付箋とは、本の要点が書かれたページに目印として貼ったり、書類にコメントを添付したり、という用途を持つツールだ。……とは言ったものの、そもそもそれ以上の機能を与えるのは難しい。しょせんは「貼って剥がせる(再剥離性、という)のりを塗布した紙片」でしかないのだから。
ところが、その単なる“のり付き紙片”に新たな機能を付加したのが、2013年に発売されたビバリー「ココサス」だ。
矢印型の付箋がミシン目で2分割できるようになっており、矢印先端を書籍のページ内にある、注目すべき要点部分を指し示すように貼る。分離した矢印の根本部分はページ端に貼る。
書籍を閉じているときは、開くべきページを根本部分で確認。ページを開いたときは、見るべきポイントを矢印先端が教えてくれる、という仕組みである。従来の付箋にありがちな、「付箋を貼ったものの、ページのどこに要点があるか分からない」というトラブルも、この分割方式なら発生しないというわけだ。
便利な矢印付箋がポップアップに進化
筆者は、発売されたときからこの「ココサス」の大ファンで、今でも資料の読み込みをする際には、手元に欠かせないアイテムである(特に、蛍光マーカーでラインを引きづらい古い書籍には必須)。その「ココサス」に新製品が登場したとあっては、そりゃ注目せざるを得ないだろう。
ビバリー
ココサス ポップアップ
各520円(税別)
その新製品こと「ココサス ポップアップ」は、名前の通りポップアップ式ケースに収納された、“フィルム付箋タイプの「ココサス」”だ。
ケース中央からはみ出た付箋の端をつまんで、シュッと引くことで抜き出せて、ティッシュペーパーのように次の端が自動的に現れる。抜き出したフィルムの矢印は、従来の「ココサス」と同様に先端と根本に分割できるようミシン目が入っているので、これまた従来通りに「要点指示」と「ページ指示」に分けて使うことが可能。
資料の読み込みでは、付箋を何枚も立て続けに貼りたい。ところがベタベタと数多くふせんを貼ってしまうと、ページのどこに要点があったのかが分からなくなりがちだ。
つまり、「ココサス」の機能とポップアップ式の利点はガッチリと噛み合って、非常に相性が良いのである。実際に使ってみると、むしろなんで今までポップアップにしなかったの? というレベルで、使いやすいと感じた。
ポップアップケースの裏には、手帳や本に挟んで使うためのクリップが付いている。このクリップにもちょっとした工夫があり、二重になったクリップの内側で挟むとケースの上部がページ端から飛び出すように、外側で挟むと飛び出さないようになっているのだ。
例えば手帳に挟んで持ち歩く場合、普段は飛び出していると邪魔なので、クリップの外側を使う。いざ付箋を使うときはクリップ内側を使うと、ケース上部がインデックス代わりになって、アクセスしやすくなる。
もちろん、現時点で使うページに挟めばしおりとしても機能するわけで、シーンによって二重のクリップを使い分ければ、使い勝手も上がりそうだ。
現在では、文具店の店頭に数多くの“機能性付箋”が並んでいるが、「ココサス」はそのジャンルの先駆けとも言える画期的なもの。さすがに発売からすでに8年が経過して、愛用者以外にはやや影が薄くなっているのを残念に思っていたのだが……ポップアップタイプの発売をきっかけに再び注目されるようになれば、長年の愛用者としても嬉しいかぎりである。
「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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