“ラインナップ全部黒”の「ボールサインiD」も300円化
サクラクレパスから2021年10月下旬に発売された「ボールサインiD plus」も、注目の300円帯ボールペンだ。こちらも、先行して発売されている「ボールサインiD」のアップデートモデルという立ち位置となっている。
サクラクレパス
ボールサインiD plus
シルバー軸(0.4mm径)/ブラック軸(0.5mm径)
各350円(税別)
6色のカラーブラック系ゲルインクでラインナップを揃えたことで、人気の高い「ボールサインiD」だが、後ろ重心めのバランスや、やたらとツルツルしてグリップ感の弱いボディは、筆者個人として少し残念に感じていた。
ところが「ボールサインiD plus」として300円帯にステージを上げたことで、このネガティブをスパッと解決してしまったのである。
バランスについては、先端をプラから金属の口金に変更することで低重心化。やや後ろ重心気味だった「ボールサインiD」と比べると、書き味がかなり良くなったように思う。先端だけに重みがかかるため、早書きをする際には多少振り回される感覚はあるが、使っているうちに慣れるだろう。
実は、口金による低重心化に関しては、「ボールサインiD」のデザインを担当したUOデザインから、口金を金属化する「ステンレス製先栓」というカスタムパーツが今年6月に発売されていたのである(しかもサクラクレパス公認)。デザインした事務所に続いて、メーカーも同じ方向でアップデートしてきたということはやはり、これが本来あるべきボールサインiDの完成形だった、と考えるべきだろう。
さらに、これまでツルツルだったボディには、全体にマットなゴム系の塗装が施された。実のところ、改善点としてはこちらの方がとても嬉しい。
なにしろ「ボールサインiD」は、手汗をかくと握るのがつらいレベルでツルツルしていたため、インク色などは非常に気に入っていたものの、夏場には使えないなぁと感じていたのである。対して、新たに塗装されたボディは手触りもしっとりしており、握った指先に気持ちの良い摩擦がかかるようになった。これなら安心して握れて、長時間筆記でも指の疲労が減るはず。
ただし、残念なことがひとつ。「6色全て黒」が話題だった同シリーズだが、「ボールサインiD plus」ではカラーラインナップを絞り、ピュアブラック(ブラック)、ナイトブラック(ブルーブラック)、フォレストブラック(グリーンブラック)の3色のみとなってしまった。価格を上げるうえで人気の高い色に絞った、ということは理解できるが、ミステリアスブラック(パープルブラック)を愛用していた筆者としては、削り落とされちゃったなー、という寂しい気持ちにもなった。
もちろんリフィルは従来と共通なので、入れ替えてしまえば済む話ではあるのだけど……とはいえノックノブのパーツカラーと齟齬が出てしまうのは、もったいないところである。
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