【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】
文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第14回となる今回は?
第14話
UO
ステンレス製先栓
550円(税込)
「ボールサイン iD」のプラスチック製の口金の置き換えパーツ。純正のクリップと同じステンレス製で、装着すると高級筆記具のような低重心の書き心地になる。
デザイン事務所とサクラクレパスのこだわりが生んだ完成形
2020年12月に発売されたサクラクレパスの「ボールサインiD」は、インクが普通の黒以外に、ブルーブラック、ブラウンブラック、グリーンブラック等々、黒系のバリエーションのみで6色も揃っているという、なんともマニアックな一本でした。直線的なフォルムながらエッジを丸めたデザインも良く、全体的にとても良いペンなのですが、一点、ペン先の三角部品(口金)が樹脂製で、色味・成形ともにやや浮いているのが残念でした。
ところがその半年後、このペンのデザインを手掛けた浜松のデザイン事務所「UO」がボールサインiD専用の口金パーツ「ステンレス製先栓」を限定発売したのです。しかもサクラクレパス公認で。
想像するにおそらく、もともと金属製としてデザインしていたものの、価格を220円に抑えるために泣く泣く断念……したものの、やはり本来の形でも使ってほしい、との熱い思いから販売に踏み切ったのだと思われます。そんな話、ほかに聞いたことないんですが。
しかもこれには続きがあって、2021年10月にはなんとサクラクレパス本体が、口金を金属製にした「ボールサインiD プラス」を発売することになったのです。価格は385円、インクは黒系3色のみとなってしまいましたが、それを補って余りある完成度の高さ。いや、初代の軽やかさだって決して悪くなかったんですけども。
ともあれ、現代国産ボールペンの解像度の高さ、ぜひあなたも手に取って味わってみてください。
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【第13話】定番の油性ボールペン「ビックオレンジEG」がまさかの廃番! 後継モデルもさすがの書き味だが……
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