【開かずの踏切①】最長10分以上も閉まる南武線の名物踏切
◆JR南武線「平間駅前踏切」(神奈川県川崎市中原区)
◆最寄り駅:平間駅
平間駅前踏切はJR南武線の平間駅を出てすぐ北側にある。県道111号線に設けられた踏切でクルマの通行量が多い。歩行者も多いが道幅が狭く歩道が無い。通勤・通学のピーク時はごった返す。国土交通省では、こうした踏切を「歩道が狭隘な踏切」として問題視している。
◇調査結果(調査日2020年1月14日)
通過列車数 | ・上り(川崎方面)21本 ・下り(立川方面)23本 |
遮断機が閉じた回数 | 15回 |
遮断時間の合計 | 49分47秒 |
遮断時間の平均時間 | 3分19秒 |
最長遮断時間 | 10分43秒 (AM8時6分〜17分、通過列車数:上り4本、下り5本) |
開いた時間の合計 | 10分13秒 |
開いた時の平均時間 | 41秒 |
開いた時の最長時間 | 1分43秒(AM8時57分〜58分) |
実はこの踏切は、通過する列車の本数は、上り下り合わせて44本でほかの踏切に比べてそれほど多いわけではない。ところが10分以上という、最長の遮断時間を記録した。
その原因として、踏切が駅に近いということが影響していると見られる。南武線では快速列車は10時以降の運転で、朝の時間帯、各駅停車のみの運転となる。駅そばの踏切ということで、停車する電車、発車する電車は、みなスピードを落として踏切を通る。そのため列車1本あたりの通過時間がかかる。
平間駅前踏切では遮断機が下りているのにも関わらず、渡ってしまう人が絶えない。そのため踏切の両側には多くの横断禁止の案内板が立つ。
なