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2019/12/1 18:00

西日本唯一の臨海鉄道線 —「水島臨海鉄道」10の謎

【水島臨海鉄道の謎⑥】JR山陽本線との連絡線はどこに?

ここからは水島臨海鉄道の旅を楽しもう。起点となるのは倉敷市駅だ。JR倉敷駅南口を出て、ほぼ隣接する倉敷市駅へ向かう。

 

倉敷市駅はホーム1つ、線路は1線で行き止まり式のシンプルな造りだ。旅客列車は同ホームを使う。一方、貨物列車は、どこからJR山陽本線へ出入りしているのだろう。

↑JR倉敷駅南口に隣接して設けられる水島臨海鉄道の倉敷市駅。駅の建物は3階建てだが、写真でも分かるように、駅施設をのぞき、2階や3階は、自転車の駐輪場となっている

 

この日、乗車したのは主力のMRT300形。朝一番の列車は1両編成だった。MRT300形の車内には、中間部に2人掛けのクロスシートと、車内前後にロングシートが配置されている。

 

朝一番の列車に乗車していたのは定員の1割ぐらい。空いていて快適だったのだが、めったに乗らない路線なのだから、朝7時台の元JR車両で運用される列車を選ぶべきだったな、と悔やむ。

↑倉敷市駅側から水島臨海鉄道の進行方向を眺める。前方のカーブの手前にJR山陽本線からつながる連絡用の線路があることが分かる

 

倉敷市駅6時18分、三菱自工前駅行きの始発列車が静かに走り始めた。進行右手にJR山陽本線の線路が見える。出発してすぐ、JR山陽本線の線路から分かれ、JR伯備線の線路が米子駅方面へ右に大きくカーブしていく。

 

その先に、JR山陽本線から、水島臨海鉄道に合流する線路があった。この線路が岡山貨物ターミナル駅と水島臨海鉄道の間を走る貨物列車が利用する連絡線である。

 

JR山陽本線と1.5kmほど並走した列車は、ほどなくJR線と分かれて走り始める。そして最初の駅、球場前駅に到着する。倉敷市営球場の最寄り駅だ。

 

【水島臨海鉄道の謎⑦】岡山県の駅なのだが駅の名前は福井駅

球場前駅を発車すると、路線は高架上を走り初め、国道429号を越える。しばらく走ると、進行方向、左手から水島本線に近づいてくる高架線がある。すでに線路ははがされているが、ここにはかつて専売公社(現・JT)倉敷工場へ延びていた引込線があった。この路線は工場閉鎖とともに廃止されている。

 

西富井駅の先で、列車は国道2号を越える。しばらく高架上を走った後、福井駅付近から、再び地上を走り始める。

↑福井駅はホーム1つの小さな駅。1989(平成元)年の3月に生まれた、水島臨海鉄道では常盤駅に次ぐ新しい駅だ。同駅付近の古い写真を水島臨海鉄道の歴史紹介スペースで掲載しているが、当時は畑が多く、見通しが良かった駅周辺も、現在は住宅街が取り囲む

 

さて、岡山県にある駅なのに福井駅という駅名である。福井県の福井駅と同じ名前で、読みも全く同じだ。倉敷市福井という場所に駅が造られたことから、福井駅と命名された。駅名の起源に、取り立てて不思議なところはないが、調べてみてちょっと興味深いことがあった。

 

岡山県内の市町には、福井という地名が多いのである。この倉敷市のほか、高梁市、総社市、真庭市、津山市に「福井」という地名があった。「福が居る」が福井となった、または「福の井戸」が転じて福井となったなど、福井の地名は起源がいろいろあるが、とにかく縁起の良い地名なのだろう。

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