジョガータイプのイージーパンツ。裾リブのクロップド丈によりスッキリと見えるのが特徴だ。ウエスト周りは紐でラクに調整できる

 

・ファインドアウト

「ファインドアウト」は、スポーツ・トレーニングシーン向けの高機能ライン。一般的なスポーツブランドのアイテムに比べて圧倒的に割安で、ビビッドな色使いのアイテムが多いのも特徴です。

↑ファインドアウトのアスレシューズハイバウンスオーバードライブ(税込2900円)。ランニングシューズのトレンドである厚底仕様。反発性に優れる「バウンステック」ソールを採用し、小さいエネルギーで高い推進力を発揮する

 

・イージス

「イージス」は、より高い防水性・透湿性・防寒性を備える、コアなアウトドアフリーク向けのライン。ワークマン製品のなかではやや値は張るものの、他社の同クラスアイテムと比べればリーズナブルです。

↑イージスの3レイヤー透湿レインスーツ BIKERS(税込5800円)。ツーリング用にも対応するセットアップレインスーツ。3層構造で雨や風をシャットアウトしつつ、内側の湿気は外へ逃がす。収納袋付きで携帯に便利

 

↑林さん(左)が着ているのは、防虫加工が施されたAERO GUARDステルスジャケット(税込2900円)。前田編集長が着ているのは、同じく防虫加工が施されたAERO GUARD STRETCH長袖ジャンパー(税込2900円)。川内(右)が着ているのは、火の粉がついても穴が空きにくいFLAME-TECHアウトドアワークベスト(税込2900円)。いずれもひとクセある機能を備えたウエアだ(誉め言葉)

 

「アンバサダー」の存在が効いてます

一方のキャンプギアは、よりベーシックで、コスパを重視したアイテムを揃えています。とはいえ、ただシンプルなギアにとどまらない仕上がりとなっているのがワークマン流。ポイントは「ワークマンアンバサダー」との共同開発です。キャンプに精通するブロガーやインスタグラマー、YouTuberの意見を取り入れて、機能やデザインに反映させることで、製品のクオリティを高めています。また、彼らがインフルエンサーとなってSNSなどで告知することで、一般ユーザーへ広く訴求できるのもメリットです。

↑フィールドコアのBASICドームテント(税込4900円)。耐水圧2000mmを誇るSG基準対応のソロテント。1人でも組み立てやすい設計となっている。カラバリは6色展開

 

キャンプギアの正式リリースは今年2月ながら、テントやタープ、シュラフのほか、テーブル、チェア、BBQグリル、のこぎり、グローブなどなど、多岐にわたるアイテムを130点ほど展開中。ビギナーはもちろん、ファミリーキャンパーからコアなソロキャンパーまで、心強い味方となってくれるに違いありません。

 

この日も例によってロングなインタビュー取材になったワケですが(お忙しいなかありがとうございます!)、ワークマンのおふたりの話をうかがいながら、ふと思ったんですよ。従来事業の需要縮小を見越しての大胆な新業態展開、自社強みとしているコアの部分は変えないモノ作り哲学を持ちながら多岐にわたる事業展開、インフルエンサーを活用した開発&プロモーション……。これって、いま雑誌業界で求められていることにまんま当てはまるぞ。ワークマンに学んで、ゲットナビも強くありたい。そう強く感じたのでした(変な締め)。

 

前田編集長のレポートは→ https://www.monomagazine.com/41931/

 

写真/青木健格(ワールドフォトプレス)