【わ鐵の秘密④】途中駅にも見どころ遊びどころが盛りだくさん!
大間々駅を発車すると列車は急に緑に包まれるように走り出す。渡良瀬川の流れも線路に近づいてくる。それまでの車窓風景とはまったく異なる光景となる。
「トロッコわたらせ渓谷号」は大間々駅発だが、同駅からの運転は、こうした車窓風景の変貌ぶりを見ると、“正解”なのかも知れない。
大間々駅を発車すると春先に桜が見事な桐原地区を抜ける。その先で、渡良瀬川が右手に見え始める。次の上神梅駅(かみかんばいえき)までは、駅間が5.1kmと長い。渓谷が間近に楽しめる区間だ。
わ鐵の路線には名物駅が多い。上神梅駅もその一つだ。古い木造駅舎が残っている。1912(大正元)年築の駅舎。昭和初期に増築された建物で、古い駅舎の残り趣ぶかい。この駅舎は、2008(平成20)年に国の登録有形文化財になった。駅のホームに連なるように桜並木があり、春は撮影に訪れる人が多い駅でもある(山あいにある駅なので、開花時期はやや遅め)。
上神梅駅の次の駅が本宿駅(もとじゅくえき)だ。ここは渡良瀬川が目の前に流れる渓谷沿いの駅。ホームからは階段を使って国道122号へ登る。駅近くに列車と渡良瀬川を絡めて撮影できるスポットがあり訪れる人も多い。
この本宿駅の次の駅が水沼駅だ。この水沼駅、駅舎内に「水沼駅温泉センター」がある。次の列車を待つ間にひと風呂が可能だ(大人600円)。露天風呂からは渡良瀬川を望むこともできる。
ホーム横に温泉センターの入口があり、湯から上がったらフロントでひと休み。列車が入ってきたらホームへ、ということができる。春先は駅近くの桜並木が美しく、写真を撮る人で賑わう。
水沼駅を出ると、「うさぎと亀」の唄の発祥の地に近い花輪駅、さらに中野駅、小中駅と小さな駅に止まりながら列車は北へ向かう。
【わ鐵の秘密⑤】神戸駅(ごうどえき)の名物といえば?
桐生駅からちょうど1時間で神戸駅に到着する。「神戸」と書いて「ごうど」と読む。「こうべ」という良く知られた駅名があり、そちらの駅との混同を防ぐために国鉄時代は神土と表記した。しかし、駅名の「ごうど」は同地区の地名だったこともあり、わたらせ渓谷鐵道となった年に「こうべ」と同じ漢字の「神戸駅」に改称している。
この神戸駅の名物といえば花桃。春には駅とその周辺に植えられた300本の花桃が紅色に染まる。開花する時期には「花桃まつり」が開かれ、駅前駐車場には多くのブースが設けられ様々なイベントが開かれる。
花桃とならび同駅の名物になっているのが構内の「レストラン清流」だ。元東武鉄道のデラックスロマンスカーだった特急「けごん」として走った車両の1720系中間車2両を利用、車内を食事施設に改装したものだ。
同レストラン、舞茸ご飯定食(1230円)やきのこカレー(820円)などが人気だ。料理は味に定評あり、食事時は列車利用の人だけでなく、ドライブ途中に立寄る人が多い。下り列車(主に午前中に走る列車)が駅に停車している間、弁当や軽食、カレーパンの販売も行われる。レストランに立ち寄る時間がない時には便利だ。