見た目よし! 書き味よし! 2025年ベストオブ高級シャーペンはコレ!

ink_pen 2025/12/12
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見た目よし! 書き味よし! 2025年ベストオブ高級シャーペンはコレ!
きだてたく
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きだてたく

1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

2024年から文房具界隈では「高級シャープペンシル」への注目度が非常に高まっている。

もちろん中高生男子に限って言えば、シャーペンそのものが昔から人気のジャンルではあるのだが、ここしばらくはユーザーの幅が少し広がって、ビジネス層にまで届きだしている印象なのだ。

高級シャーペンといえば、元々は中高生男子のシャーペン好きがコレクションとして購入するのが主流だったが、見た目の高級感に加えて、特に手帳やノートとの相性の良さで、徐々に社会人にまでリーチし始めた模様。

その辺りで販売数も全体的に伸びており、筆記具メーカー各社が精力的に高級シャーペンの新製品を展開しているという流れである。

今回はその中から、見栄えの良さと書きやすさのバランスが取れた最新の1本を紹介したい。

重量感+低重心+高級感

ゼブラから2007年に発売された「テクトツゥーウェイ」は、千円台ながらずっしりとした重量感と低重心で、シャーペン好きの中高生からも評価の高い製図用シャーペンである。

その高級モデルとして2025年9月に発売されたのが、今回紹介する「テクトツゥーウェイ RO」(以下、「RO」)だ。

ゼブラ

テクトツゥーウェイ RO 0.5mm

各2500円(税別)

ちなみに、テクトツゥーウェイの標準モデルも価格以上に高級感があるというのが評価ポイントのひとつだった。

さらにその高級モデルであり、価格も1200円から2500円(どちらも税別)と倍以上になっているわけだが、どの辺りがグレードアップしたのだろうか?

↑標準モデルとの比較。ROはロゴが軸と同色プリントになっているなど、シックなデザインになっている。

実のところ見た目に関しては、大きく変わったという印象はあまりない。特にグリップから上は樹脂製ボディ・ショートクリップ・ノックノブ周辺と、ほぼ変更はないように見える。

逆に言えば、グリップから下に変更点が集中しているということになる。

↑グリップの比較。金属表面に細かな凹凸のパターンを彫り込んだローレットグリップは、高級感と高い摩擦力が魅力だ。

安定して握れるローレットグリップ

そのグリップは、標準モデルがメタルグリップにゴムの3連リングという仕様なのに対して、ROは同じくメタルグリップにローレット加工(金属などの表面に施される凹凸模様)が施されている。

ROというモデル名は、仏語の「roulette」(ルレット=ローレット)の頭を取ったもの。つまりこのグリップが本モデル最大の特長ということだろう。

↑シリーズに共通するグリップ3本溝デザインは、グリップ感を高める効果もある。

ローレット加工グリップの先側には3本の溝が彫り込まれており、標準モデルの3連リングの意匠を盛り込んだ形だ。

筆者は手汗が強めなため、一般的なローレットグリップでも滑りやすく感じるのだが、この3本の溝は程よく指の腹にフックしてくれる。これは安定して握れる良いグリップだと感じた。

↑グリップと口金が一体化することで、ガッチリとした剛性感を生んでいる。

もうひとつの大きな変更点は、先端の口金をローレットグリップと一体化したこと。製図用シャーペンとしてはわりとよくある仕様だが、口金が緩んでガタつく心配がないことで、安定した筆記ができるというわけだ。

正直なところ「そんな頻繁に口金が緩んでガタつくことってある?」という気もするのだが、そこは「緩むよりは緩まないほうがいい」と考えるべきだろう。

低重心が生む、ずっしりと心地いい書き味

書き味に関しては、標準モデルの良いところをそのまま継承したという印象だ。

全体重量が実測で約22.6gとかなりずっしりしており、さらに重心位置もグリップと後軸の切り替えの辺り(先端から約55mm)とかなり低い。

握った際に手の中でどっしりと落ち着く感じがありつつ、それでいてペン先に振り回されないバランスは、書きやすさという点でかなり優秀だと感じた。

↑重心位置はこの辺り。筆記具としてはかなり低く、安定感がある。

また、約4mmという長い先端パイプ+細く絞られた口金の組み合わせによって先端視界が大きく開けているのも、製図用シャーペンらしい書きやすさだ。

例えば、手帳などに細かい文字を書く際は、この先端視界の良さに助けられることもあるだろう。

↑全体的に先端がシャープになっていることで、ペン先周辺の先端視界はとても優秀だ。

品のあるマットな表面

ところで、口金は軸色によって黒とシルバーの2色があるが、どちらも反射の少ないマットな表面処理でテカりにくくなっている。

ペン先はどうしても視界に入るパーツなので、ギラギラとした反射光はあまり目にうれしくはない。この辺りの細かな部分も、高級感ある仕上げだなと感じられた。

芯が出しやすかったら…

テクトツゥーウェイと言えば、軸を振ることで芯を出す「フリシャ機能」と、そのオンオフ切り替えが大きなポイント。もちろんROにもフリシャ&オンオフは搭載されている。

ちなみに、テクトツゥーウェイシリーズのフリシャ機能はやや芯の出が渋いというか、きちんとペン先を下に向けて振り、内部のオモリを上下に最大限動かさないと芯が出ない。

かなりしっかりと意識した動きを求められるため、慣れないうちは普通にロックをしたほうが確実なぐらいだ(もちろん、慣れれば振ったほうが早い)。

どうせ必要ないときはフリシャをオフにできるのだから、もうちょっと雑な動きでも芯が出るようにしてくれたほうが使いやすいかなとは感じた。

↑フリシャのオンオフはグリップ直上のダイヤルパーツを回すことで行う。

買って後悔しない1本

高級シャーペンの選択肢が増えた昨今、仕事で使うシャーペンを選ぼうとしても、どれにしようか迷うことにはなるだろう。

もちろん、高級シャーペンならではの見た目のリッチさや重心の安定感、握りやすさなど、選ぶ基準はそれぞれなので、単純に「これがいいよ」とは言えない……。ただ、高級シャーペンに求めたいあれこれを全般的にバランス良く持っている1本としては、ROがかなりいい線をいっているように感じた。

決してお手ごろな価格とは言えないが、購入して「失敗した」と感じづらいシャーペンとして、わりとオススメできる。

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