特にここ5年ほどの間で、筆記具をはじめいろんな文房具がデザインに気を遣い出したと思うのだ。文房具がいろんなメディアで取り上げられるようになったことで、「やだ、ウチの製品ももうちょっと身だしなみをちゃんとしなきゃ」と思ったのかも知れない。高校デビューならぬ文房具ブームデビューだ。
例えば「昭和の子ども用スニーカーかよ!」みたいな、垢抜けなくてボッサりとした見た目のペンばかり作ってた某メーカーも、最近は作るものがすっかりオシャレになっていて、業界的にも良い傾向だと思っている。最近、そういう方向で「おっ、いいねぇ」と気に入ったのが、ヤマト『テープノフセン』だ。
ヤマト テープノフセン/各345円(ローズ・オレンジ・ライム・レモンの4色展開)
ロールタイプで全面のり15mm幅の紙ふせんって、正直なところモノとして新しいものではない。実際、もともとは「メモックロール』という名前で10年ぐらい前から継続してヤマトが発売している製品で、この『テープノフセン』はそのデザイン替えアイテムにあたる。
もちろん中身のロール紙は共通で、テープノフセンの説明書には「詰め替えにはメモックロールをお買い求めください」という但し書きが入っている。ようするに、性能的には先代からまったく変わっていないのだ。じゃあ、なんでそんな前からあるモノをいまさら紹介するのか? 今回の冒頭からずっといっている通り、リデザインされて「すごく格好良くなった」からである。
テープの色とカッターの樹脂パーツ色をしっかり合わせてあるし、紙テープのマットさに合わせて樹脂パーツの側面もテカらないよう微妙に加工されているので、一体感がある。全面のりのロール紙にカッターパーツが付いただけのシンプル構成なんだけれど、この一体感のおかげで、見た目がとてもシャープかつソリッドだ。
形状はどことなくオウムガイのようで生物っぽい愛嬌があるんだけど、でもテープとカッターが単色なので、工業製品っぽくもある。このバランスがとてもいい。
正直なところ、透明なケースに15mm幅ロール紙3巻をセットに納めたメモックロールはどうしても野暮ったい。50mm幅ロール紙と共通のケースを使用しているため、なかも5mm分の隙間ができてしまい、ルーズな見た目になってしまう。それぐらいなら、最初から1巻ずつ別でカチッとしたカッターと一体化させたほうがずっと格好良くなるというワケだ。
メモックロールは、この見た目のルーズさでかなりナメられてきたんじゃないかと思うぐらいで、実用面でいうと全面のりのロールふせんというのはかなり便利なアイテムである。
貼って剥がせる……という機能面はすでにマスキングテープにポジションを奪われてしまっているが、例えば「ノートにプリントをちょっと仮止めとして貼っておく」的な使い方なら、マステほど粘着力が強くないロールふせんのほうが安心感がある。紙ふせんなので、何か書くにも筆記具を選ばない。ファイルの背にぺたっと貼ってタイトルを書いておけば、ラベルとしても十分に使えるだろう。
手帳やノートの端に二つ折りにして貼れば、インデックスになる。このときのコツは、できるだけ短くカットして使うこと。なんとなく一般的なふせんの長さに切ってしまいがちだが、「えっ、こんなもんでいいの?」というぐらいの短さを、さらに二つ折りにするぐらいがインデックスにはちょうどいい。
もっと短く切って、手帳のマンスリーページで日付の強調用に貼るのもわりといい。蛍光色テープなので思ったよりも目立つし、もちろん貼り剥がしもラクだ。マーキングに多用されているフィルムシールと違って、上から書き込んでもすぐ乾くのもありがたい。コンパクトさを活かして筆箱に1巻き放り込んでおけば、わりと多用途に使えて便利なモノである。
ひとまず「カッコいいから」という理由だけでも買ってみてもらえば、実用面でも使えて便利で、結果かなりお得な気分になるんじやないだろうか。