全豪オープン、全仏オープン、全米オープンに並び「テニスの世界4大大会」と呼ばれるウィンブルドン選手権。現在、2019年大会が行われており、日本の大坂なおみ選手は初戦で敗退しましたが、錦織圭選手は3試合連続ストレート勝ちで4回戦に進んでいます(7月8日 日本時間18時時点)。そんな世界が注目するウィンブルドンで、観客がさらに楽しめるように導入されているのがAIテクノロジーです。
ウィンブルドンで導入されているAIテクノロジーを開発しているのがIBM。同社は約30年前からウィンブルドンのオフィシャル・テクノロジー・サプライヤーとして同大会をサポートしており、出場選手の魅力を世界中の観客に伝えるなど、内外から大会を支えているそうです。そのなかから様々なテクノロジーをご紹介しましょう。
ワトソンは敏腕編集者
ウィンブルドン大会で導入されているAIが「ワトソン」と呼ばれるサービス。数時間にもおよぶテニスの試合を、わずか数分程度のハイライトにまとめるのは、かなり時間がかかる作業です。しかしこのワトソンは、選手のジェスチャーや観客の反応から試合のハイライトをリストアップして即座に編集。試合後たったの2分でハイライトをまとめ、テニスファンはそれを鑑賞することができるのです。
また出場選手とコーチ陣には、それぞれの試合分析結果もまとめて提供。こちらは試合後20分以内に完了します。
ウィンブルドンアプリにはAIボットを装備
また、ウィンブルドンのアプリにはAIボットが装備され、ユーザーがウィンブルドンに関する質問を聞くと、ボットが回答。世界大会のことをより身近に感じることができるのです。
膨大な過去の試合データからインサイトを提供
ウィンブルドン大会だけでも、IBMは毎年450万ポイントの試合データを集めることとなります。1990年から収集し解析されたデータは6280万ポイントにもなるそう。それらの傾向とデータ解析から、IBMは試合中にインサイトを提供しています。さらに、3500にも及ぶメディア、ジャーナリストにIBMのデータへのアクセス提供も行っているのです。過去のデータを使いながら分析された試合の評論を私たちが目にするとき、IBMのデータが役立っているのかもしれませんね。
長時間にわたるテニスの試合をすべて振り返るのは、観客にとっても選手にとっても簡単なことではありません。そんな場にAIを活用することで、観客はテニスをもっと楽しめて、選手にとってはより効率的に分析できることになるわけです。世界中が注目するウィンブルドン大会も、そんな視点で見てみると、また違った面白さがあるかもしれません。