文房具
2020/12/31 18:00

2021年を占う! 2020年「文房具」二大トレンドを文房具のプロが振り返る!

ボールペンは先鋭化とインク沼化がさらに進むかも?

コロナ禍とは特に関連性がないが、今年はボールペンにちょっとした動きがあった。油性ボールペンの先鋭化と、ゲルボールペンの“インク沼”化である。

 

まず、油性ボールペンの先鋭化だが、これは2019年末に発売された世界最細0.28㎜径の油性ボールペン「ジェットストリーム エッジ」(三菱鉛筆)に端を発するムーブメントだ。

 

昨今は、ゲルボールペンも0.4㎜以下の極細字が好まれる傾向だが、インクにじみがない油性ボールペンは、同じボール径でもゲルよりはるかにシャープな線を書くことができる。もちろん、細字になるほど紙への筆記抵抗は増してカリカリと引っかかるのだが、それをなめらかな低粘度油性インクで打ち消した、というのがポイントである。

↑油性インク世界最細0.28㎜を多色化

 

三菱鉛筆
JETSTREAM EDGE 3(ジェットストリーム エッジ 3)
2500円(税別)
https://getnavi.jp/stationery/551511/

 

↑多色ペンなのにリフィルがまっすぐ出る、画期的な機構を搭載

 

2020年は、多色化した「ジェットストリーム エッジ3」(三菱鉛筆)に加え、同じく低粘度油性インクのライバルであるアクロインクを搭載した0.3㎜径の「アクロボール Tシリーズ 03」(パイロット)も登場。

 

極細字の多色でもリフィルが傾かず安定した書き味のエッジ3、本体価格が税別150円と安価なアクロ0.3と、選択肢が増えたことで、ユーザーの注目度はさらに高まるはずだ。

 

いま手帳業界では、名刺の大きさに近いコンパクトなミニ5サイズの人気が高まりつつある。小さな紙面に細かく書き込みをしたい需要に対しても、先鋭化した油性ボールペンはリーチするはずだ。

 

↑低価格で極限の細さを体感できるのが嬉しい

 

パイロット
アクロボール Tシリーズ03
150円(税別)

 

対してゲルボールペンは、インクカラーに注目が集まった。

 

例えば、1月発売の三菱鉛筆「ユニボール ワン」は、ローンチ時点で早くも全20色(0.38㎜のみ)と揃えの良いゲルボールペン。しかも特殊な顔料を配合することで、これまでにないクッキリとした発色を可能としているのが、最大のポイントだ。

 

黒インクはテカりもなく非常に黒々としており、ボールペン史上最も黒い! とすら言えるし、黄色やピンクといった淡い色でさえ筆記色としてしっかり視認できるクッキリさを持っている。

↑これまでにないクッキリ発色

 

三菱鉛筆
uni-ball one(ユニボール ワン)
0.38㎜(全20色)/0.5㎜(全10色)
各120円(税別)
https://getnavi.jp/stationery/485229/

 

↑ピンク系やブルー系など人気の高いカラーに重点を置いてきたな、というカラーラインアップ

 

11月には数量限定ながら追加で9色が発売されたし、今後もおそらく次々と色を増やしていくことは予想できる。

↑「ユニボール ワン」に登場した、朝・昼・夜にマッチした3色、という限定カラー。どれも良い色揃いなので、定番化して欲しいほど(https://getnavi.jp/stationery/557305/

 

ゲルボールペンのカラーといえば、現時点ではゼブラ「サラサクリップ」の全56色が最強。だが、「ユニボール ワン」はクッキリ発色を武器に、間違いなくゲル最強王座を狙ってくるはずだ。

 

また、いま文房具マニアを中心にじわじわとユーザーが増えているのが、一見すると黒だがよく見ると違うダークカラー、通称「カラーブラック」である。

 

既存のゲルボールペンに、次々とラインアップ入りすることからも注目度合いは伺えるが、なんと全6色カラーブラック! というピーキーな「ボールサインiD」(サクラクレパス)が登場するに至っては、もはや人気は本物だろう。

 

ニュアンスのある絶妙なカラーブラックは、ビジネスシーンでも使える大人の遊びカラーとして、より広まっていきそうな気配である。

↑ラインアップ全部がカラーブラック、という珍しさ

 

サクラクレパス
ボールサインiD
ライトグレー軸(0.4mm)/ダークグレー軸(0.5mm)
各200円(税別)
https://getnavi.jp/stationery/557305/2/

 

↑6色の黒はどれも深みがあり、大人の余裕をイメージさせる。高級金属軸に入れて使ってみたいと感じる人も多いのではないか

 

実はここ十数年、ボールペンといえば「書き味の良さ」が価値観の基準となっていた感が強い。ただ、最近の「先鋭化」や「インク沼化」は、もちろん書き味の良さは大前提にあるとしても、それ以外の新たな価値観の模索の結果にあるように思う。

 

他にない線の細さや特殊なカラーなど、そういった部分でボールペンを選ぶ、新しい時代にもう差し掛かっているのかもしれない。

 

“先鋭化”“インク沼化”したボールペン

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「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
https://getnavi.jp/tag/kidate-review/

 

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