文房具
筆記用具
2017/2/23 18:34

デスクワークのマンネリ化を防げ! アイデア文房具でいつもの作業をクリエイティブに

資料作成やデータ・メールの整理といったデスクワークは、日々誰もが行う基本業務。とはいえ、同じ作業が長く続けば気分が滅入ってくることもあるのではないでしょうか? そんなときは、普段とは違った文房具を仕事に取り入れ、気分を変えてみましょう。ユニークなアイテムを使えば、ともすれば停滞しがちな思考を動かしてくれるかもしれませんよ。そんな発想力に満ちたアイデア文房具を教えてくれるのは、3000以上の文具コレクションに囲まれて暮らしているという文具ライター・きだて たく さんです。

 

【その1】

ペン立てを増やすなら“一輪挿し”が正解! 特別な筆記具を素早く効率的に取り出せる「ぺんコッコ」

文房具を色々と気にするようになると、誰もが必ずぶち当たる問題がある。それが「ペン立てがギチギチになってて必要なペン取り出しにくい問題」である。

 

要するに、普段使いの筆記具やハサミなどを机の上のペン立てに無造作にぼんぼこ投げ込んでいった結果、ペン立ては立錐の余地もなくギッチギチのパッツパツ。いざメモを取ろうかという場面でも、とっさに使いたいペンが見つからないし、見つかってもなかなか取り出せない……という話だ。

↑このペン詰まり状態。自分が招いた状況とはいえ、イライラが止まらない
↑このペン詰まり状態。自分が招いた状況とはいえ、イライラが止まらない

 

この状態を回避する方法は、ペン立てに入れる文房具を厳選して減らす、ペントレーやツールスタンドに変える、などいくつかあるが、最もシンプルな解法はペン立てを増設するということだろう。ただ、机が狭い人だと、少ない面積リソースをさらにペン立てにとられるのは辛い。あと「ペン立て増やしたからもっと文房具が買える」と考えていると、あっという間に増設分もギチギチに膨れあがるだろう。

 

今回紹介するCONFETTiの「ぺんコッコ」は、上記の問題をうまくクリアできる、増設に最適な「世界最小のペン立て」である。

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CONFETTi
ぺんコッコ
実売価格670円
見た目的にはシリコンゴム製のぽっちゃりしたドーナツだが、このドーナツの穴の部分にペンを一本だけ挿しておける(一本しか挿せない)、いわば“筆記具の一輪挿し”ともいうべきもの。

↑ペンを挿すとこのように。見た目よりも安定感は高い
↑ペンを挿すとこのように。見た目よりも安定感は高い

 

この一輪挿しの何がイイかというと、最もよく使っている「いつものペン」を、最も見つけやすく取り出しやすい形で外に出しておけるのだ。だいたい、手元にペンが何十本とあっても、普段から使うものは基本的に1本か2本ではないか。なら、それを一番取り出しやすくしておくのが効率的なはずだ。

 ↑使用例。ペンが欲しいとき、一番手が伸ばしやすい位置に置こう
↑使用例。ペンが欲しいとき、一番手が伸ばしやすい位置に置こう

 

つまり、ぺんコッコを「レギュラー筆記具の専用待機スペース」に、ペン立ては「レギュラー以外の手元に置いておきたい文房具の場所」と設定してしまえば、それ以上迷うことはなくなるだろう。

 

使い始めは、裏面の粘着材から保護シートをめくって机の好きな場所にペタッと貼り付けるだけ。一度貼ってしまえば、ペンの抜き挿し動作ぐらいで剥がれることはないぐらいには安定する。

↑裏面にはゲル状の粘着材。ほこりが付いても、水洗いして乾かせば元に戻る
↑裏面にはゲル状の粘着材。ほこりが付いても、水洗いして乾かせば元に戻る

 

ぺんコッコ自体の直径は約40㎜。専有面積が小さいので、どこでも気兼ねなく、自分の手が届きやすい位置に設置しよう。メモ帳の横やPCのモニタの前など、自分の用途に合わせて置けばいい。貼る場所を失敗しても軽くヒネリながら剥がせば簡単に取れる。粘着材を水洗いすれば貼り直しもOKだ。

