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2024/4/6 18:00

大人の汚文字に表面のドット加工が効く!レイメイ藤井「大人の魔法のザラザラ下じき」を書類の下に挟むと起きる変化と仕組みを解説

「子どもの頃は、大人になったら自然に字がきれいになると思ってた」とは、いわゆる “汚文字”(おもじ)に悩む大人たちがよく言うこと。当たり前の話だが、 字の練習を重ねないままでは、大人になっても個性的な字のままなのだ。筆者がまさにこのタイプである。文字が雑だと、幼い印象で読みづらい汚文字になりがちで、周囲からの印象があまりよろしくない。これは、社会人として生きていく上でそこそこのハンデと言えるだろう。

 

解決策はもちろん、字を練習すること。だが、そもそも「大人になったら字が上手くなる」と思い込んできた人達は悪筆を矯正しようという気概が薄い。何もしなければ、当然だが字が上達することはないのである。そういうことなら、手はひとつしかない。字が少しでもきれいに書けるツールに頼るのだ。

 

下敷き使用で筆記速度を落とすと字がきれいになる!?

もちろん、抜本的にきれいな字が書けるようになりたいのなら、ペン習字などによる練習が正解。しかし、手っ取り早く少しでも丁寧な字が書けるようになりたいのなら、文房具を変えてみる、という手段もある。例えば、自分の手に合った筆記具に変えたり、ノートの紙質を変えるだけでも、ずいぶんと字の印象は変わったりする。そんな中でもオススメなのが、「下敷き」の導入である。

 

レイメイ藤井から2024年2月に発売された「大人の魔法のザラザラ下じき」は、まさに「紙の下に敷くだけで字がいつもより少しきれいになる」という、魔法のような機能をコンセプトとした製品だ。

レイメイ藤井
大人の魔法のザラザラ下じき
A4 1100円(上写真左)/B5 1050円/A5 1000円(上写真右)/B6 950円(税別、以下同)

 

そもそも字が汚くなる最大の理由は「書き方が雑」という、身もフタもないもの。特に、元から字が下手な人は、そのコンプレックスから日常的に雑な走り書きをしがち。「走り書きしているから字が汚いんだ」と、自分に言い訳をしているというわけ。

↑撮影用にわざと雑に書いたわけでなく、筆者の筆記はわりと日常からこんな感じだ

 

それなら、雑な走り書きができないようにすれば、筆記速度が落ちてゆっくり丁寧な筆記になる=丁寧な字が書けるようになるはず。この場合、自分で「ゆっくり丁寧に書こう」と心に決めるだけでも十分に効果は出るのだが、長年ずっと雑に書いてきた手癖はそう簡単には矯正できない可能性もある。そこで効果を発揮するのが、今回紹介する大人の魔法のザラザラ下じき、と言うわけだ。

 

まず、下敷きの表側には、よく見ると0.3mmの細かな粒状の加工が施されているのが分かる。この “ドット” のある面をノートなど紙面の下に敷いてからペンで書くと、ペン先にもハッキリとドットのデコボコが感じられるはずだ。走り書きをする場合、とにかくペン先を滑らせるように動かすことになるのだが、これだけ紙面がデコボコすると、その摩擦で書く速度が抑えられる。つまり、物理的にペン先を走りづらくすることで筆記スピードを落とす、という仕組みである。

↑表面の拡大図。細かな凸ドット(高さ0.3mm)加工が前面に施されている

 

実際に試してみると、やはりゆっくり丁寧に書くことで、字の読みやすさは大きく向上したように感じられた。少なくとも「後から自分で読み返しても字の判別が付かない」なんてことはないはずだ。

↑下敷きを敷くと、ドットにペン先が取られて筆記速度が落ち、結果的に丁寧な書き方になるという仕組み

 

また、下敷き自体にくっきりと縦の罫線が入っているので、横罫の用紙に合わせることで、字間をきれいに揃える目安にもなる。これによって行頭がガタガタせずに整うので、さらに読みやすさをアップさせられる。縦書き用として使うと行の傾きを防ぐこともできるので、これもまた読みやすい文章が書きやすくなるだろう。

