文房具
筆記用具
2020/1/9 20:30

超細字なのになめらか!「ジェットストリーム」と「ハイテックCコレト」に登場した次世代ボールペンを検証

0.5㎜以下の細字と適度ななめらかさを両立した定番ボールペンの新作

年末年始の時期になると、筆者など文房具ライターたちがよく訊かれるのが、「次に来る文房具ムーブメントってなんですかね?」というヤツだ(もちろん、雑誌版の『GetNavi』にも答えてます)。そんなの的中させられるぐらいなら、あの文具業界を騒がせた買収騒動で勝つ側の株をアレでコレして小銭でも稼ぐわ! という気もするんだけど、まぁそこはグッとこらえて、とりあえず現状得られる情報を元に、ぼんやりした予測でもするしかないのである。

 

で、「これは来たら面白いだろうなー」という希望的観測としていくつか挙げたうちのひとつが、「細字ボールペン」だ。

※実はボールペンは、古くから0.5㎜が細字(油性だと極細字)というカテゴリになっているのだが、本稿では現状の流通量を踏まえて、0.5㎜を“普通”、それ以下を“細字”としておく。

 

例えば、手帳に細かくスケジュールを書き込むにも、0.5㎜だと太いと感じたりすることはないだろうか。実際、手帳ユーザーにはより細い0.4~0.38㎜径ボールペンの愛用者も多い。ただ、ボールペンはボール径が細くなるほどにカリカリとした手応えが強くなり、なめらかさが失われていく。低粘度油性インクが一般的になった現在では、そのカリカリ感に違和感を受けがちなのも、また確かだろう。

 

しかし、筆者が今後流行りそうだと考えており、また実際にここ最近立て続けに発売されているのが、0.5㎜よりも細くて、それでいて気持ちよくスルッと書ける、いわば“次世代型細字ボールペン”なのだ。

 

“次世代細字”の大本命?「ジェットストリーム」の超極細0.28㎜

現在のところ、ボールペン界隈の主流派は、サラサラ・スルスルとしたなめらかな書き味の低粘度油性ボールペン。その中でも間違いなく代表格とされるのが、三菱鉛筆の「ジェットストリーム」だ。

 

そのジェットストリームシリーズからとんでもない細字が登場すると、もっか文房具業界全体がザワついている。それが、2019年末に発売となった“油性初の0.28㎜径”「ジェットストリーム エッジ」である。

三菱鉛筆
ジェットストリーム エッジ
1000円(税別)

 

実は、ジェットストリームにはすでに0.38㎜もラインナップされているのだが、それに輪をかけて0.28㎜は細い! 特に0.7㎜辺りと書き比べてみると、その細さは数値以上の差を感じられる。さすが、「油性インクで世界最細」と謳うだけはある。

 

ちなみに、ゲルインクだとすでに0.28~0.25㎜径も存在する(古くは0.18㎜もあった)が、油性インクの方がにじみ・広がりが少ないため、描線はよりシャープになる。

↑ジェットストリーム0.7、0.5、0.28㎜の描線。等幅に線を引いていくと差がよく分かる
↑ジェットストリーム0.7、0.5、0.28㎜の描線。等幅に線を引いていくと差がよく分かる

 

なにより凄まじいことに、この超極細字が、お馴染みのジェットストリームのようにスルスルと書けてしまうのだ。もちろん細くなっている分だけ、先端が紙に食い込むことによるカリッとした抵抗もあるが、それにしたって従来の0.2㎜台細字と比較すると、明らかに別物のようだ。

 

これだけ細いのに適度になめらかで、かつ少しカリッと手応えがある分コントロールもしやすい。つまり、手帳のマンスリー欄のように小さな場所に細かく書き込むのに、とてもマッチした書き味だと思う。実際、下の写真のように、5㎜方眼の中にこれだけ書き込めるんだから間違いない。

↑5㎜方眼にひらがな20文字まで詰め込めた。練習したら、もうちょっといけそうな気もする
↑5㎜方眼にひらがな20文字まで詰め込めた。練習したら、もうちょっといけそうな気もする

 

これだけ衝撃的な描線と書き味を持つだけに、見た目の方も「ワタクシ、従来のボールペンとは違うやつですよ?」という主張を含ませている。

 

軸後端から先にいくに従って太くなる六角柱ボディは、重心バランスを取るためにグリップ部を金属パーツに。さらに先端側でいきなりキュッと絞られて、細かい書き込みをする際に手元の視認性を確保。

↑タテ溝が彫られ、やや滑りやすいグリップ。筆圧をかけすぎて細いペン先(ポイントチップ)を潰さないようにするためだろうか?
↑タテ溝が彫られ、やや滑りやすいグリップ。筆圧をかけすぎて細いペン先(ポイントチップ)を潰さないようにするためだろうか?

