スポーツ
2019/8/15 18:00

キーワードはサステナブル! アディダスが発表した新テクノロジーアパレルに見たスポーツの未来

世界的なスポーツブランドの1つ、アディダスが、ウェアブランドのadidas by Stella McCartneyのコレクションより、衣類廃棄による環境破壊の問題解決に向けた2つの最新プロダクトを発表した。

元ランキング1位のスペイン人テニスプレーヤー、ガルビネ・ムグルッサが着ているパーカーは、廃棄された衣類をリサイクルしてうまれた素材NuCycl™繊維から作られた、100%リサイクル可能な、「adidas by Stella McCartney Infinite フ―ディー」というモデル。

 

アディダスと高機能繊維技術企業Evrnu社との連携により開発され、NuCycl™繊維60%、オーガニックコットン40%で作られた。原材料は何度でも再利用可能で、さらに高い機能を持つ製品へと生まれ変わるのだという。

こちらはムグルッサにもとてもよく似合うテニスウェア、「adidas by Stella McCartney Biofabricテニスドレス」だ。

 

この白いウェアは、バイオエンジニア素材・繊維の開発に取り組んでいるBolt Threads社との連携によって、プロトタイプとして作られている。水や砂糖、イースト菌といった生物分解が可能なタンパク質を主体とする新素材Microsilk™に、セルロース配合繊維を織り込んだ全く新しい素材のテニスウェアだ。

 

アディダスのこうした活動は、いわゆるサステナブルな社会の実現に向けた企業活動の一環だ。世界全体の衣類・繊維製品の廃棄物は年間で約9200万トンに及ぶと推定され、その多くが化学繊維で作られている。特にスポーツウェアの世界では、その傾向が顕著だ。

 

アディダスは、使い捨てプラスチックへの依存および製品生産に伴うCO2排出量の削減という課題の克服に向けさまざまなチャレンジをしており、海から回収されたプラスチック廃棄物や深海の違法刺し網を原材料とするパーレイ・フォー・ジ・オーシャンズとのコラボシューズが、すでに販売されている。

アディダスの目標は、2024年までに製品に使用する素材をすべてリサイクルポリエステルに移行すること。今回発表されたウェアは、先のシューズのような再利用プラスチックの利用だけでなく、Made to be Remade(再生を踏まえた生産)に向けたステップの1つであり、さらにはMade to Biodegrade(生物分解を踏まえた生産)に向けての試作品として開発されており、その本気度が改めて示されたことになる。

 

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が、「SDGs」(※)に沿った大会運営を重要なテーマの一つとしているように、いまや「持続可能な開発目標」を課題として掲げ、その克服に向けて努力することは、産業界だけではなく、スポーツ界とて無縁のことではない。これまでは機能や性能、さらにはファッション性が求められてきたスポーツギアの世界にも、今後は「サステナブル」であることが強く求められる時代になってきた。

 

※SDGs:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

 

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