デジタル時代にあえて紙とペンを用いることの意味ーGetNavi編集長が語る、思考を深めるノート術の極意

ink_pen 2026/1/31
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デジタル時代にあえて紙とペンを用いることの意味ーGetNavi編集長が語る、思考を深めるノート術の極意
GetNavi編集部
げっとなびへんしゅうぶ
GetNavi編集部

1999年創刊。「新しくていいモノ」を吟味して取り上げる月刊の新製品情報誌。生活家電とIT・デジタルガジェットを中心に、モビリティ・雑貨日用品・グルメ・お酒まで、モノ好きの「欲しい!」に結論を出す、がコンセプト。

なぜ人は、考えるときに紙とペンを取るのか。GetNavi編集長の和田と、文房具ジャンルを担当する鈴木が、自分たちの“書く”習慣を振り返りながら、「思考」と「書くこと」の関係性を探った。

手帳やノートを思考ツールとして活用する人も多いだろう。書くという行為は、情報を選び、構造化し、アイデアを膨らませる行為でもあり、昨今その力が見直されている。ここからは、書く力を引き出す、手帳・ノート術を紹介する。

GetNavi編集長・和田史子(右)
GetNavi webの編集長を経て今年10月、本誌の編集長に就任。GetNavi web編集部時代は文房具ジャンルも担当していた。
GetNaviデスク・鈴木翔子(左)
本誌の文房具担当。本誌が毎春開催する文房具のアワード「文房具総選挙」の運営も、和田とともに5年以上担当している。

手書きは思考を深める原始的かつ最強の技術

鈴木 和田さんは、予定管理やライフログ以外で、手帳やノートをどのように活用されていますか?

和田 ここ数年、気になったニュースを手帳に書き写しています。世の中の流れを広く把握できるし、俯瞰的に見返せるから、我々が扱っているトレンドやヒットの予測につなげられるかなと思って。

鈴木 手帳に書くとパラパラ見返しやすいというメリットがありますよね。私は、日常の中で「へ〜と思ったこと」をメモしていて、原稿を書くときにはメモが役立つことがあります。

和田 私も取材中に出会った名言とか、例えば雑誌にはこれからこういう存在価値が生まれそうだななど、考えるヒントになりそうな言葉を書き留めていますね。さっきのニュースの記録は、家で書くから少しいいノートを使っていますが、そういった日常のメモは、持ち運んで気負わず使えるノートに書いています。

鈴木 すごくわかります。私のネタ帳もそうですが、特集の構成やタイトルを考えたり、アイデアを広げたいときは、いい意味で雑に扱えるノートにガシガシ書くのがいい。個人的には、A4ぐらいのノートを横向きにすると視界に収まりやすく、俯瞰で眺めながら考えられますね。

和田 考えるときはやっぱり手書きが生きてきますよね。

鈴木 はい。タイピングよりも、手と脳が直接つながって、頭が回転している感じがする。紙の質感や筆記の摩擦など、入ってくる刺激が増えるのもいい気がしますね。

和田 デジタルに比べて検索性は低いし、原稿にするとなると結局打ち直さなくちゃいけないから、手書きのメモって、正直面倒くさいものなんだけど、PCでメモを取るよりも、不思議と理解が深まるんですよね。思考の速度に合うのかもしれない。

鈴木 PCでメモを取るときは一言一句残そうとしちゃうけれど、手書きだと話す速度のほうが早いから、全部書くのは諦めて要点だけを書くじゃないですか。そのときに頭の中で“編集”という作業をしていて、無意識に脳を使っているのかも。

和田 そうですね。あとPCだと、変換のミスが気になったり、打ち込む行為自体に意識を持っていかれちゃう。メールやチャットの通知でも気が散るし。あとは単語と単語を繋いだり、上下左右好きなところに書けて直感的に情報を構造化できるのも手書きの強みだと思うな。ワードだと改行のたびに左から始まっちゃいますからね。

【Wada’s Tools】

↑気になったニュースのメモ。元々は、PLOTTERの「月間ブロック」(右)を使っていたが、スペースの都合で今はロイヒトトゥルム1917の「ウィークリープランナー」(左)に移行。
↑「取材用のノートは、コンパクトで持ち運びやすく、気負わず書けるザラ紙のものが使いやすい」(和田)と愛用しているクレールフォンテーヌの「ZAP BOOK」。
↑上のペンは、持ち運び時はコンパクトだが、使うときは通常のペンと同じ長さになって書きやすい。下の紙製のペンはしおり代わりにノートに挟める。

鈴木 作詞をする友だちが何人かいるんですが、やっぱり彼らも手書きで書くんですよ。完成したらPCに打ち込むとは思うんだけど。で、何がいいって、思考の跡が残ること。人に見せないものだから、二重線で消したりしていて、そうすると後から見返して「やっぱり消したやつを採用しよう」ってできる。時間の行き来ができるのも魅力だなと。

和田 ワードだと文字は文字だけど、手書きは時間も含め、文字の大小とか、崩れぐあいとか、情報量が多いですよね。あと最近面白いと思うのが、ガジェットも、質感など物質性を追求してきていること。アップルの最新OSで導入された「リキッドグラス」もそうだし、電子ペーパーも紙のような質感の商品が多い。ガジェットがその方向に進化しているのって、結局、人がそこを求めているからなんじゃないかな。

鈴木 我々は無意識に手触りを求めているんですかね。そういう意味では、電子ペーパーは、画面にざらつきや引っ掛かりがあって、紙に書くとき同様、五感が刺激される感じがします。私自身、ノートと併用していますよ。

和田 紙に書いている実感を得られる端末なら、思考するときのツールとしてアリですよね。

鈴木 うん。和田さんは普段、アイデアメモは何に書いていますか?

和田 デスクに常備した裏紙ですね。こういったメモは、美しく残そうとは思っていないので。

鈴木 考えるときは、美しく残そうとしないって大事かも。美しく残そうとするとそこに意識が向いちゃって、脳のメモリを100%使えない気がするから。

和田 結局、気負わずに書ける環境が、思考を解放するんだと思う。

鈴木 手書きは、古来から人間が行なってきた記録行動だし、それが脳と体に染みついているから、今も変わらず最強の思考技術なのかもしれないですね。

【Suzuki’s Tools】

↑軽量&薄型ボディで、旅行や仕事で荷物が多いときなどに便利な電子ペーパー。「ネットに繋がらないので、集中して考えたいときにもいいですよ」(鈴木)
↑特集の構成を考えるときは大きめのノートを使用。「A4ぐらいあると商品の写真を切り貼りして入れ替えながら考えたり、流れを俯瞰で眺め検討したりするのにちょうどいい」(鈴木)
↑青(上)や茶のペンをメインで使用。タイトルを考えるときなど、言葉をたくさん書き出したいときはファインライター(中)、印付けにはダーマトグラフ(下)。

※「GetNavi」2026年1月号に掲載された記事を再編集したものです。
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