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2019/11/9 17:30

災害により寸断された「ローカル線」−−不通となっている19路線の現状をチェックする【前編】

⑤【東北の不通区間5】10年かけて再建を目指すJR只見線

ここからは過去の災害により不通となっている東北地方の路線の現状を見ていこう。まずは只見線から。只見線は2011年に起きた「平成23年7月新潟・福島豪雨」により甚大な被害を受けた。現在の不通区間は下記の通りだ。

 

◆JR東日本 只見線:平成23年7月新潟・福島豪雨の被害

不通区間会津川口駅〜只見駅間27.6km
被害状況複数の橋りょうが破損、路盤流出など
復旧見込み2021年度中

 

すでに8年前のことになった「平成23年7月新潟・福島豪雨」。阿賀野川の上流部にあたる、只見川の氾濫により、複数の橋りょうなどが崩落、路盤も流出した。一時は廃線すら危ぶまれた。地元・福島県が路線などの施設を整備・管理し、JR東日本が列車の運行を行う「上下分離方式」による復旧に合意、2021年度中の復旧に向けて工事が進められている。

 

被害の規模が大きい時にはこれほどまでに復旧に時間がかかるという典型的な例になっている。また赤字ローカル線となると、鉄道会社(JR東日本という優良会社であっても)の自助努力では復旧は難しいということを只見線の例は示している。

 

↑現在、只見線は会津若松駅〜会津川口駅間と、小出駅(新潟県)〜只見駅間のみの運行となっている。列車が走らない会津川口駅〜只見駅間は、代行バスが運行されている

 

↑不通区間の会津越川駅(あいづこすがわ)〜本名駅(ほんなえき)間に架かっていた第六只見川橋りょうの復旧工事。新鉄橋に架け替えるため大規模な工事が進められる

 

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⑥【東北の不通区間6】2019年度中にようやく全通予定の常磐線

東北地方の不通区間の紹介で最後となったが、常磐線にもまだ列車が走らない区間が残っている。常磐線は、ご存知のように東日本大震災により被災、津波によって大きな被害を受けるとともに、路線が、福島第一原子力発電所近くの避難指示区域内を走ることから、長期間にわたって不通が続いていた。

 

◆JR東日本 常磐線:東日本大震災(2011年3月11日)の被害

不通区間富岡駅〜浪江駅間20.8km
被害状況路線が避難指示区域を走るため長期間不通に
復旧見込み2019年度末

 

現在、福島第一原子力発電所に最も近かった富岡駅〜浪江駅間のみが不通となっている。この区間も帰宅困難区域の一部で駅周辺などが特定復興再生拠点となり、避難指示が解除される。それに合わせて路線の復旧が進められた。復旧後は東京〜仙台間を結ぶ常磐線経由の特急列車の運行も行われる予定だ。帰宅困難地域に含まれていたこの沿線も、来春からは新しい時代の到来が期待できそうだ。

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