ノートの誤字を消すのに消しゴムを使ったら、消しカスが出る。「お金を使ったら、財布が空」「呼吸を止めたら、苦しい」ぐらいに当然な因果関係の一例である。細菌が繁殖してるとか老廃物が固まってるとか、そういう意味で不衛生なものではないのだが、それでも、消しカスはやっぱり見た目も汚い。
ノートの上に乗ったままだと文字を書くのに邪魔だし、かといって無造作にパッパと払うと、今度は机や床に落ちて見た目によろしくない。あれ、なんとかならないものか。しかし、先にも書いた通り、消しゴムをかけたら必ず消しカスが発生する。消しカスとは、消しゴム表面に付着した鉛筆の炭素が柔らかくなったゴムにくるまれて剥がれ落ちたものなので、逆に消しカスが出ないと消しゴムは汚れる一方となる。つまり、あれは必要悪というか必要カスなのだ。
まぁ、必要だからといって、出ていいというわけでもない。そこは消しゴムメーカーが責任を取ってなんとかするのがスジちゃうんか、という話である。……というヤカラな文句を真に受けたワケではあるまいが、なんと本当に消しゴムメーカーが責任を取って消しカスをキレイに片付けるための商品を発売したのだ。
SEED
消しカスクリーナー まめコロ
実売価格702円
それが「消しカスクリーナー まめコロ」。パッケージに「ケシゴム屋さんがつくった」とある通り、日本最大の消しゴムメーカーSEED製の商品である。
原理としては、いわゆる床掃除などに使う粘着のコロコロ。まんま、アレだ。使うときは、まめ型のかわいらしいボディを持ち上げて、粘着面を消しカスの散ったノートやコピー用紙の上でコロコロと転がすだけ。使用に際して何も考えることもない、シンプルきわまりない製品である。
というか、実はコロコロをここまで何も考えずに使えるようにするために、メーカー側はかなり苦労と手間をかけている。なにせノートは紙だ。一般的な掃除用のコロコロを走らせてみると、粘着力が強すぎて紙面が破れたり剥がれたりと大変なことになってしまう。
ノートがビリッといかないか注意を払いながらちょっとずつコロコロする……というのは、正直かなりストレスだろう。とはいえ、粘着が弱すぎると消しカスすら拾えない。何も考えずに気軽にコロコロするためには、ノートには粘着せず、かつ消しカスだけをくっつける、という絶妙な粘着力が必要になってくるのだ。
SEEDは幾度もテストを繰り返し、まさに「紙にはつかないけど消しカスはくっつく」という、最適なバランスの弱粘着シートを開発。これなら、かなり無造作に紙の上を走らせてもビリッといく心配はない。
使っているうちに消しカスが貼り付いて粘着力が落ちてきたら、普通のコロコロと同じようにロール状の粘着シートを一周分はがして捨てるだけ。ロールには切り込みが入っているので、そこから簡単に切り離せる。違うのは粘着力だけで、この辺の使い勝手はほぼ掃除用コロコロと変わらない。
ただ、何度も言うように、粘着力がかなり弱め……というか消しカスがくっつくギリぐらいに設定されている。そのため、消しカスがゴロッと大きな塊になるような、いわゆる“まとまるタイプ”の消しゴムはちょっと苦手なようだ。
あとは、多すぎる消しカスにもやはり対応できない。漫画家さんのように職業的に大量の消しゴムかけをする人には便利かも……と思ったのだが、実際にプロに試してもらうと、一周分のシートがあっという間に埋まり大変なことになってしまった。これに関しては、もう少し大判ロールのプロ用を発売してもらえるようSEEDにお願いするほかないだろう。
【URL】
消しカスクリーナー まめコロ http://www.seedr.co.jp/other/other1.html