文房具
2017/3/2 14:20

芯が折れないだけじゃない! 筆記ストレスを極限まで抑えた「消すのも快適なシャープペン」の秘密

最近の文房具は、ユーザー目線で改良され続けています。なかでも、ゼブラの「デルガード タイプER」はいままでなかった珠玉の逸品! 芯が折れないだけでなく、使い勝手を徹底的に追求した結果、新境地に辿りついた至高のアイテムなのです。開発者の方へのインタビューと一緒に、この革新的なシャープペンの真価を見ていきましょう。

 

書くことに集中できる折れないシャープペンシル

ここ数年の文房具界で最もホットなジャンルが、「折れないシャープペン」です。まず、2009年にプラチナ万年筆が、落下による軸内部での芯折れを防ぐオ・レーヌを発売。記録的な売り上げを達成しました。

 

以降、最細0.2ミリ芯が折れずに書けるぺんてるのオレンズや、常に芯が尖った状態をキープする三菱鉛筆のクルトガ・パイプスライドモデルなど、各メーカーが次々と新製品を投入。新興の市場ながら、たちまち急成長を遂げました。そんななか、ゼブラが14年に満を持して発売したのが、あらゆる使用局面において芯を「ガード」するデルガードです。

 

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ゼブラ「デルガード タイプER」756円

芯が折れないシャープペン・デルガードの最新モデルは、ペンを逆さにするだけで消しゴムが出てくる新機構を搭載。消しゴム使用時は自動でロックされ、ペンの向きを元に戻すと再び本体に収まる仕様です。カラバリは全6色展開。

 

デルガードでは、垂直方向の荷重は芯がサスペンションのように浮き沈みすることで吸収し、斜め方向のストレスには金属のガードが軸先端から飛び出して芯を守るという革新的な機構を採用。3㎏以上の荷重をかけても芯が折れないというから驚きです。

 

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↑消しゴムギミックの構造を再現したモデル。これに限らず、新機構を開発する際は必ずモデルを制作し、これを基に検討を重ねるそうです

 

同社の商品開発部でマーケティングを担当する小野陽祐さんは、デルガードのコンセプトについて次のように語ってくれました。

 

「どれだけ荷重をかけても折れないというのはもちろんですが、他のメーカーさんから発売されている“折れないシャープペン”と比べてのデルガードの強みは、『これまでと同じ使い方をしても芯が折れない』ということです。新機構を採用した筆記具は、どうしても普段と書き味が異なるなど、ユーザーが違和感を覚えることが多いようです。

 

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↑芯が折れないための構造。垂直方向の筆圧は軸に内蔵するスプリングが吸収し、斜めの筆圧からは先端の金属部分が芯を包んでガードします

 

しかしデルガードは、従来のシャープペンと同じ感覚で使っても折れることがありません。ユーザーには、それが“折れないシャープペン”であるということすら意識させず、ただ書くことに集中していただきたいという思いで作りました」

 

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↑タイプERに搭載する消しゴムギミックの仕組み。消しゴムが出ているときは、内部のボールがストッパーとなって戻るのを妨げています

 

最新作のタイプERは誤字を消すときも集中が続く

当然ながら、筆記中の芯折れは集中を削いでしまいます。デルガードは、普段通り使っても芯が折れないことで筆記に集中できるシャープペンとして、多くのユーザーに認知されるようになりました。そして、ゼブラの“折れないシャープペン”の次なるステージは、書いたものを「消す」ときも集中が続くモデル――昨年12月に発売されたデルガード タイプERです。

 

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↑「折れない」機構の断面。軸内の狭いスペースで、数多くの部品が複雑に組み合わさっていることがわかります

 

ほとんどのシャープペンには軸後端に消しゴムがセットされていますが、これを使うにはまずキャップを外さなくてはなりません。そのキャップも紛失すると面倒なので、デスク上の目につくところに転がらないように置かねばなりません。たかだか誤字1文字を消すだけでも、集中を削いでしまう要素がこんなにも多くあるのです。

 

そこでタイプERは、軸を逆さにするだけで消しゴムが自動的に飛び出してくるというギミックを搭載しました。しかも、紙に強く押し当ててゴシゴシこすっても、消しゴムは軸のなかに戻りません。にもかかわらず、使い終わって軸を元の向きに戻すと、再びスッと引っ込んで収納されます。

 

まるで手品のような、不思議な構造です。キャップを外す必要もなく、ただシャープペンを逆さにして消して、筆記姿勢に戻るだけで元通りになります。これなら「書く」と「消す」がシームレスにつながるので、いちいち集中を削がれることがありません。

 

この消しゴムギミック、実は同社で消しゴムの新製品に搭載する機構として検討されていたものでした。しかし、同社の研究開発本部で主任研究員を務める月岡之博さんは、この消しゴムギミックこそデルガードに搭載するのが相応しいと考えました。

 

「筆記時の集中が続くというのがデルガードのコンセプト。であるならば、『消す』ときもまた集中を削がれないほうが良いでしょう。ただ、消しゴムユニットを細いシャープペンの軸に内蔵できるほどコンパクトに設計するのには、非常に苦労しました」

 

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↑デルガードに使われている部品の一覧。上2段はすべてグリップから先のものだ。省スペース設計を実現するには苦労があるといいます

 

タイプERが従来のデルガードからアップデートされているのは、消しゴムだけではありません。例えば、ユーザーの要望が多かった「ゴムグリップ」を新搭載しました。

 

「シリーズ第1弾のスタンダードモデルは、内部機構を見てもらいたいという思いがあったため、透明のプラグリップを採用しています。そろそろデルガードも多くの方に認知していただけただろうということで、本製品では要望の多かった不透明のゴムグリップを使うことに決めました」(小野さん)

 

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↑デルガードのラインナップです。左から初代デルガード(左から0.5㎜、0.3㎜、0.7㎜が各2本)、金属グリップのタイプLx、タイプER(2本)

 

この地味にスゴいタイプERについて、文房具ライターのきだてたくさんは「進化型消しゴムを搭載したタイプERは、消す際に邪魔になるからという理由で、シャープペンには必須のクリップさえ排除しています。消しやすさにこだわる姿勢に感服!」とクリップを排した点を評価しています。

 

ここまで消しやすさを重視しているシャープペンはほかにないですよね。ちなみに、「折れないシャープペン」シーンでは現在進行形で熾烈な開発競争が繰り広げられています。付加価値の高いタイプERの登場により、各メーカーの機能強化の争いは今後より激化していくことでしょう。