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2023/6/5 20:30

「ウルトラブースト ライト」は、ビジネスクラス並みの快適さで、走りまで軽っ!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「adidas」新緑の陣②「ウルトラブースト ライト」の巻(後編)

 

陸上競技の元選手だったアディ・ダスラーが、1948年にドイツ・ヘルツォ―ゲンアウラッハで興したスポーツカンパニー、アディダス。そのアディダスには、トップ選手など記録を追い求めるランナーたちが履く「アディゼロ」シリーズを筆頭に、高いクッション性で、快適な走りを求める「ソーラー」や「スーパーノヴァ」といったシリーズなど、豊富なラインナップを揃えている。

 

そんなアディダスのランニングシューズの中で、よりエネルギッシュに、気分を高めて走りたい人たちに支持されているのが「ウルトラブースト」シリーズ。大量の気泡が埋め込まれた発泡ポリウレタン樹脂であるブーストフォームによって得られる、独特の“沈んで跳ねる”感覚が最大の特徴である。

 

そのブーストフォームが今シーズン、最軽量のライト ブーストに進化。初めて搭載された「ウルトラブースト ライト」となって登場した。というところまでが、前回までの話。今回は、実際に走って試してみることになる。

↑「ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)」2万5300円(税込)。サイズ展開:ユニセックス22.5~30㎝。カラー展開:ユニセックス8色。ドロップ(踵と前足部の高低差)は10㎜

 

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いよいよ、ウルトラブースト ライトを試走!

ということで、まずはシューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

 

最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」だ。いずれも、“たまには、走ってみようかな”と思った際に目安になるペースである。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

「ウルトラブースト ライト」は、ニットのブーティ構造。ブーティは履くのに少し手間がかかるが、履いてしまえば足に良く馴染む。しかもウルトラブースト ライトのニットは「プライムニット」と呼ばれ、なるほど快適に足を包み込んでくれている。ヒールカップも深い上にパッドまで付けられており、エアラインで例えるなら、ビジネスクラス的な快適さで、足とシューズが一体化している。

 

立ち上がって、脚を上げる。か、軽い! 27㎝片足で293gというが、もっと軽く感じる。足を包み込むブーティ構造のためかもしれないが、ブ厚い「ライト ブースト」フォームの見た目のイメージを覆す、想像以上の軽さだ

 

歩き出しても、もちろん足取りは軽い。“楽に歩ける”なんて表現は陳腐だが、“楽”だから仕方ない。仕事柄、さまざまなスポーツブランドにお邪魔する機会が多いので、普段履きには特定のブランドのシューズを履くことは絶対にないのだが、展示会周りなど2万歩に迫る歩数の日に履きたい誘惑に駆られる一足だ。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

ランニングとジョギングの違いは、走るペースの差。早足と同程度(1㎞を7分で走る程度)のペースを、ジョギングと呼ぶ。それ以上のペースが、ラン。運動不足の解消には、息が切れず、しかしながら全身の血流が増えて筋肉の過緊張やコリがやわらぐ、ジョギングが最適とされる理由だ。

 

早足と同程度の速さなので、頑張る必要はナシ。気分転換に、音楽を聴きながら、好きな方向へ散歩の延長で走り出せば、街の新たな発見や、自分のカラダへの意外な気付きが待っている。

 

ウルトラブースト ライトでのジョギングは、もちろん快適。ロッカー構造(ヒールから爪先に向けて揺りかごのような形状)があるので、もう少し転がる乗り味がするかと想像していたが、いたってニュートラル。無理に進ませるようなことはない

 

強いて書けば、アウトソールの「コンチネンタルラバー」のノイズ音だろう。普通に屋外を走っている分には気にならないが、トンネルや体育館内の走路を走ると、少しノイズが気になる。まぁ、それだけグリップしている証拠でもあるのだが……。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