↑写真では分かりづらいが、下敷きの縦ラインがうっすらと紙面から透けて見えるので、行頭が揃いやすく見映えがアップする

 

ちなみに、ボールペンで書き比べてみたところ、もともと滑りすぎることで悪筆との相性が悪い低粘度油性系(「ジェットストリーム」や「アクロボール」など)が、グッと書きやすくなったのは印象的だった。ペン先のコントロール性が増したため、殴り書き・走り書きにならず、程よく落ち着いた書き味が楽しめるのである。

 

逆にあまりオススメできないのが、ゲル0.3mmの激細タイプ。こちらはどうしても、ドットにペン先をとられてしまってコントロールが乱れがちだった。一方、軸内にサスペンションを備えたゼブラ「サラサナノ」は、激細でも思ったより書きやすい。サスペンションが効いているんだ! ということが体感できて面白かった。

 

また、ペン先のブレが少ないゼブラ「ブレン」は、その剛性の高さによって逆に細かな凹凸を拾ってしまい、描線にはっきりとビビリが出ていた。バイクのリジッドサス(衝撃吸収機構を持たない棒状のサスペンション)に近い感覚である。

↑各ボールペンでの比較。ゲルの激細0.3mmが書きづらかったり、剛性の高いブレンだと凹凸を拾いすぎて線にわずかな振動が出てしまうなど、ボールペンの特徴によって書き心地も異なるという結果が出た

 

小学生用の人気下敷きを大人向けにリファイン

実はこの下敷きは、文房具総選挙2022で学研キッズネット賞を受賞、また同年7月の日本文具大賞では機能部門グランプリを獲得した「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」という、学童用下敷きが大人向けにリメイクされたもの。字がうまく書けない小学生向けに作られており、実際に効果を体感している子どもたちも多いというヒット商品なのである。ちなみに悪筆の筆者も効果ありと感じており、発売以降ずっと愛用してきた。

↑こちらは先行モデルの学童向け商品「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」(0.6mm 650円/0.3mm 800円、上写真は0.3mm)。基本的な仕組みは大人用とまったく同じ

 

今回の大人用と学童用は、いずれもメイン機能となる0.3mmのドットは同じ。ただし、学童用には、幼児~小学生低学年用に0.6mmドットも用意されている。そのほか、表面の印字が方眼(学童用)と縦罫線(大人用)、裏面の加工がツルツル(学童用)とマット加工(大人用)といった辺りが変更点となっている。

↑学童用(右)の裏面はツルツルで走り書きしやすい仕様なのに対して、大人用(左)の裏面は細かいシボのマット加工でゆったり書き用になっている

 

また、学童用のラインナップがA4とB5だったのに対して、大人用はA4・B5・A5・B6と幅広くなっている。特に、A5とB6は手帳で使いたいという人も多いはずで、大人向けとしては納得の変更点だ。筆者もノートはA5で統一しているので、実はこれまでは学童用のザラザラ下じきA4サイズを半分にカットして携帯していた。これからはそんな手間無しで大人用を購入すればいいので、個人的にもこれはありがたいのである。

↑学童用下じきにはA5サイズが無かったので、A4を半分に切って使用していた

 

大人になって下敷きを使う人はおそらくかなり少数派で、改めて導入することに抵抗感を感じる人がいるかもしれない。とはいえ、ただ敷くだけでそれ以外の労力は無しに、読みやすい字が書けるようになるというのは、わりと大きなメリットなのではないだろうか。

 

普段使いのノート・手帳に挟んでおけば持ち運びの手間はないし、ついでにインクの裏抜けを防げたりもするので、便利なことは間違いなし。もし今、「自分の字が嫌い」「人前で字を書きたくない」など、大人の汚字に悩んでいるのなら、落ち着いて丁寧に字を書くクセを付けるべく、ぜひ常用することをオススメしたい。