六本木ミッドタウン近くにある「Mercedes me」。メルセデス・ベンツの新型車の展示だけでなくカフェレストランとしても人気が高く、今やすっかり六本木の新名所として定着した印象です。その場所に新たに建設されたのが、今回紹介する「EQ House」です。2019年3月13日にオープンし、約2年間の期間限定で一般公開されていくことになっています。
EVのコンセプトをモデルハウスとして具体化
EQ Houseはメルセデス・ベンツ日本が竹中工務店の所有する土地を借り、今後発売が予定されているメルセデス・ベンツの本格EV(電気自動車)「EQ」のコンセプトを未来のモデルハウスとして具体化したもの。建設を担当した竹中工務店によると、同社が発案した「デジタル デザイン ビルド」と呼ばれる、デジタル情報技術を活用した設計・生産技術を使って建築されたそうです。
設計にあたっては1年間365日の日照パターンすべてをシミュレーションし、AIによって学習しながら住む人に最適な環境を提供できるよう幾何学模様になっているそう。そのパネルはアルミ製で1枚ごとすべてが異なったサイズ。これはコンピュータが熱のコントロールを最適化するために計算した結果ですが、そのままでは簡単にハメ込むべき位置が見つかりません。
そこでパネル1枚ごとにIDを付与し、その管理のもと、職人たちがスマートグラスなどのウェアラブル端末を使って作業していったとのことです。なお、見た目にはモデルハウス的ではありますが、建築基準法を満たして建設されているので、その気になれば住むことはできるとのこと。実際、トイレやシャワー室も使うことができるよう準備されていました。
家のシステムを音声でコントロール
そして、もっともEQ Houseらしさを実感させるのが、家のシステムを音声によるコントロールで可能にしたことです。メルセデス・ベンツAクラスなどに搭載されている「MBUX」のように、「ハイ、メルセデス!」と話しかけることで、照明や空調、音楽再生などを自在にコントロールできるのです。さらに室内にあるガラス製のインターフェイスを使うことで、様々なモードへの切り替えも可能となっていました。
今回のEQ Houseは、メルセデス・ベンツが最初に提唱し、クルマ業界のキーワードにもなっている「CASE」に対しても具体的なアプローチを見せています。「CASE」とは「C」はConnect、「A」はAutonomous、「S」はShared&Service、そして「E」はクルマの電動化を表します。
そこでEQ Houseでは、電動化(E)の一環としてクルマが家の中に入り込んで、生活の一部となることを想定しています。たとえば、外からEQ Houseに来た車両がどういった車種なのか(カーシェアリングなどを想定)や充電状況がわかるなど、クルマの情報と家がシームレスにつながっているのです。もちろん、家の中でEVへの充電が可能となっているのは言うまでもありません。
発表当日は、2019年中に日本国内で導入される予定のメルセデス・ベンツ初のEVシリーズ「EQ」第1弾の「EQC」(欧州仕様)も初披露されました。リチウムイオンバッテリーの容量は80kWhで、WLTPモードでの航続距離は400km。2モーターの4WDで300kW(408PS)/765Nmで、最高速は180km/h、0-100km/h加速は5.1秒と発表されました。まさにSUVとは思えない俊足ぶりですね。
EQ Houseでは、富士通が開発した眠りのアルゴリズムによる「快眠セミナー」を開催するなど、今後はIoTに関連する取り組みを展開しているメーカーとコラボして行く予定とのこと。自然との調和を融合と遮断によって巧みに取り込みつつ、家とクルマがシームレスにつながる未来の家。EQ Houseにはそんなメルセデスベンツと竹中工務店の提案が見えてきました。
<発表会で流れたEQ HOUSE紹介動画>