 

さて、実際に使ってみると、このドーナツ穴のサイズがなかなか絶妙だ。太軸の多色ペンから極細軸シャープペンシルまで、だいたいの筆記具がスッと挿せてピタッと止まる(キャップ式はさすがに太すぎて入らない場合が多い)。

↑先端が太くても細くても、だいたいはうまく収まる
↑先端が太くても細くても、だいたいはうまく収まる

 

フチ周りのなめらかな曲面にペン先を沿わせるようにして押し込むと、だいたい上手く先端が穴に収まるようになっているので、穴の小ささを不安に感じる必要はない。

↑慣れてしまえば、目をつぶってでもちゃんと挿せる
↑慣れてしまえば、目をつぶってでもちゃんと挿せる

 

で、一度挿してしまえばシリコンゴムの柔軟性もあって、かなりのホールド感を発揮してくれる。あまりグイッと挿し込みすぎると、抜く時に多少の引っかかりを感じることはあるが、使いづらさを感じるほどではないだろう。

 

無意識に手を伸ばしたところにいつものペンがあって、サッと抜いて書いて、スッと戻す。ペン立てをガシャガシャかき回して使いたいペンを探すのに比べると、1本だけしか入らない一輪挿しは、ペン立て問題の解決法としてなかなかスマートだと思う。

 

【その2】

消しゴムから出る「消しカス問題」が終結! ケシゴム屋さんが発案した「コロコロ」がすべてを解決

続いては、ありそうでなかった“消しカス”に関するユニークアイテムを紹介する。

 

ノートの誤字を消すのに消しゴムを使ったら、消しカスが出る。「お金を使ったら、財布が空」「呼吸を止めたら、苦しい」ぐらいに当然な因果関係の一例である。細菌が繁殖してるとか老廃物が固まってるとか、そういう意味で不衛生なものではないのだが、それでも、消しカスはやっぱり見た目も汚い。

 

ノートの上に乗ったままだと文字を書くのに邪魔だし、かといって無造作にパッパと払うと、今度は机や床に落ちて見た目によろしくない。あれ、なんとかならないものか。しかし、先にも書いた通り、消しゴムをかけたら必ず消しカスが発生する。消しカスとは、消しゴム表面に付着した鉛筆の炭素が柔らかくなったゴムにくるまれて剥がれ落ちたものなので、逆に消しカスが出ないと消しゴムは汚れる一方となる。つまり、あれは必要悪というか必要カスなのだ。

↑消しカスの顕微鏡写真。拡大すると、消しゴムが鉛筆の炭素汚れを包み込んでいるのがわかる
↑消しカスの顕微鏡写真。拡大すると、消しゴムが鉛筆の炭素汚れを包み込んでいるのがわかる

 

まぁ、必要だからといって、出ていいというわけでもない。そこは消しゴムメーカーが責任を取ってなんとかするのがスジちゃうんか、という話である。……というヤカラな文句を真に受けたワケではあるまいが、なんと本当に消しゴムメーカーが責任を取って消しカスをキレイに片付けるための商品を発売したのだ。

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SEED
消しカスクリーナー まめコロ
実売価格702円
それが「消しカスクリーナー まめコロ」。パッケージに「ケシゴム屋さんがつくった」とある通り、日本最大の消しゴムメーカーSEED製の商品である。

↑50m幅のテープが36周巻に。見た目はまさにコロコロだ
↑50mm幅のテープが36周巻に。見た目はまさにコロコロだ

 

原理としては、いわゆる床掃除などに使う粘着のコロコロ。まんま、アレだ。使うときは、まめ型のかわいらしいボディを持ち上げて、粘着面を消しカスの散ったノートやコピー用紙の上でコロコロと転がすだけ。使用に際して何も考えることもない、シンプルきわまりない製品である。

↑机の上に置くと意外と存在感がある
↑机の上に置くと意外と存在感がある

 