疲れない=たくさん走れる。それが、ジョギングペースの魅力。たくさん走れば、当然、脂肪もたくさん燃える。ジョグに慣れてくれば、もちろん走力も上がる。少しくらいペースを上げてもヘッチャラだし、5㎞、10㎞と言われてもビビらなくなる。

 

そんなあなたは、すでに1㎞を6分程度のペースで走っているはず。距離が増えれば体型も締まるし、体型が締まれば、さらに距離も伸ばせる。この好循環が軌道に乗れば、健康診断の数値も劇的に改善し、食事の自由も取り戻せる。まさに、良いコトずくしが、痩せランペースなのだ。

 

向き合う相手は、あくまで己の内臓脂肪や皮下脂肪、異所性脂肪なので、ペースを無理くり上げて、故障のリスクを高めるべきではない。そんな賢者のランにも、ウルトラブースト ライトは十二分に対応する。

 

近所に丘があれば、ラッキーでさえある。ペースを上げずとも負荷が高まるし、永遠に続く坂道はないので、下り坂で筋肉や関節への適度な刺激を与えることができる。何よりブーストフォームのクッション性と反発性は、坂道に入るとめきめきと頭角を現す。ちょっとやそっとの坂道なら、ウルトラブースト ライトは屁の河童なのだ。

 

特筆すべきは、上り。グングン登れる。これだけ分厚く、かつ軽量なライト ブーストフォームがあるにも関わらず、走行が安定しているのは、ソールユニットに樹脂プレートを配したL.E.P. (リニア エナジー プッシュ)の貢献が大きい。

↑写真はウルトラブースト ライトのアウトソール。爪先(右)から、左右に分かれて踵へと伸びる朱赤のバーが、L.E.P.である

 

L.E.P.は、前足部から分かれて中足部に至る樹脂製のバーによって得られる機構。L.E.Pは、中足部に入れることで安定を高めるプレートシャンク)の替わりに安定性を高める部材だが、同時に板バネとしての機能も持つ。フラットな路面では感じにくいが、上りでは劇的にL.E.P.の効果を感じるはずだ。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

ということで、さらにペースアップ。距離は短くとも、ペースを上げて追い込めば、気分はスカッとなる。すでに坂道でウルトラブースト ライトの実力は証明済みだが、ペースを上げてもライト ブーストライト+L.E.P.は働いてくれる

 

最軽量のブーストフォームとして生まれたライト ブーストも、従来のブーストフォーム同様のバネ感が健在(計測値では4%アップ)。それ以上に感じるのは、ファーストインプレッションでの“軽さ”だ。もちろんレーシングシューズの軽さとは比較にならないが、ギアとしてのシューズの軽さ以上の、走りの軽快感がウルトラブースト ライトにはある

 

先ほど、L.E.P.には、板バネ的な働きと、シャンクの安定性を兼ね備える機構と書いた。そのため、平地でスピードを上げるほど、L.E.P.は板バネとしての働くと想像していたが、実際に走ってみると、L.E.P.は安定性の方により貢献していた。

 

理由のひとつは、ウルトラブースト ライトの踵側に配されている樹脂のフレームの存在だろう。高速走行での着地衝撃は、踵のプレートに守られたライト ブーストよって、無理のない範囲で吸収された上でL.E.P.に伝わるため、走りの安定感が増すと考えるのが自然だ。

↑踵を左右から支えるように配された朱赤の樹脂フレーム。中足部まで伸びており、分厚いライト ブーストにもかかわらず、安定した着地に寄与すると考えられる

 

ウルトラブースト ライトの“やんちゃさ”は、高速走行というよりも、アップダウンなどの緩急あるランニングで発揮される。いわば、勝利のための駆けっこ専用モデルではなく、楽しく走れる鬼ごっこ対応モデル、といったシューズなのだ。

 

ということで、次回からは、日本のランナーのために、日本で開発されたグローバルブランド「アディゼロ」シリーズの最新デイリートレナー「アディゼロ SL」についてレポートしよう!

 

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撮影/中田 悟、我妻慶一

 

 

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