昨年秋に神奈川県内で起った京浜急行の踏切事故は、踏切の危険性への注目度を高めた。踏切事故とともに問題視されているのが「開かずの踏切」だ。
開かずの踏切とはピーク時の1時間に、遮断される時間が40分以上になる踏切を指す。果たして開かずの踏切はどのぐらいの時間、閉まっているのか。首都圏の代表的な開かずの踏切を訪れ、どのぐらい閉じているのか、検証した。
【調査の方法】平日朝の8時から9時までの遮断時間を計った
調査したのは首都圏の「開かずの踏切」5か所。一部の鉄道会社や路線に偏らないようにピックアップした。なお、今回は比較しやすいように、複線区間の踏切の調査に限った。
調査は1月半ばの平日、朝8時から9時までの1時間とした。ストップウォッチを用意し、開いている時間と閉まっている時間(=「遮断時間」)を計測した。手動で測ったために、若干の誤差が生じたことはお許しいただきたい。
最初に今回、5か所の踏切を計測して分かったワースト記録を見ていこう。
最長遮断時間 | 10分43秒 | JR南武線「平間駅前踏切」 |
遮断時間の合計 | 55分35秒 | 京王電鉄・京王線「芦花公園第5踏切」 |
遮断時間の平均時間 | 4分56秒 | 京浜急行電鉄・京急本線「品川第1踏切」 |
遮断機が閉じた回数 | 最大20回 | JR山手貨物線「青山街道踏切」 |
列車通過本数 | 最大48本 (上り下り合わせ) | ・京王電鉄・京王線「芦花公園第5踏切」 ・西武鉄道・西武新宿線「井荻第6踏切」 (2つの踏切とも通過本数は同じ) |
上記のような結果となった。最長遮断時間はJR南武線の「平間駅前踏切」だった。ここでは「無謀横断」が多く見られた。
一方、遮断時間の合計が長いのは京王線の「芦花公園第5踏切」だった。とはいうもののここでは「無謀横断」は皆無だった。「無謀横断」に関しては、近くに迂回路があること、また遮断時間の長短、開閉回数の多さなど複合的な問題が絡むことが調査から分かった。
列車本数の多いことが、必ずしも遮断時間が長くすることに結びつかないことも分かった。たとえば西武鉄道の「井荻第6踏切」は、列車本数が京王線と並び多かったにも関わらず、今回、調査した踏切の中では、最も遮断された合計時間が短かった。どうしてこのような差が生じたのか、それぞれの踏切の事情を含めて検証していきたい。