乗り物
2017/7/9 22:00

JRの新型機関車「DD200形式ディーゼル機関車」ってどんな車両? そのスペックと導入の背景を調べてみた

神奈川県川崎市のJR貨物・新鶴見機関区で新型機関車が公開された。DD200形式ディーゼル機関車901号機ーー公開された新型機関車はDD200形式の試作車で、貨車の入れ換えや貨物列車のけん引など、いろいろ使える万能タイプ機関車とされている。本稿では、そんな同機関車の特徴を探った。

 

貨物ターミナル駅で活躍するHD300形式との違いは?

新しく登場したDD200形式だが、外観を見るとHD300形式に近い。では、HD300形式とはどのような違いがあるのだろうか。

 

2012年から量産化されたHD300形式。ハイブリッド機関車でディーゼルと蓄電池の2つの動力源を利用し、全国の貨物ターミナル駅などで入換機としてすでに30両近くが活躍している。このHD300形式は入れ換えのみを行う機関車として開発されたこともあり、駅構内以外で貨車を引くことができない。

↑全国の貨物ターミナル駅で入れ換えに使われるHD300形式ハイブリッド機関車。写真の500番代は寒冷地用に造られた車両(札幌貨物ターミナル駅で)だ

 

鉄道貨物輸送では、東海道・山陽本線などの幹線を使った列車以外に、非電化区間を含む短距離区間を走る貨物列車がある。例えば、石巻線の小牛田駅〜石巻港間や高山本線速星駅〜富山貨物駅間などの輸送がそれにあたる。こうした区間はHD300形式が使えないため、現在も国鉄時代に生まれたDE10形式が使われている。このDE10形式に代わる機関車として開発されたのが、今回誕生したDD200形式というわけだ。

 

40年以上の使われ続けてきた万能機関車DE10形式

DE10形式が量産化されたのは1966(昭和41)年のこと。1978(昭和53)年までの間に700両を越える車両が製造された。国鉄時代には各地の貨物駅での入れ換えはもちろん、貨物列車だけでなく旅客列車を引くなど“万能タイプ”の機関車として使われた。使い勝手の良さから各地の臨海鉄道にも導入されている。

 ↑DE10形式は信越貨物支線など各地の本線・支線輸送に欠かせない機関車でもある

↑DE10形式は信越貨物支線など各地の本線・支線輸送に欠かせない機関車でもある

 

1987(昭和62)年の国鉄分割民営化のあとも、同車両はJR旅客各社とJR貨物に引き継がれた。JR貨物ではDE10形式が64両(2017年3月現在)。防音対策などを施したDE10形式の改良進化タイプのDE11形式を6両が現在も使われている。

 

万能タイプとして使われてきたDE10形式だが、後期に誕生した車両でもすでに40年近い年月がたち、老朽化が目立っていた。貨車の入れ換え用にHD300形式を用意したものの、DE10・DE11形式が行ってきた貨物列車のけん引が可能な車両が必要とされていた。そこで今回のDD200形式が開発されたというわけだ。

↑防音対策などを施したDE11形式2000番代。新鶴見機関区に配置、首都圏の貨物駅などで稼働している
↑防音対策などを施したDE11形式2000番代。新鶴見機関区に配置、首都圏の貨物駅などで稼働している

 

DD200形式の魅力は汎用性の高さにあり

それでは、DE10形式とDD200形式の基本的なデータを比べてみよう。

◆DE10形式/駆動方式:液体式 動軸数:5軸 運転整備重量:65.0t 車体長:14.15m 最高運転速度:85km/h 動輪周出力600kW 主機関:水冷4サイクルV型12気筒1個 主電動機:なし

◆DD200形式/駆動方式:電気式 動軸数:4軸 運転整備重量:58.8t 車体長:15.9m 最高運転速度:110km/h 動輪周出力600kW 主機関:水冷4サイクルV型12気筒1個 主電動機:4個

 

DE10形式とDD200形式の大きな違いは、DD200形式の駆動方式が電気式であること。車体長はやや長くなったものの、軽量化されたことで最高運転速度が旅客路線での運転でも支障のないように110km/hと向上している。

 

