画期的な機能が盛り込まれた文房具は、年間に数百点ほど発売されます。それらは誰がどのように考えて誕生したのでしょうか? 話題の新製品を生み出した「ぺんてる」の開発者のこだわりと情熱に迫ります!
※こちらは「GetNavi」 2022年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
人、そして空間に寄り添う静音設計の「静かなるペン」
ぺんてる
カルム 単色ボールペン/3色ボールペン
165円(単色)、440円(3色)
静かな空間で意外と耳障りな“カチカチ”というノック音を抑制した、静音設計の油性ボールペン。音によって周囲に迷惑をかけることなく、また持ち手への衝撃も和らげることで集中力を保ち、ストレスフリーな書き心地が楽しめます。
ボールペンは“音ハラ”になる!? “書く”行為を見直して着想
ここ10数年において、油性ボールペンは、主に書き味の良さを争点に開発競争が行われてきました。とはいえ、各メーカーのペンを実際に使用し、そこまで筆記感に大きな差があるか? と言えば、なかなか判断しがたいのも事実……。そこで、ぺんてる マーケティンググループの中沢英和次長は、そもそも書くという行為そのものを見直してはどうか、と考えたそうです。
「筆記感だけではなくて、書くことによる周囲への影響–例えばペンが発する音についても考えてみようと思ったんです」(中沢さん)
そこから開発が始まったのが、自分も周りも穏やかに心地良く過ごせるような、不快と感じるノック音を軽減する静音設計。ノック音を軽減する構造を考えた結果、手に感じる衝撃も和らげることに成功。筆記時の思考の負担を軽減することにつながりました。
「“静音”という特徴だけではすぐに離れられてしまう。握りやすさや書き味もきちんと担保したいという思いがありました」(中沢さん)
すべてに妥協せず、手触り良く摩擦感のあるグリップ、最適なチューニングの先端チップを揃えた「カルム」は、静かで書きやすく、使う人、周りの人に心地の良いペンとして結実したのです。
開発者
多色・多機能モデルも静音化
新開発の静音ノック機構
ユニークなカーキが注目色
高級感のある革調グリップ
改良リフィルはキレ味UP
プロトタイプを特別公開!
ノック周りの設計に労あり
透明パーツの初期型試作
色の確認は実物と同じ筒で
ヒケが出ない形状の模索……
<このヒット文房具もCheck>静かに繰り出せるキャップレス・サインペン
ゼブラ
フィラーレ ディレクション
2200円
仕事でも使いやすい高級感ある金属軸の水性サインペン。軸をひねることで先端からペン先を繰り出すツイスト機構は、サインペンとしては極めて珍しいです。キャップ開閉などの音が発生しないため、スムーズかつ静かに書き出せるのがポイント。