乗り物
2015/6/8 8:00

”最強のスポーツEV”が、トミーカイラZZとローランドのコラボで完成!

近未来的な走りのサウンドを楽しめるスポーツEV!?

電子楽器メーカーの大手ローランドと、EVスポーツカー「トミーカイラZZ」を開発した京都大学発のベンチャー企業「GLM」は、この走行音を運転状況に応じて変化させるEVサウンドを共同開発したと発表しました。6月2日に行われた、その発表会と同乗試乗の模様をレポートします。

 

EVでもスポーツカーのサウンドを楽しめる!

「トミーカイラZZ」と言えば、日本を代表する本格EVスポーツカーとして、昨年4月デビュー。パワーウェイトレシオは3.7kg/hpを達成し、0-100km/hに要する時間はわずか3.9秒!この圧倒的パフォーマンスはスポーツカーとして十分な資質を備えていることを裏付けるものです。さらに、「トミーカイラZZ」はスポーツカーとしてデザイン面でも評価が高く、圧倒的なパフォーマンスと共に存在感を世に示してきました

 

そんな魅力的なEVスポーツカーである「トミーカイラZZ」ですが、唯一ないものがありました。それが走行時のサウンドです。当たり前ですが、EVである以上、ガソリン車のようにエンジン音もしなければ排気音もありません。あるのは走行時のロードノイズと風を切る音だけ。これまでのスポーツカーの感覚からすれば音の面で物足りなさを感じる人も少なからずいたでしょう。

 

そんな矢先、EVシミュレーションを開発する中で走行音サウンドを追加するというアイディアが生まれました。GLMの小間裕康社長によれば、「スポーツカーにはデザイン、ハンドリング、そしてサウンドの3つの重要な要素がありますが、『トミーライラZZ』でもクルマとして心躍るサウンドを提供したい。この想いが開発のきっかけになりました」と説明。その音源を共同開発するメーカーとして白羽の矢が立ったのがローランドでした。

 

ローランドは古くから電子楽器にこだわり、PCMでは得られない独自の音源技術「Behavior Modeling Technology」が世界中で高い評価を獲得してきました。ローランドの三木純一社長はこの実績を活かすことで、「今回のEVサウンドの開発は、楽器以外の分野へ自社技術をアピールする良い機会。EV特有の加速感にサウンドが加わることでユニークなスポーツカーが完成します」と、今回のプロジェクトへの期待感を示しました。

 

続いて技術担当のローランド上席執行役員 湯川純郎氏が登壇。「Behavior Modeling Technology」のキモとなる部分については“企業秘密”として明らかにされませんでしたが、その特徴は「幅広い車速変化への自然な対応」ができ、「高いリアルタイム性」と「高い音作りの自由度」を兼ね備えていることにあるのだそうです。発表会場ではこの技術を加えたサウンドが再生されましたが、OFF状態とは明らかに異なる“自然さ”を感じ取ることができました。

 

試乗では、従来のEVにない感覚を体感!

 

 

そして、レカロシートに身体を沈め、いよいよ試乗のスタートです。EVサウンドはダッシュボード先端に設置された8つのツィーターと運転席の背後に設置されたアクティブウーファーによって出力されます。最初はEVらしい「ウィーン」という連続音で走り、途中からサウンドを切り換えて「ガルル・・」「ギューン」というひと味違った音のなかで走りを楽しむことになりました。

 

わずか数分で、しかも助手席での試乗ではありましたが、サウンドが加わることで従来のEVでは味わえなかった感覚を覚えたのは確かです。開発に携わった技術者によれば「今回はEVらしい近未来感を出そうということで音決めをしましたが、もちろんどんな音でも作り込むことは可能です。仮に世の中にあるクルマの音をサンプリングして展開することもできますよ」とも話していました。まさにこれはEVだからこそ実現し得るオプション。まだ知らなかったEVの楽しさを実感できるものと言えるでしょう。

 

ところでこのEVサウンドですが、「当面は車内のみで聞こえるようにし、ユーザーの声と法規制の絡みを踏まえつつ、外部への音出しはバージョンアップで対応していく予定(小間社長)」とのことでした。また、音楽を聴くためのスピーカーを兼ねたりするのか、との質問に対して小間社長は「トミーカイラZZ自身は音楽を聴く環境を備えていないため、スピーカーはEVサウンド専用となり、現時点で(音楽用として)他にスピーカーを搭載する予定はない」との回答もありました。

 

なお、EVサウンドは、今秋までに車両価格800万円(税別)の「トミーカイラZZ」にオプション搭載されることになっており、価格は現時点で未定。試乗時のシステムもあくまで試作レベルのもので、実際にはスピーカーもEVサウンドシステムも、別モノが搭載される予定だということです。

 

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↑オーディオの装備もなく、コックピットはレーシングカーを彷彿させる装いだ

 

 

レカロシートが標準。思ったよりもタイトではないので幅広い人に対応できそうです
レカロシートを標準装備。それほどタイトではないので幅広い人に対応できそうです

 

ダッシュボードに配置されたツィーター。この緩やかなラウンドが自然な囲まれ感に一役買っている可能性もある
↑ダッシュボードに配置されたツィーター。この緩やかなラウンドが、自然な音場に一役買っているのかもしれません

 

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↑運転席シートの背後に設置されたアクティブサブウーファー。助手席に座っているとその存在感はかなり希薄です

 

 

↑液晶一枚で構成されるメーターは、表示内容を自在に切り換えられる可能性を持つ
↑液晶一枚で構成されるメーターは、表示内容を自在に切り換えられる可能性を秘めています

 

↑フロアに設置されたサウンド切り替えのスイッチ
↑フロアに設置されたサウンド切り替えのスイッチ

 

↑発表会場となったホテル日航東京(東京・お台場)
↑発表会場となったホテル日航東京(東京・お台場)

 

↑GLM代表取締役社長、小間裕康氏
↑GLM代表取締役社長、小間裕康さん

 

↑ローランド代表取締役社長、三木純一さん
↑ローランド代表取締役社長、三木純一さん

 

↑ローランド上席執行役員 湯川純郎さん
↑ローランド上席執行役員 湯川純郎さん

 

↑フォトセッションに臨むGLM代表取締役社長 小間裕康さん(右)と、ローランド代表取締役社長、三木純一さん
↑フォトセッションに臨むGLM代表取締役社長 小間裕康さん(右)と、ローランド代表取締役社長、三木純一さん