しかしながら、実はコロコロをここまで何も考えずに使えるようにするために、メーカー側はかなり苦労と手間をかけている。なにせノートは紙だ。一般的な掃除用のコロコロを走らせてみると、粘着力が強すぎて紙面が破れたり剥がれたりと大変なことになってしまう。

 

ノートがビリッといかないか注意を払いながらちょっとずつコロコロする……というのは、正直かなりストレスだろう。とはいえ、粘着が弱すぎると消しカスすら拾えない。何も考えずに気軽にコロコロするためには、ノートには粘着せず、かつ消しカスだけをくっつける、という絶妙な粘着力が必要になってくるのだ。

 ↑消しカスの乗ったノートにコロコロ。粘着シートが紙に貼り付くような怖さはほぼ感じない
↑消しカスの乗ったノートにコロコロ。粘着シートが紙に貼り付くような怖さはほぼ感じない

 

↑こんな感じ。周囲にカスが散ることもなくきれいに掃除完了
↑こんな感じ。周囲にカスが散ることもなくきれいに掃除完了

 

SEEDは幾度もテストを繰り返し、まさに「紙にはつかないけど消しカスはくっつく」という、最適なバランスの弱粘着シートを開発。これなら、かなり無造作に紙の上を走らせてもビリッといく心配はない。

 

使っているうちに消しカスが貼り付いて粘着力が落ちてきたら、普通のコロコロと同じようにロール状の粘着シートを一周分はがして捨てるだけ。ロールには切り込みが入っているので、そこから簡単に切り離せる。違うのは粘着力だけで、この辺の使い勝手はほぼ掃除用コロコロと変わらない。

↑汚れたシートの捨て方は、コロコロとまったく一緒。一周分を破ってゴミ箱へポイ
↑汚れたシートの捨て方は、コロコロとまったく一緒。一周分を破ってゴミ箱へポイ

 

ただ、何度も言うように、粘着力がかなり弱め……というか消しカスがくっつくギリぐらいに設定されている。そのため、消しカスがゴロッと大きな塊になるような、いわゆる“まとまるタイプ”の消しゴムはちょっと苦手なようだ。

↑漫画家の原稿消しゴムかけにはさすがに対応しきれず
↑漫画家の原稿消しゴムかけにはさすがに対応しきれず

 

あとは、多すぎる消しカスにもやはり対応できない。漫画家さんのように職業的に大量の消しゴムかけをする人には便利かも……と思ったのだが、実際にプロに試してもらうと、一周分のシートがあっという間に埋まり大変なことになってしまった。これに関しては、もう少し大判ロールのプロ用を発売してもらえるようSEEDにお願いするほかないだろう。

 

【その3】

シャボン玉やバラの花びらより軽い修正テープが話題に! トンボ鉛筆の自信作「MONO AIR」は革命的な消し心地

最後に、文房具業界でちょっと話題になっているアイテムを紹介しよう。修正テープのトンボ鉛筆「MONO AIR」だ。

↑自信満々のパッケージ。いつも使っているテープ幅はヘッド色で憶えておこう

トンボ鉛筆
MONO AIR
実売価格270円
カートリッジ交換不可の使い切りタイプ。テープ幅は4.2㎜、5㎜、6㎜の3種類で、テープ長は全て10m巻となっている。テープ幅は先端のヘッドの色で見分けられるので、自分が常用するテープ幅の色を覚えておくと買い間違えがない。

 

この修正テープ、驚くほど軽い力でテープを引けるということで大好評。なんせ、メーカーがパッケージに「驚くほど軽く消せる」と書いてしまっているほど。トンボ側も相当に自信がある商品だというのは見て取れる。

 

発売前のモニターキャンペーンでは「MONO AIRは○○より軽い消し心地!」というお題のコメントを募っていたが、当選したユーザーからは「シャボン玉より軽い」「バラの花びらより軽い」「子どもたちのジャンプより軽い」など、いろいろ趣向を凝らした(言いすぎじゃないか? というようなものも含む)軽さの表現が寄せられていた。

 

それだけ軽い軽いといわれれば、文房具好きとしてはやはり気にはなるだろう。では、実際に使ってみるとどんな感じなのだろうか?

