【開業レポート④】新駅・羽沢横浜国大駅は時ならぬ人、人……
武蔵小杉駅の次の駅は羽沢横浜国大駅。この駅間は長い。15分も無停車のノンストップ区間となる。
前述した新鶴見信号場、鶴見川を通過、京浜東北線の鶴見駅を進行方向右手に見ながら走る。そして左手に京浜急行が見えてきたら、間もなく、長いトンネルへ入る。電車は生見尾トンネル、港北トンネルを通り抜け、左手にJR貨物の横浜羽沢駅に見えてきたら、間もなく羽沢横浜国大駅だ。相鉄線方面への分岐を通り駅構内へ入った。
羽沢横浜国大駅には11月25日に訪れたばかりだったが、開業後ということもあり下車してみた。すると多くの人で賑わっていた。新しい駅ができたからと、見物に訪れた人たちが目立つ。鉄道ファンだけでなく、親子連れ、シルバー世代のご夫婦といった年齢を問わずさまざまな人たちが、降り立っている様子が見かけられた。
「コンビニもないんだ」という声が訪れた人たちの会話に出てくる。確かにそのとおり。現在は店が1軒もない。駅周辺を見た限りは都会の“秘境駅”と言って良い印象だ。駅構内にドリンクやパン類など販売する自販機しかない。とはいえ、1〜2年たてば、この駅周辺も大きく変って行くことだろう。
現状の羽沢横浜国大駅では楽しめることがあまりない。駅のすぐ裏手に架かる歩道橋を歩き、眼下のJR貨物の横浜羽沢駅を眺めることや、記念スタンプを押す、またホームで写真を撮るぐらいだろうか。
一方、鉄道ファンにとって、裏手の東海道本線(貨物支線)を走る貨物列車の撮影が大きな魅力となりそうだ。特に早朝は上り貨物列車が、まるでラッシュ時の通勤電車ように頻繁に通過していく。
今は何もない新駅周辺だが、変化の波が訪れていることは確かなようである。
【開業レポート⑤】相鉄沿線を走るJR埼京線電車も新鮮だった
さて30分後に発車する海老名駅行きE233系電車に乗車して相鉄本線へ。西谷トンネルを走って3分ほどで西谷駅へ着く。
相鉄本線内では11月30日以前にすでにE233系の試運転が行われて、かしわ台にある車両基地にはE233系が停められていた。さらに新線開業後は、多くのJR東日本の車両が頻繁に走るようになったこともあり、相鉄の沿線模様も著しく変わったように感じた。
新線から相鉄本線へ乗入れる列車は、早朝の列車をのぞき、ほとんどが海老名駅まで走る。
ちなみに電車の前面のLED表示だが、相鉄本線へ乗入れ電車はJR線内では、「各駅停車 海老名」という表示と、「各駅停車 埼京線 相鉄線直通」「各駅停車 相鉄線内特急(または「各停」)」という表示が順番に掲示されていた。
一方、相鉄線からJRへの乗入れ電車の表示は、「特急(もしくは普通)新宿」という表示と、「特急(もしくは普通)JR埼京線直通」が表示される。
帰りも新線を走る新宿行き電車に乗車した。海老名駅で折り返し電車の発車を待っていると「この電車はJR線直通、特急新宿行きです」と何度もアナウンスされていた。相互直通運転が利用者に認知されるまで、こうしたアナウンスが繰り返し流されることになるのだろう。
海老名駅発の新宿行き電車は、途中の大和駅付近までは、乗車している人がまばらだった。二俣川駅付近からの乗客は増えたが、少なめだった理由は休日の夕方だったせいだろうか。ちなみに開業日、沿線を通り過ぎる日中の列車を眺めると、新宿行きの列車の方がやや混んでいるように感じた。
海老名駅や大和駅は、小田急電鉄という強力なライバル路線との接続駅となっている。目的地が新宿駅ならば、小田急を利用した方がやはり早い。
そのためもあるのだろう、海老名駅〜大和駅間では、相鉄本線内での移動のために乗車する人がいたものの、新線を使って東京都内方面へ向かう人は少なめのようだった。
一方で、二俣川駅前後の駅やいずみ野線を利用する人にとって、相鉄・JR直通線は魅力あるものになりそうだ。渋谷、新宿方面だけでなく、途中、武蔵小杉駅で乗り換えれば、品川、東京方面へ行くのにも便利になる。