文房具
2019/7/28 19:00

【菅未里の自腹買い文房具】イタリアの“名画”に仕込まれた文房具

イベントやメディアへの出演や、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。仕事柄、文房具を試す機会は多く、手元には山のような文房具が……。そんななかで、自腹を切ってまで手に入れた、いま本当に気に入っている文房具とは何なのか?

 

前回に引き続き、イタリア出張に際して入手したモノを披露いただきます。今回はいよいよイタリアに上陸。

「菅未里の自腹買い文房具」バックナンバー
https://getnavi.jp/author/misato-kan/

 

フィレンツェのミュージアムショップで見つけたもの

 

成田から飛び立った私は、イタリアはフィレンツェに降り立ちました。フィレンツェは、文房具の視点からいうと、水面に流した塗料を使って複雑な模様をつくる「マーブリング」で有名な街ですが、私の目当ては美術館のミュージアムショップでした。

↑マーブリングとは、トレーに満たした溶液にさまざまな色のインクを落とし、ブラシや串などで模様を描いた上で、水面に紙を置いて写し取る技法。その紙をマーブルペーパーという
↑マーブリングとは、トレーに満たした溶液にさまざまな色のインクを落とし、ブラシや串などで模様を描いた上で、水面に紙を置いて写し取る技法。その紙をマーブルペーパーという

 

実は、私は2年前にも、筆記具の商談のためにフィレンツェを訪れたのですが、その時にある美術館に、ちょうど営業時間が終わって入り損ねてしまいました。今回はそのことをすっかり忘れてフィレンツェの文房具店をうろうろしていたのですが、たまたまその美術館の向かいの文房具店に入ることになり、「あれ、ここは……」と思い出した次第です。

 

その美術館は「ピッティ宮殿」。フィレンツェでは一般に、ボッティチェリの「春」があるウフィツィ美術館とダヴィデ像で知られるアカデミア美術館が有名ですが、ピッティ宮殿はそれらの陰に隠れた、ちょっとした穴場です。

↑イタリア・フィレンツェにあるルネサンス様式で作られたピッティ宮殿。15世紀から宮殿としての建設が始まり、19世紀から美術館として公開されるようになった
↑イタリア・フィレンツェにあるルネサンス様式で作られたピッティ宮殿。15世紀から宮殿としての建設が始まり、19世紀から美術館として公開されるようになった

 

パズル系のお土産文房具

絵画も堪能しましたが、私の目的はどちらかというとミュージアムショップです。日本のミュージアムショップでは、展示品をプリントしたクリアファイルが定番ですが、イタリアではあまり見かけません。安価な鉛筆やマグネットが多いようです。

 

このピッティ宮殿には2つのショップがあり、どちらにも美しい文房具がたくさんありました。しかもピッティ宮殿のショップの品揃えは少し変わっていて、自分で絵柄を完成させる“パズルもの”が多いのです。単なるパズルではなく、文房具をパズルにしている点がポイントです。

 

私は、並べることでボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」が完成する四角い色鉛筆と、フィリッポリッピの「聖母子と洗礼ヨハネ」のパズル……ではなく、パズルになっているメッセージカードを買いました。

↑ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」はバラバラにすると四角軸の色鉛筆として使える
↑ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」はバラバラにすると四角軸の色鉛筆として使える

 

↑フィリッポ・リッピ作「聖母子と洗礼ヨハネ」のパズルは完成するとメッセージカードに。糊で固める必要がありそうだ
↑フィリッポ・リッピ作「聖母子と洗礼ヨハネ」のパズルは完成するとメッセージカードに。糊で固める必要がありそうだ

 

後者は一見パズルなのですが、裏がメッセージカードになっています。とはいえ、裏を見るためにはパズルをバラバラにしないとひっくり返せないのでせっかくのリッピの意味がありませんが、そこは気にしないようにしましょう。

 

フィレンツェに行ったらマーブリングは絶対に見るべきですが、美術館も忘れてはいけません。ミュージアムショップは海外旅行の大切な楽しみです。

 

 

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