スポーツ
2021/1/2 19:30

2020年、日本人スーパープレーヤーたちの「輝きの一瞬」を振り返る

東京オリンピック・パラリンピックを筆頭に、あらゆる場面で新型コロナウィルスの大きな影響を受けた2020年のスポーツ界。そんな状況下においても、われわれ日本人の心をときめかせてくれた、日本を代表するスポーツ選手たちの輝いた一瞬(とき)を振り返ろう。

 

【01】

錦織圭:コロナ感染とケガを乗り越えて結婚を発表。再起の時が待たれる

2019年の右ひじの手術から復帰を図るも、2020年は新型コロナの影響で試合がなくなり、自身も8月にコロナに感染。9月になって、ほぼ1年ぶりでツアーに復活を遂げた錦織圭。

 

動画は2019年の全米オープン以来の勝利となったイタリア国際1回戦でのもの。“らしい”動きも見せていたが、まだ本調子ではなく、その後の全仏オープンに出場はしたものの、今度は右肩を痛め、以降の予定をキャンセルしている。

 

ただ新シーズンへの準備も進んでおり、12月には結婚も発表。この結婚に対する周囲の雑音を断ち切るためにも、再起の時を待ちたいところだ。2021年の初戦は、1月中旬以降となる模様。まずは2月初旬開催予定の全豪オープンで、どんな結果を残してくれるのか、注目したい。

 

【02】

八村 塁:確かな進歩を遂げたルーキーイヤー。新シーズンはスタープレーヤーとの共演に注目!

 

二度と来ない貴重なルーキーシーズンをコロナ禍に邪魔をされた恰好となったものの、着実な進歩を遂げたのが、NBAワシントン・ウィザーズの八村塁だ。

 

チームはシーズンを通して苦しい戦いが続いたものの、自身は今季1試合平均13.5得点、6.1リバウンド、1.8アシストを記録。2019-20シーズンのオールルーキーのセカンドチームの一員に選ばれ、その実力は多くのファンが認めるところとなっている。

 

2020-21シーズン、ウィザーズは大型トレードで2016-17シーズンのMVP、ラッセル・ウェストブルックを獲得。巻き返しに向け、勝負に出た。八村自身は、12月23日の開幕直前に流行性結膜炎のために3週間の欠場を余儀なくされ、出鼻をくじかれる格好となったが、復活後の共演が非常に楽しみだ。

 

【03】

久保健英:強いチームで新たなチャレンジ。19歳の若武者に訪れた試練の時

 

順風満帆と思われた久保建英の去就が揺れている。2020年8月、ビジャレアルに期限付き移籍を果たした久保。若きサムライの動向は日本のみならず、現地でも注目の的となっており、今度はどんな活躍を見せてくれるのか、期待が寄せられていた。

 

チームの歓迎会ではドラえもんの歌を披露。そのお茶目な姿は、日本でも大きく報道された。しかし、リーグ戦での先発はほとんどなく。いまだレギュラーポジションをつかめていない。

 

途中出場からでも、実績は残しているかに見えたものの、12月25日時点で、リーガへの試合出場も2試合途切れ、そのリーグ戦出場時間の少なさに、現地スペインではにわかに1月の移籍先が取りざたされることに。ただし、前所属のマジョルカとはチームの中身がまるで異なることも確かで、上位争いをするチームの中で、その真価が問われているともいえる。19歳の若武者にとっては試練の時。今後の展開に注目だ。

 

【04】

大坂なおみ:その名を世界に轟かせた“時の人”。さらなる高みに向けた成長に期待

 

2020年、その名が世界中で鳴り響いた。大坂なおみ。彼女がコロナ禍の中で見せた行動は世界中から賞賛を集め、一躍“時の人”となったことはご存じのとおりだ。しかし、彼女のテニスが長足の進歩を遂げた結果として、2度目の全米制覇という偉業が成し遂げられたことを忘れてはならない。

 

上記のダイジェスト映像を見てもわかるように、決勝では元女王のビクトリア・アザレンカを相手に、第1セットを落としてからの逆転勝利だった。劣勢を跳ね返した力強いサービスとストローク。そしてそれを可能たらしめたメンタルの強さに目を見張った。かつてはメンタルの弱さから自滅することも多かった以前の彼女の姿は微塵も残っていなかった。

 

年末には世界20カ国で発行されるファッション誌『VOGUE』の表紙を飾り、米国のニュース誌『TIME』が選出する「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた大坂。世界が目を向ける存在となったが、まだ23歳の彼女自身、現在の戦績で満足しているはずがないだろう。4回戦以上を経験していない全仏オープンやウインブルドン、さらにはオリンピックとビッグタイトルはまだまだ残っている。2021年、大坂のさらなる成長に期待したい。

 

【05】

ダルビッシュ有&大谷翔平:明暗分かれたMLB期待の日本人プレーヤー。新シーズンに真価が問われることに

2020シーズンは12試合に先発し、リーグ最多の8勝。リーグ2位となる防御率2.01をマークしたMLBシカゴ・カブスのダルビッシュ有。シーズン後にはサイヤング賞の有力候補として名があがり、惜しくも賞は逃したものの「オールMLBチーム」の先発投手の1人として、日本人として初めて選出されるなど、過去最高の活躍を示した。

 

動画は9月4日のカージナルス戦で見せた11奪三振の様子。その圧巻の投球ぶりをみると、2021シーズンもまだまだ期待が持てる。そして年末、サンディエゴ・パドレスへのトレードが正式決定したというニュースが急きょ報じられた。新天地でも昨シーズン同様、サイヤング賞級の戦績を残せるか、その真価が問われることになりそうだ。

 

一方で2020シーズンを残念なかたちで終えてしまったのが、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平だろう。7月26日、2年振りに公式戦マウンドに立ったものの、いきなりの5失点降板。2回目の登板も大乱調で、その後、前腕屈筋回内筋の損傷が判明し、打者として専念することに。

 

動画は7月29日に放った第1号HR。難しいボールを救い上げての一撃に多くの賞賛が寄せられたが、終わってみると打率.190、7本塁打と調子は持続せず。ただ、2021年に向けてケガの回復は順調との報道もされており、2021シーズンこそ投打の完全復活に期待がかかる。いや、むしろ2年続けて似たような成績は本人のプライドも許さないだろう。彼にとっても真価が問われるシーズンとなりそうだ。

 

【06】

井上尚弥:鮮やかなノックアウト勝利に世界が驚嘆。次の対戦相手の決定が待たれる

 

この男を忘れるわけにはいかない。最後を飾るのは、ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥だ。2020年10月31日、ラスベガスで行われたジェイソン・マロニー(オーストラリア)との一戦で見せた、まさに圧巻の7回KO勝利は、世界中の度肝を抜いた。

 

さて、この男の次なる対戦相手は誰になるのか。本来なら、2020年4月に対戦するはずだった同級WBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)との試合となりそうなところだが、当のカシメロは別の対戦相手との試合を望んでいるようで、再び井上尚弥の雄姿を見られるのは、もう少し先のことになりそうだ。続報を待ちたい。