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2019/5/18 17:30

弱点は笑い飛ばせ! 「KLMオランダ航空」のユーモアあふれるPRが大評判

ヨーロッパの航空会社が昨年行ったプロモーションが反響を呼んでいます。その名は「We Are An Airline」プロモーション。航空会社が「私たちは航空会社です」と名乗るなんて不思議な気がしますが、その裏には、KLMオランダ航空(以下、KLM)の弱点を逆手にとったユニークな戦略が隠されていました。

 

オランダのフラッグキャリアなのに……

KLMといえば、エールフランス傘下の航空会社で、オランダを代表するフラッグキャリアです。しかし、オランダの隣の国ドイツでは、KLMについて知っていると答えた人は約46%(KLM調査)と、知名度はまだまだであるのが現状。ドイツの約10の都市とアムステルダムを結ぶ路線を運行するKLMは、この現状を打開するために新しいプロモーションを実施しました。

 

勘違いが生んだPRキャンペーン

それがズバリ、「KLMは航空会社です」と名乗るキャンペーン。ドイツ人に「KLMが何だか知っていますか?」と聞いたところ、最も多かった回答が「銀行」。それに「レストラン」「ラジオ局」が続きました。

 

このようなドイツ人の勘違いを受けて、KLMは実際に「KLM」と大きく描かれたATMマシーンを街中に設置。お金をおろそうと機械を操作すると、現金ではなくホンモノのKLMの航空券が出てくるという仕掛けです。

 

同じように、KLMと書かれたレストランでは、KLMのキャビンアテンダントがウェイターとなり「KLMはレストランではございません」とお客に案内。その代わりに、実際に提供されている機内食を無料で提供しました。

 

さらにラジオについては、「KLM放送」として本当にラジオを放送。放送のなかで、「KLMはラジオ局? 航空会社? それともレストラン?」とクイズを出すなど、ドイツのリスナーにKLMはラジオ局ではなく航空会社だということをアピールしたんです。

 

もちろんドイツの人々はこのプロモーションに驚き、ATMで航空券をゲットした人は飛び上がって喜ぶなど、大きな反響を呼んだことでしょう。

KLMは2019年1月、同社の2018年の乗客数が3420万人だったと発表。17年から4.5%の増加を記録しました。ヨーロッパと南北アメリカ大陸で最も成長率が高かったということで、いま最も注目できる航空会社のひとつと言えるかもしれません。笑う門には福来る、ですね。