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2018/3/12 21:13

まもなく実施されるJR各社の「ダイヤ改正」、今年は何がどう変わる?

【JR四国】新型車両を利用した特急が増える一方で――

新型車両の導入が順調に進められているJR四国。ダイヤ改正で、特急用の電車8600系で運転される特急「しおかぜ」「いしづち」と、特急用の気道車2600系で運転される特急「うずしお」が増えることとなった。2車両ともJR四国の社内デザイナーがデザインした新造車両で、評判もなかなか。人気デザイナーに頼らず、独自の新型車を生み出す姿勢が目を引く。

↑新型8600系で運転の特急「しおかぜ」と「いしづち」。従来の8000系に換わり8600系で運転の列車が、「しおかぜ」「いしづち」とも1往復ずつ増える予定だ

 

↑2017年12月から運転が始まった2600系の特急「うずしお」。増車され、3月のダイヤ改正からは2600系で運転される列車が1日に3往復から4往復になる予定だ

 

新造車が増える一方で消えていく車両も。JR四国の2000系は、気道車としては世界初の制御付き振り子式車両として開発された。1989(平成元)年に製造されたTSE2000形が、鉄道史に名を残す2000系最初の車両となった。この試作車両の編成3両がダイヤ改正とともに姿を消すことになった。

↑TSEという愛称を持つ2000系の試作編成。その後の2000系量産型と異なり正面に特急名の表示が無い。最後は3月17日の特急「宇和海」2号として走る予定だ

 

【JR九州】減便が多く見られる厳しい現状

JR九州は、JR東日本やJR西日本に次ぐJRグループの“優等生”となりつつあった。鉄道事業以外に、多角経営に乗り出し、新規事業それぞれが順調に推移していた。

 

しかし、ベースとなる鉄道事業が、度重なる大規模災害や、利用者減少の荒波を受け、厳しさを増しているように見える。熊本地震による豊肥本線の寸断、さらに昨年の大水害による久大本線や日田彦山線の長期不通など、鉄道事業を揺るがす大きな負担となっている。そのため、一部の優等列車の減便や、閑散路線の運行本数を減らすなど、今回のダイヤ改正でもマイナス要素が目立ってしまっている。

↑上り特急「有明」。これまでは早朝発の上りが2本、夜に下り3本という列車が運行されていた。3月17日以降は、朝の上り1本のみの特急になってしまう

 

在来線の特急列車の本数や、運転区間の見直しが多くなっている。なかでも減便の割合が大きいのが特急「有明」。ダイヤ改正時までは博多駅〜長洲駅(ながすえき)間に上り2本、下り3本の運行で、長洲駅着が深夜1時20分と帰宅する利用者に重宝がられる列車も運行されていた。

 

それがダイヤ改正以降は、大牟田駅発の博多駅行きとなり、上り大牟田駅発6時43分のみになってしまう。区間短縮、さらに上り片道1本のみとは、なんとも思い切ったものだ。

 

ほかにもこうした例が見られる。

↑1903(明治36)年築の駅舎が残る嘉例川駅(かれいがわ)に停まる特急「はやとの風」。これまでは毎日運転の特急だが、ダイヤ改正後は週末などの限定日の運行に変わる

 

鹿児島中央駅と肥薩線の吉松駅を結ぶ特急「はやとの風」。錦江湾越しの桜島を眺めや、嘉例川駅や、大隅横川駅(おおすみよこがわえき)といった、明治生まれの駅舎が残る駅に停車するなど鉄道好きに親しまれてきた観光特急だ。

 

この「はやとの風」の運行日が毎日から、週末や長期休みの期間のみに限定されることになった。

 

同列車の終着駅・吉松駅からの北側区間は、さらに状況が厳しい。肥薩線では「山線」と呼ばれる吉松駅〜人吉駅間。スイッチバック駅の大畑駅(おこばえき)や真幸駅(まさきえき)がある険しい線区だが、この区間は走る列車がこれまでの5往復から、1日わずか3往復に減る。珍しいスイッチバックがあり、また日本三大車窓が楽しめた風光明媚な路線の旅が、かなり不便になりそうだ。

 

厳しい現実を見せつけられたJR九州のダイヤ改正の内容。一筋の光明を見いだすとしたら特急「あそぼーい!」の復活だろうか。

↑阿蘇カルデラを走ったころの特急「あそぼーい!」。熊本地震の影響で、写真の豊肥本線・立野駅付近の被害が大きく、長い間、運転休止となっていた

 

「あそぼーい!」は熊本地震が起こる前までは、豊肥本線の熊本駅〜宮地駅(みやじえき)を結ぶ人気のD&S(デザイン&ストーリー)列車だった。熊本地震以降には、臨時列車として、各地で運行されていたが、3月17日以降は、大分県の別府駅と肥薩線の阿蘇駅間を走ることになる。

 

週末や長期休み期間のみの運行となるが、パノラマシートから見る前面展望の楽しみが復活するわけだ。期待したい。

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