2019年もあとわずかとなった。今年は、鉄道の世界もまさに悲喜こもごも。新線が開業、話題の新車両が登場する一方で、長年親しまれた車両が消えていった。災害で複数の路線が大きな被害を受け、古い歴史を持つ路線が廃止された。
「鉄道ゆく年、くる年」。鉄道を取り巻く話題を振り返りつつ、2019年がどのような1年だったのか、振り返ってみよう。
【注目!2019年①】相模鉄道とJR埼京線が直通運転を開始
2019年は待望の東西2本の新線が開業した。このことが、最も注目を集めた話題ではなかっただろうか。関東ではJR埼京線と相模鉄道を結ぶ相鉄・JR直通線。関西では大阪市の東側を走るJRおおさか東線が開業した。まずは相鉄・JR直通線の開業から振り返ってみよう。
2019年11月30日に相鉄・JR直通線が開業した。この開業により、相鉄本線と東海道本線(貨物支線)の線路が結ばれた。相鉄の車両とJR東日本の車両が相互乗入れ運転を開始、相鉄・海老名駅とJR新宿駅間を列車が直接、行き来するようになった。
新線の途中には羽沢横浜国大駅という新駅が開業し、“陸の孤島”でもあった横浜市神奈川区羽沢地区を一躍、駅前タウンに変えた。相鉄にとって初の他社線との相互乗入れであり、悲願の東京都心への乗入れを果たした。
とはいえ、相互乗り入れ列車の現状は朝夕に15〜20分間隔、日中は30分間隔と本数が少なめ。2022年度には、相鉄・東急直通線が開業の予定だ。この開業により新線計画は完了。相鉄線はさらに便利な路線と生まれ変わることになりそうだ。
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【注目!2019年②】JRおおさか東線が新大阪駅へ乗入れ
大阪も久々の新線の話題が注目を集めた。2019年3月16日、おおさか東線の新大阪駅〜放出駅(はなてんえき)間、11.0km区間が開業した。
新しく誕生した区間の南側、放出駅〜久宝寺駅(きゅうほうじえき)間は、すでに2008年3月9日に開業していた。今年、開業した北側区間はこれまで城東貨物線という貨物専用線が走っていた。しかし、新大阪駅へのアクセス線と、旅客用の路線への転換工事の時間がかかった。目標としていた新大阪駅乗入れまでに、一部区間の開業から10年以上の歳月を要した。
おおさか東線の開業により大阪市の東側、東淀川区、旭区、城東区といった地域と新大阪駅のアクセスが画期的に改善された。現在の運行頻度は朝と日中がほぼ15分間隔、夕方が10分間隔で、新大阪駅〜久宝寺駅間を走る普通列車が大半を占める。奈良駅行の直通快速列車は、平日の夕方からと、週末の日中と夕方に1時間に1本の運転のみだ。
当初、新大阪から奈良へのアクセスが画期的に改善されるとPRされていたものの、直通列車の本数は少ない。ちなみにおおさか東線の列車は、2023年春に、大阪駅の北側に開業予定の北梅田駅(仮称)までの運行も検討されている。北梅田駅までの運転が実現すれば、さらに便利になりそうだ。