 

↑「ジェットストリーム エッジ」のビジュアルでも特に目立つ、うねったワイヤークリップ
↑「ジェットストリーム エッジ」のビジュアルでも特に目立つ、うねったワイヤークリップ

 

トーションバー(ねじり棒)機構を使ったクリップは、超極細の筆記線をイメージしたとおぼしき細いワイヤータイプで、確実にポケット端や手帳に固定できるよう、折り曲げた部分に圧を集中させる構造だ。

 

シャープなイメージと、握りやすさ・細字の書きやすさという機能面を両立させて、かつカッコイイ。見た目だけでも所有欲をくすぐられる、なかなか優秀なデザインだと思う。

 

選べる多色ボールペン「ハイテックC コレト」も次世代細字化

次世代細字ボールペンと言えば、忘れちゃいけないのがパイロットの「ジュースアップ」。たっぷりのインクフローとペン先の視認性を兼ね備えた、新開発の“シナジーチップ”により、極細なのにサラサラと書きやすい高性能な細字ボールペンだ。

 

このシナジーチップを搭載した細字フリクション「フリクションポイントノック04」が今年の秋に発売されて大ヒットとなったが、なんと今度は、選べる多色ボールペン「ハイテックC コレト」にも、シナジーチップリフィルが登場したのである。

パイロット
ハイテックCコレト 専用レフィル 0.4mm
各100円(税別)全18色

 

↑コレト5色ボディ+新色リフィル
↑コレト5色ボディ+新色リフィル

 

そもそも、ハイテックCブランドと言えば細字が身上ということで、それ以前にも0.5~0.3㎜のリフィルが選べたコレトだが、新リフィルは全てシナジーチップで書き味がアップした0.4㎜。なにより、カラーが明らかに従来とは違う面白い色揃いなのだ。

 

全18色の新リフィルは、金・銀にメタリックブルーやメタリックピンクを含むメタリックカラーが6色、ラインマーカーのような蛍光イエローや蛍光オレンジなど蛍光カラー6色、とろりとまろやかさのあるパステルグリーンや隠蔽力の高いホワイトなどパステルカラー6色、という構成だ。

 

中でも、細字なのにインク詰まりなくキラキラのラメが出るメタリックカラーは、シナジーチップの本領発揮、といった感じ。「ジュースアップ」でも0.4㎜の金・銀が話題となったが、コレトでは色数も増えてさらにパワーアップしている。

↑メタルピンク・蛍光ピンク・パステルピンクと金・銀の描線。写真では分かりにくくて残念だが、メタルカラーは書いていて眩しいぐらい、キラッキラで楽しい
↑メタルピンク・蛍光ピンク・パステルピンクと金・銀の描線。写真では分かりにくくて残念だが、メタルカラーは書いていて眩しいぐらい、キラッキラで楽しい

 

黒い紙に書いてもくっきりきれいなパステルカラーも面白い。つい先日も、 1990年代に人気となったパステルカラーペン「ハイブリッドミルキー」(ぺんてる)が復刻されて話題になっているが、コレトのパステルカラーも負けじと良い発色。メタリックカラーと合わせれば、みっちり描き込んだコロリアージュ(大人向けの塗り絵)や手作りカードなどに威力を発揮するだろう。

 

また、細字でマーキングや囲い込みが可能な蛍光カラーは、目立ってきれいなノート作りやカラフルなバレットジャーナルなどに最適。書き味の良いシャープな筆記線と特殊なカラーの組み合わせは、これまでの細字ペンの用途をグッと大きく広げて、いろいろと楽しめそうだ。

↑コレトは、リフィルとカラーのノックノブが一体化している構造。ノックする際に出したい色が一目で分かるので便利だ
↑コレトは、リフィルとカラーのノックノブが一体化している構造。ノックする際に出したい色が一目で分かるので便利だ

 

コレトなど選べる多色ペンと言えば、日常的に多用するカラーを厳選して装填して持ち歩くのが基本となる。だが、ここまでパンチの効いた特殊カラーばかり18色という追加ラインナップを見せつけられると、5色軸に気に入ったカラーを好き放題詰め込んだ“特色コレト”を、ペンケースに1本追加したくなるんじゃないだろうか。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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