アウトドア
2023/4/22 20:30

「スノーピークの複合型リゾート」に宿泊。キャンプ苦手勢も外遊びの楽しみを味わえる

アウトドア関連商品で知られるメーカー「スノーピーク」が2022年4月にオープンした複合型リゾート施設「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」に宿泊してきました。

 

→【画像21枚】Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERSの施設詳細を写真でも紹介

 

「浴・食・泊」を楽しめる「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」

スノーピークといえば、キャンプ好きなら知らない者はいないほどのキャンプ・アウトドア用品メーカー。そのスノーピークが、新潟県の本社隣接地にオープンした複合型リゾート施設が「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」(以降FIELD SUITE SPA)です。

 

温泉・レストラン・宿泊という「浴・食・泊」のための施設が揃っており、そのコンセプトは「キャンプが苦手な人でも外遊びの楽しみを味わえる」ということ。そしてもう1つの特徴は、施設やサービスの全体を通じて、地元新潟県の特性や特産物が活かされているということです。

 

それではさっそく、FIELD SUITE SPAに行ってみましょう。場所は新潟県三条市。新幹線の燕三条駅から車で40分ほどの山中にあります。スノーピーク本社や直営キャンプ場なども存在する広大な敷地です。

 

まるで芸術作品のような外観

施設の設計は、新国立競技場も手掛けた建築家の隈 研吾氏が担当。隈氏らしい木材を組み合わせたデザインになっていますが、よく見るとヘキサゴンタープ(キャンプで使う日除け・雨除け)を張ったようなシルエットをしています。また、軒や天井にあしらわれているのは、なんと薪。このあとの写真を見ていただくとわかりますが、施設全体の軒や天井がそうなっているのです。キャンパーならこの時点でウキウキすること間違いなしでしょう。

↑FIELD SUITE SPAのエントランス。ナラ材の薪が1.5万本も使われています。なんと3~5年で交換が必要だそうです

 

新潟の産直品やスノーピークの限定品が揃うストア

施設に入ると、ストアと受付カウンターがあります。

↑エントランスにあるストア。施設全体にいえることですが、壁は床から天井にいたるまで全面が窓。まるで屋外のような開放感です

 

FIELD SUITE SPAはあまりキャンプをしない人も対象にしているため、ストアには寝袋やテントといったキャンプギアはほとんどなく、食器などの日用品がメインになっています。客室に設置してあるマグカップやタオルなどのアイテムは、ここで同じものが販売されているため、宿泊の思い出に買って帰ることができるのです。

 

オススメは、ここのストアでしか売っていない限定カラーの製品。各地のスノーピーク拠点を巡り、限定カラーを買い集めている「スノーピーカー(スノーピークのファン)」もいるほどです。

 

そのほか、新潟県全域、特に三条市や燕市の産直品の食品や道具も販売しています。他のお店では見られないスノーピークコラボの製品も。そこには、地域とともに発展していこうとするスノーピークの精神を感じました。

↑スノーピークユーザーにはおなじみのアイテムたち。キャンプだけでなく、日常でも心地よく使えます

 

すべてが「離れ」の一棟タイプ

次は客室に行ってみましょう。外来者も利用可能なFIELD SUITE SPAですが、宿泊エリアは宿泊者のみが立ち入ることができます。宿泊施設はすべて、一室ごとに建物が独立した一棟タイプ。

■Villa suite | Earth (100㎡)

■Villa junior suite | Forest (50㎡)

■Villa junior suite | Snow (50㎡)

■住箱 (24㎡)

の、計4種類7棟があります。今回は「Villa junior suite | Snow」に宿泊しました。

↑「Villa junior suite | Snow」。他の建物と同じく、軒には薪が使用されています

 

↑「Snow」はツインベッド、「Forest」はダブルベッド使用の部屋になっています。床はなめらかなスプーンカット加工になっており、スリッパなしで歩くと心地よさを感じられます

 

↑ラウンジスペース。カラフルな色使いと柔らかな光で、リラックスできる空間になっています

 

