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2018/12/16 17:00

かつては同じ会社の路線だった — 数奇な運命をたどった2路線を巡る旅【貝塚線編】

【貝塚線を巡る旅1】貝塚駅で向かい合う西鉄と地下鉄の改札口

さて貝塚線の電車に乗車してみよう。まずは貝塚駅へ向かう。福岡市地下鉄箱崎線の終点駅、貝塚駅で電車を降りる。改札口を出ると目の前に貝塚線の改札口がある。両線とも地上駅で高さも同じだ。

↑西鉄貝塚駅の改札口の向かい側に福岡市地下鉄箱崎線の貝塚駅がある。同じ地上駅で乗換えは便利だが、なぜ路線が結ばれなかったのか、不思議にも感じる駅だ

 

こうした接続駅も珍しい。階段を上り下りする必要がなく、便利ではあるのだが、なぜ電車の相互乗り入れが行われていないのか不思議に感じる。ちなみに福岡市地下鉄空港線(箱崎線と利用車両は同じ)の電車はJR筑肥線と相互乗り入れを行っている。

 

工事そのものは駅のこうした構造から難しくはない。そのため、地元福岡市では何度も乗り入れが検討してきた。ところが、地下鉄箱崎線の電車は6両編成。貝塚線は2両編成と短い。車両編成を変えるとなると、駅ホームなどの改良工事が必要となる。車両編成を延ばしてまで乗り入れが必要かどうか、福岡市の財政問題も含め、今まで計画が進まなかったひとつの原因だとされる。

 

貝塚線に乗車して感じることだが、2両編成の電車はそれほど混雑していない。日中は適度に空いていると言って良いだろう。

 

鉄道には「輸送密度」という、混雑度を測るスケールがあるが、2015年度で貝塚線は8074だ。これはJR東日本の路線にあてはめると45位の東金線(大網駅〜成東駅間)の8149よりも低い数値。地方の大都市圏にある鉄道といっても、なかなか運営は厳しいことを裏付ける。

 

 

【貝塚線を巡る旅2】貨物線と平行して走る路線ならではの楽しみ

さて貝塚線に乗車してみよう。路線を走る電車はすべてが600形だ。

 

同車両、大牟田線(現・天神大牟田線)用に1962(昭和37)年から1972(昭和47)年に製造した電車で、冷房化、台車を変更されるなどして、貝塚線に投入されている。やや武骨なスタイルながら、屋根から側面にかけて緩やかにカーブを描くスタイルが特徴となっている。

 

電車は朝晩がおよそ10分間隔、日中は15分間隔で、便利だ。貝塚駅を出ると右手に貝塚線の車庫(多々良車庫)が見える。さらに多々良川を渡る手前で、左手から1本の線路が近づいてくる。多々良川橋梁では並走、次の名島駅(なじまえき)の手前で立体交差して、線路はJR鹿児島本線に合流していく。

↑名島駅のちょうど目の前に、鹿児島本線の千早操車場がある。同操車場からJR貨物・福岡貨物ターミナル駅へ向かう博多臨港線が分岐する。操車場にはちょうど専用貨物列車「福岡レールエクスプレス号」が入線してきた

 

並走、そして立体交差した線路は通称・博多臨港線と呼ばれる鹿児島本線の貨物支線だ。西鉄の名島駅のちょうど目の前にある千早操車場から分岐、福岡貨物ターミナル駅へ向かう。ちなみに千早操車場では、福岡貨物ターミナル駅から熊本、鹿児島方面へ向かう貨物列車の機関車付け替え作業も行われている。

 

貨物列車好きにはたまらないシーンが駅のホームから見えるというわけだ。

 

さて先を急ごう。名島駅付近から高架路線を走る貝塚線。次の西鉄千早駅ではJR千早駅の乗換駅となっていて、乗降客も多い。西鉄香椎駅付近まで高架が続く。ちなみに西鉄香椎駅などの高架駅は、6両化が容易な構造となっている。地下鉄箱崎線との相互乗り入れを念頭においた準備も一部の駅では行われていたわけだ。

↑和白駅では上り下り列車の交換が行われている。同駅はJR香椎線との乗換駅。駅も隣接していているが、両社の駅構内に踏切や陸橋があり、乗換えがスムーズにいかないことが難点だ

 

西鉄香椎駅の次は香椎花園前駅だ。駅前に「かしいかえんシルバニアガーデン」がある。西鉄が運営する遊園地で「花の遊園地」とも呼ばれる。

 

1938(昭和13)年に貝塚線を開業させた博多湾鉄道汽船が「香椎チューリップ園」としてオープンさせた。四季それぞれ花が楽しめる遊園地。花好きの方は訪れてみてはいかがだろう。

 

地図を見ると博多湾、そして玄界灘沿いに走っている貝塚線ではあるが、車窓から海が見えるのは、和白駅近くにある、香椎線との立体交差区間ぐらいだ。このあたりもう少し見えるとリゾート路線の気分が盛り上がるのだろうに、とちょっと残念に感じた。

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