また、動軸は5軸を4軸としたが、軸重は13tから14.7tに重くなっている。これは、DE10形式が開発されたときに脆弱な路盤が多いローカル線での走行を考慮したため。現在はそこまで軸重に配慮する必要がなくなった。複雑な構造となりがちな5軸を避け、粘着力と牽引力を高めるべく4軸とされている。

 

外観は運転室が車両の中央からやや片側に寄った“セミセンターキャブ方式”で、これはDE10形式に近い。また貨物駅での入れ換え作業が行いやすいようにステップを大きめにするなどしている。

↑DD200形式901号機(試作車として造られたため900番代とされている)。入れ換え作業がしやすいように大きめのステップが採用され、安全対策用に手すりの色分けなどが行われている
↑DD200形式901号機(試作車として造られたため900番代としている)。入れ換え作業がしやすいように大きめのステップが採用され、安全対策用に手すりの色分けなどが行われている
↑運転室の位置はDE10形式のスタイルを踏襲。2端(エンド)側に寄って設けられている
↑運転室の位置はDE10形式のスタイルを踏襲。2端(エンド)側に寄って設けられている

 

前述したようにDE10形式とDD200形式の大きな違いは駆動方式を液体式から電気式にしたところ。電気式とは、ディーゼルエンジン(内燃機関)で発電機(上写真では主発電機)を駆動して生み出した電気で電動機を回して走る。電気式の方が運転操作しやすいなど利点が多い。

 

さらに電気式ならば、車輪それぞれに理想的な荷重をかけて回すというようなこともでき、効率的な運転が可能になる。JR貨物では同じ電気式のディーゼル機関車としてDF200形式を導入しているが、そうした別形式と同じ部品を使うことができる。電気機関車の部品とも一部共用が可能だという。電気式はそれだけ機器などの汎用性が高くなるわけで、メンテナンスなどの諸費用の軽減にも結びつけることができるのだ。

↑DD200形式の運転台。前後両方に運転できるように運転室内の2か所に運転台がある。左側が主幹制御機、いわゆるマスターコントローラーで、ブレーキレバーは2つ
↑DD200形式の運転台。前後両方に運転できるように運転室内の2か所に運転台がある。左側が主幹制御機、いわゆるマスターコントローラーで、ブレーキレバーは2つ
↑台車には機関車特有の砂撒き装置などが付く。空気バネの採用で乗り心地も向上している
↑台車には機関車特有の砂撒き装置などが付く。空気バネの採用で乗り心地も向上している

 

試運転を続けることで量産化への道を探る

DD200形式の今後の動向についても触れておこう。2017年度は貨物駅構内と一部の路線を利用しての試運転が行われる予定。現状では、東京貨物ターミナル駅構内と、関東地区、仙台地区などでの試運転が検討されている。

 

HD300形式の場合には、2010年3月に試作車(901号機)が誕生、東京貨物ターミナル駅や札幌貨物ターミナル駅などでの試運転を経て、2年後の2012年1月から量産車が投入された。この前例を見れば、量産時期は発表されていないが、2019年ごろに量産機が登場するのではと予想される。

 

なお、JR貨物のDE10形式とDE11形式は計70両(2017年3月現在)だが、この一部はHD300形式に入れ換えとなる見込み。DD200形式の製造予定数は発表されていないが、30両前後ではないかと思われる。

 

また、DE10形式は現在、JR旅客各社でも事業用に使われている。こちらのDE10形式も老朽化は避けられないわけで、今後はJR貨物のDD200形式に興味を示す旅客会社も現れるのではないだろうか。一方、貴重となりつつある国鉄型機関車のDE10形式。これまでは各地で見られたDE10形式も2020年前後には徐々に消えていくことになりそうだ。

 

最後に、JR貨物のディーゼル機関車を写真とともに見ていこうDE10形式と同じくいまや貴重な国鉄型機関車はいまも稼働している。こちらの機関車の動向にも注目したい。

↑関西本線で活躍するDD51形式。稼働中の車両が17両(2017年3月)と徐々に減りつつある
↑関西本線で活躍するDD51形式。稼働中の車両が17両(2017年3月)と徐々に減りつつある
↑北海道内の貨物輸送に欠かせないDF200形式。愛称は「レッド・ベア」。本州の関西本線でも一部列車のけん引を始めている
↑北海道内の貨物輸送に欠かせないDF200形式。愛称は「レッド・ベア」。本州の関西本線でも一部列車のけん引を始めている
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