 

 

ヘッドカバーを外して引いてみると、まず感じるのがスタートの軽さだ。ヘッドを紙に当てて動かすと、実に滑らかにどこまでもスルスルスルとすべり出す感じ。この軽さには確かに驚かされる。

↑「おおっ」と声が出るほど滑らかな引き
↑「おおっ」と声が出るほど滑らかな引き

 

実のところ一般的な修正テープの引き始めを重いと感じたことはなかったのだが、「MONO AIR」と比べると確かにテープの頭からギリギリッと抵抗があるように思う。ただ、そこから数㎝を引き続けるとテープを引く手の動きに勢いがつくため、一般的な修正テープの重さもさほど感じなくなるが、それでも「MONO AIR」の軽さは明白だ。

 

修正テープの使い方としてもっとも多いのが、1~2文字ちょっとの短距離の修正。引き始めから数㎜までの加速は特に重要な要素となる。文字修正とは自動車でいうゼロヨンレース(0~400m間の加速を競う超短距離レース)のようなもので、「MONO AIR」は軽快に短距離を駆け抜けるゼロヨンレーサーといえるだろう。

↑1文字修正なら、感触的にはヘッドで「スッと撫でた」ぐらいのイメージ
↑1文字修正なら、感触的にはヘッドで「スッと撫でた」ぐらいのイメージ

 

また、修正テープはテープ残量(供給リール側の残り)が少なくなると、どうしてもギア比の問題で引き心地が重くなる。もともとの引き抵抗が少ない「MONO AIR」の方が、最後までスムーズに使い切れるという道理もある。

 

では、どうして「MONO AIR」はこんなに滑らかなのか? それは、修正テープを切るためのリールの構造に秘密がある。

 

実は一般的な修正テープは、テープを送り出す供給リールにかかる抵抗で、テープを引っ張り切る仕組みになっているため、常にリールに負荷がかかるようになっている。トイレットペーパーのカバーを常時押さえつけながら、無理矢理ペーパーを引き出しているようなものだ。

 

一方「MONO AIR」は、ヘッドを紙に押しつけることで供給リールのロックを解除する新開発のエアータッチシステムを採用。これにより負荷をかけ続けることなく、滑らかにテープを送り出すことができる。

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↑エアータッチシステムの構造。テコによりヘッドとロックが連動する

 

↑うっすらと「AIR」と印字された三角のクリアパーツが、エアータッチシステム
↑うっすらと「AIR」と印字された三角のクリアパーツが、エアータッチシステム

 

切るときは、紙からヘッドを離した瞬間にリールをロック。これでスパッとテープを切ることができるという仕組みだ。

↑「MONO AIR」と一般的な修正テープの違い
↑「MONO AIR」と一般的な修正テープの違い

 

さらにテープ自体も、上から文字を書いても剥がれにくい密着力を向上させた新しいものを使用。これはグリップ力の高いタイヤを履いているようなもので、ヘッドの空滑りを減らし、スタートダッシュの効率を高める役割を担っているようにも感じた。

 

エアータッチシステムを搭載しているためか、ボディ自体はここ最近のコンパクトな修正テープと比べるとサイズ・重量ともに少しかさばるが、ふで箱に入れて持ち運ぶ程度では邪魔にはならないはずだ。

↑下は同じくトンボ鉛筆のコンパクト型修正テープ。サイズ的にはやはりAIRの方が一回り大きいか
↑下は同じくトンボ鉛筆のコンパクト型修正テープ。サイズ的にはやはりAIRの方が一回り大きいか

 

ひとまず試しに、テープの引きの加速性能を体感してみてほしい。気に入るようなら日常使用のメイン修正テープの座に据えてしまってもまったく問題はないだろう。

 

以上、3つのアイデア文房具をきだてさんに紹介していただきました。こうした一風変わったアイテムはただ使うだけでもなんだか楽しい気分になってきます。オフィスワークのマンネリを防ぐためにも、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

文・撮影/きだて たく

 

[Profile]

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きだて たく

1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

 

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

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