コンパクトSUVの草分け的存在にして、その5代目で日本に復活したトヨタ「RAV4」を試乗。ほかに、リアハッチが備わるファストバックへと変身したプジョー「508」と、独自のキャラクターに磨きをかけたフィアット「500X」をピックアップ。いずれも個性派の選択として要注目です。
【その1】オフロード性能を高めて国内マーケットに復活
トヨタ RAV4
【SUV】【試乗】
SPEC【アドベンチャー】●全長×全幅×全高:4610×1865×1690㎜●車両重量:1630㎏●パワーユニット:1986㏄直列4気筒DOHC●最高出力:171PS/6600rpm●最大トルク:207Nm/4800rpm●WLTCモード燃費:15.2㎞/ℓ
2ℓガソリンの4WDは本格派の悪路走破性を実現
トヨタの北米ピックアップにも通じるワイルドなルックスを得て、凱旋帰国を果たしたRAV4。パワーユニットは2ℓ直列4気筒直噴と、2.5ℓ直列4気筒直噴+電気モーターのハイブリッドの2種類。駆動方式は、両者ともにFFと4WDから選択できます。
その中で目玉なのは、2ℓモデルの「ダイナミックトルクベクタリングAWD」でしょう。これはFFベースの4WDに電子制御カップリングを装備した仕様で、後輪の左右トルクを適宜スプリットすることによって、快適なハンドリングが得られるもの。さらに「ロック&ダート」モードを駆使すれば、オフロードでもモーグルや登坂道を本格クロカン4WDに匹敵するレベルで走破します。
一方、リアにモーターを配するハイブリッドは上質感のある走りが魅力的。20:80まで前後トルクを可変する走りはスムーズ。低負荷領域ではハイブリッドの静粛性が際立ち、踏み込めば2.5ℓエンジンが爽快に吹け上がります。
【注目ディテール01】外観はSUVらしさを強調
先代は海外向けのみで日本には未導入でしたが、新型はSUVらしさを強調するルックスをまとって復活。2WDも選択できますが、駆動方式は4WDが主力です。
【注目ディテール02】パワーユニットは2タイプ
パワーユニットは、2ℓガソリンと2.5ℓハイブリッドの2種。後者の4WDは2モーター式で、システムの最高出力は222PSに達します。
【注目ディテール03】扱いやすくスポーティな装い
前方視界にも配慮が行き届いたインパネ回りは、カジュアルなSUVらしくスポーティなテイストも併せ持ちます。コネクテッド機能も充実。
【注目ディテール04】ユーティリティ性も十二分
フロア高を2段階から選べる荷室は通常時でも542/580ℓと大容量。手を使わずに開閉できるハンズフリーパワーバックドアも装備しています。
【その2】ファストバックに変身したプジョーの旗艦
プジョー 508
【セダン】【試乗】
SPEC【GTブルーHDi】●全長×全幅×全高:4750×1860×1420㎜●車両重量:1630㎏●パワーユニット:1997㏄直列4気筒DOHCターボチャージャー付(ディーゼル)●最高出力:177PS/3750rpm●最大トルク:400Nm/2000rpm●WLTCモード燃費:16.9㎞/ℓ
ガソリン、ディーゼルともに快適な走りに申し分なし!
1.6ℓガソリンターボ(180PS/250Nm)を搭載するGTラインは、軽やかに回るエンジン。そして、しなやかな足回りとコンパクトハッチのように軽快なハンドリングの組み合わせが抜群に魅力的なモデルです。
一方、2ℓ直噴ディーゼルターボのGTブルーHDiは、GTシャシーとのマッチングにやや硬さがあるものの、豊かなトルク特性がもたらす走りは乗り応え十分。8速のギアを持つATとの連携はゆったり走らせても快適で、いざ踏み込めばパンチの効いた加速を楽しめます。新世代「EMP2」プラットフォームを得て、新たにリアハッチが備わるファストバックスタイルとなった508は、Dセグメント市場における快作です。
【注目ディテール01】室内は最新プジョー流
プジョーが「i-コックピット」と呼ぶインパネは、極端に小径なステアリングが特徴。最新モデルらしく、運転支援システムも充実しています。
【注目ディテール02】使い勝手はワゴン級?
大ぶりなリアハッチ下の荷室は後席使用時でも487ℓ、後席を完全に畳めば1537ℓとワゴン級の大容量(数値は欧州参考値)。
【注目ディテール03】外観はクーペテイスト
厳密にはセダンというより5ドアハッチに分類される新型508ですが、外観は4ドアクーペ的なテイスト。ボディは先代より全長がよりコンパクト化。
【その3】エンジンを一新、装備も充実したイタリアンSUV
フィアット 500X
【SUV】【試乗】
SPEC【500Xクロス】●全長×全幅×全高:4280×1795×1610㎜●車両重量:1410㎏●パワーユニット:1331㏄直列4気筒マルチエア16バルブインタークーラー付ターボ●最高出力:151PS/5500rpm●最大トルク:270Nm/1850rpm●WLTCモード燃費:13.5㎞/ℓ
エンジンはフィアットの新世代ターボを搭載
500Xは、マニアが親しみを込めイタリア語読みで「チンクエチェント」と呼ぶフィアット500の、SUVバージョンです。日本には2015年に上陸していますが、このほどエンジンを筆頭にリニューアルを実施。内外装や装備なども手直しを受けています。
その中で特に印象的だったのは、やはり「ファイアフライ」と名付けられた新しい1.3ℓターボエンジン。従来よりパワー、トルクともにアップしているスペックどおり、その走りは力強く、かつ軽快です。高回転を苦にしないスポーティな味付けもイタリア生まれらしいです。“曲がりたがる”ハンドリングともども、オンロードで積極的な走りが楽しめるSUVとして要注目の1台といえます。
【注目ディテール01】走りは一層軽快に
走りは日常域の力強さを向上させつつ、積極的に走る場面では一層軽快なテイストに。今回からバンパーやライト類などのディテールも変更されました。
【注目ディテール02】装備品は最新レベル
タッチパネル式のインフォテインメントシステムや先進の運転支援システムが標準化。上級グレードの「クロス」ではレザーシートも装備されます。
【注目ディテール03】エンジンは新世代に移行
エンジンは、従来の1.4ℓから1.3ℓへと排気量を縮小しつつパワーとトルクが向上。ミッションは6速DCTを組み合わせます。
その1:文/山田弘樹 撮影/小林俊樹
その2:文/山田弘樹 撮影/望月浩彦
その3:文/小野泰治 撮影/菊池貴之
【フォトギャラリー】※GetNavi web本サイトでご覧になれます。