↑浴室までもが、大きな全面ガラス窓になっています。浴槽はヒノキ製。もちろんシェードを下ろして目隠しすることも可能です

 

部屋に入った途端に気づくのが、なんといっても窓の大きさ。部屋の2面がほとんどすべて窓になっているため、まるで屋外にいるような開放感があります。それでいて実際には完全に屋内であるため、アウトドア嫌いの人には苦手と思われる「虫」「暑さ」「寒さ」「湿気」「砂ぼこり」などとは無縁。屋内の穏やかな環境で、屋外にいるような感覚を味わえるというわけです。

 

そしてその感覚は、FIELD SUITE SPAの施設内どこにいても感じることができました。

 

客室では豊富なスノーピーク製品を実際に使える

室内を見渡すと、そこかしこにスノーピークの製品があることに気づきます。

↑タオル。バスタオル・フェイスタオル・ハンドタオルの3種類が用意されています

 

↑ワンドリップコーヒーの添えられた「スタッキングマグ雪峰」。カラーはFIELD SUITE SPAだけの限定色です

 

↑折りたたみ傘の「スノーピーク アンブレラUL」と小型LEDライトの「たねほおずき」。雨天や夜間の外出も安心です。防虫性を備えたストール「Printed Insect Shield Stole One」もありました

 

↑「ステンレス真空ボトル」や「ECO CUP」の限定版など、スノーピークのテーブルウェア類がずらり

 

↑ブランケットが入っているのは、人気商品の「シェルフコンテナ」。広がってラックになるギミックが楽しいので、訪問の際はぜひお試しを

 

↑備え付けのコーヒーセット。豆を挽き、備え付けのポットでお湯を沸かしてドリップできます

 

スノーピーク製品は各地のショップでも見ることができますが、それはあくまで「手に取る」程度。しかしここでは、滞在中にたっぷりと時間をとって「実際に使う」ことができるのが大きな魅力です。キャンパーではなくスノーピークに馴染みのない方にも、スノーピーク製品のよさを知ってもらいたいという意図の表れなのかもしれません。

 

新潟の食材にお酒をペアリングで提供

食事は夜・朝ともに「Restaurant雪峰」でいただきます。このレストランのコンセプトも、新潟の食材を活かすこと。それも単に「新潟で作られたの」というだけでなく、想いを込めて食材を作っている生産者との出会いを大切にしているとのことでした。

 

お料理は食材のよさを活かす点では和食に近いかたちですが、あちこちでフレンチの技法が用いられています。魚料理や肉料理が順に供されるという点でもフレンチのコースのよう。

 

ひとつひとつの料理について食材の産地や生産者の説明を聞くことができるので、新潟の土地や生産者の方々に思いを馳せながらいただくことができました。それぞれのお料理には、シェフの選んだ日本酒やワインがペアリングで提供されます。

↑Restaurant雪峰の客席。他と同じく、ほぼ全面が窓になっており開放的な雰囲気です

 

↑炙り〆鯖と丸ナス。栃尾の酒造「越銘醸」の純米大吟醸「ドメーヌ 越の鶴」を合わせます

 

どのお料理も非常に手の込んだ調理でしたが、それなのにむしろ素材の特徴が力強く残っているという新鮮な味わいでした。

 

「キャンプスキル」のいらない焚火体験

食後、希望者は焚火エリアで歓談タイムを過ごすことができます。キャンプで焚火というと、「焚火台の設置」「薪の調達」「火起こし」「薪の継ぎ足し」「火消し」「焚き火台の掃除」などなど面倒なことばかりという印象があるかも知れません。好きな人はそれが好きなわけですが。

 

しかしここでは熟練したスノーピークのスタッフが焚火の作業を行なってくれるため、焚火をしたことがない人でも楽しむことができます。大きな炎を眺めるのは、それだけで気持ちが高揚したり、逆に癒やされたりするもの。普段キャンプをしない人にこそ味わってほしい体験です。

焚火を挟んで話すと仲を深めやすいような気がします。難燃性のタープで雨の日でも快適に焚火を楽しめます

 

野生に還る大浴場

「FIELD SUITE SPA」の名の通り、この施設の大きな軸となっているのが温浴施設。宿泊者以外でも利用できます。FIELD SUITE SPAの隣にはスノーピークのキャンプ場があるのですが、夜に徒歩で行ける温泉があるのはキャンパーにとっても大きな魅力でしょう。

宿泊者にとって嬉しいのは、夜と朝には宿泊者限定の利用時間があるということ(7:00~9:00、21:00~22:00)。前述したように客室数は少ないので、ゆったり利用できます。そこで、夜の宿泊者専用時間に利用してみました。

 

温浴施設には内湯・露天・サウナ・水風呂が用意されています。他の施設と同様、温浴施設も壁がほぼ全面ガラス張り。内湯にいてもまるで露天かのようです。そしてサウナの壁も屋外に向けてガラス張りというのは、かつてない体験でした。

 

そして本当の露天に出てみます。森に面した露天風呂にはウッドテラスが敷かれています。ライトアップなどされておらず、森の奥には漆黒の闇。そのため、森に向かってウッドテラスに立つと、まるで夜の森に裸で立っているような感覚になります。なにか自分の中の野生が呼び起こされるような、不思議な感覚でした。

 

木々と星空を感じる夜

部屋に戻り、しばし就寝までの時間を過ごします。先に書いたように、壁は2面が天井から床までの全面ガラス。もちろん夜はカーテンを閉めておくことができますが、思いたって部屋の明かりを消し、カーテンを全て開けてみました。

 

すると遠くの街明かりや星などが見え、まるで夜の屋外にいるかのよう。もちろん実際には室内なので、寒さも危険もありません。「アウトドアの苦手な人でも屋外を味わえる」という、FIELD SUITE SPAのコンセプトがここでも実感できました。

 

なにか気持ちが盛り上がってしまい、もう一度お部屋の風呂にも入ってみます。大きな窓で、まるで露天風呂のよう。檜の香りを感じながら、夜の空と木々を眺めつつ入るあたたかいお風呂は格別です。そのあとはぐっすり眠ってしまいました。

 

キャンプ場を散策する朝

朝。レースカーテンだけを閉めておいたので、日の出で明るくなるのとともに目覚めます。なんだか、キャンプ場で感じる朝と似ている気がしました。隣接のキャンプ場「Snow Peak HEADQUARTERS Campfield」まで散歩してみます。

 

外用スリッパのほかブーツも用意されているので、革靴やハイヒールなどで来てしまった人でも安心です。うっすら朝もやのかかる中、ちょっと肌寒さを感じながらの散策で、すがすがしい気持ちになりました。キャンプをせずに「キャンプ場の朝」を楽しめるので、非アウトドア派もFIELD SUITE SPAに来たらぜひ朝の散歩をお勧めしたいです。

↑朝のキャンプ場。キャンプをしていると思うのですが、一日として同じ朝はありません

 

↑宿泊エリアを散策。春夏秋冬でそれぞれ違った雰囲気を楽しめます

 

散歩を終え、Restaurant雪峰へ。この日の朝食は「美味しいものをちょっとずつ」という嬉しい形式でした。全体としてはたっぷりとしており、大満足です。

↑スクエアな器に、新潟の食材を使用したお料理がふんだんに盛り込まれている

 

【まとめ】四季折々で変わる景色に身を投じた2日間

「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」を1泊2日で利用してきました。最初に書いたように、施設内のどの場所も全面窓による広い視界で、屋外にいるような気分になれます。まさに、屋内の快適さはそのままにアウトドア体験ができる場所でした。ですから、もちろんアウトドア好きの人でも楽しめることは言うまでもありません。

 

その景色も、この地は四季ごとにガラリと表情が変わります。筆者はこのFIELD SUITE SPAを春・夏・秋と3シーズンにわたって訪れていますが、それぞれに新しい感覚でした。冬には、壮大な雪景色。「キャンプ好きだけど、さすがに雪中キャンプはちょっと…」という方も、FIELD SUITE SPAでなら安心して雪景気に浸ることができますよ!

 

撮影/鈴木謙介