ペンケースは、筆記具などの文房具を収納して持ち運ぶためだけのもの……と、思っている人がほとんどだろう。もちろん、基本的にはそれで間違ってないのだが、近年では、ペンケースが高機能化するにしたがって、その目的も多様化している。
例えば、「文房具を持ち運ぶ」という部分ひとつを取っても、「2~3本の筆記具をコンパクトに」と「筆記具+ハサミや定規、カッターナイフなどをまとめて」では達成すべき目標が大きく違う。そうした場合、フォルムや機能から完全に別物になるのも当然だろう。
さて、そんなペンケース多様化のなかで、いまやトレンドと言っても過言でないのが、いわゆる “見せペンケース” というもの。透明素材で中身が外から見えるようになっているものが主体で、自分が使っている文房具を周囲に見せられることが特徴だ。Instagramなど画像主体のSNSで、中高生が自分の学習ツール環境をアピールする用途で人気となっているそう。
今回紹介するのは、その最前線アイテム。「見せペンケースの最新版はこうなっている」という話である。
自慢の一本を飾って楽しむ専用ペンケース
レイメイ藤井から発売された「フレームペンケース」は、一見すると学童用の汎用性高めの箱形ペンケースのようなフォルムだが、そのコンセプトは特異だ。 “お気に入りの筆記具をきれいに飾る” という部分に機能を全振りした、かなりピーキーな製品なのである。
レイメイ藤井
フレームペンケース
3300円(税別)
全5色
上面はフレームで囲まれたPVC製の大きな透明窓になっており、中が完全に見えている状態だ。ただし、透けているのはこの上面のみ。底と側面はフレームと同じく合皮素材なので、見え方はかなり限定的である。
上面は磁石によってフタ状に閉じられているので、端から持ち上げるとパカッと開いて、中にアクセスできる。そして、ゴムバンドに自慢の筆記具を挟んで固定し、再びフタを閉じると、まるでショーケースにいれたような形で筆記具を飾ることが可能になる、というわけ。例えば、大事な万年筆や宝物のシャープペンシル、プレゼントにもらったボールペンなど、特別な筆記用具を収納すると、まるで展示、もしくは額装したような印象になる。
一般的な透明素材の “見せペンケース” は、全周が透けていることが多い。つまり、持っている文房具をまとめて見せることができるのだが、「こう見せたい」という意図での見え方を決めることが難しい。
対して、フレームペンケースは、最初から見せたい筆記具を1~2本飾るだけ、という使い方に限定することで、より確実に「見せたい・魅せたい」方へとフォーカスして中身を見せることができる、という仕組みだ。
“見せ”要素に特化した、ペンを運ぶこともできる展示ケース
ちなみに、フタは本体にベルトで接合しているので、そのまま裏側に折り込むことも可能。フルオープンで固定できるので、筆記具の出し入れがしやすいペントレーとしても使うことができる。とはいえ、そもそもが収納量が少ないので、トレーになったから実用的というわけでもないが、机の上に置いておくだけで、高級感や特別感を与えてくれるアイテムになるのは嬉しいところ。
使用するにあたり個人的に気になるのは、PVC窓の耐久性である。PVCは擦り傷に弱いため、使用しているうちに細かな擦り傷が付いてしまうのは避けられないだろう。その結果、傷によって窓がくもってしまうと高級感はガクンと下がってしまうし、飾っていても楽しくなくなってしまう。基本的に塩ビのくもりを元に戻すのは不可能なので、できる限り気をつけて使う、というシンプルな使用方法が正解らしい。
文房具の運搬コンテナとして考えると、当然ながら機能的にはかなり劣っている。何故なら、筆記具1〜2本しか収納できないのだから、それは仕方がない。ただし、筆記具を高級感のある雰囲気で飾る機能に関しては、これまでにないほど優秀……というか、ここまで “見せ” 要素に特化したペンケースは他になく、非常にユニークな製品と言える。
大事な筆記具の展示収納ケースとして使うとウットリするぐらい格好良いので、ぜひデスク上でのマイコレクション展示に使ってみて欲しい。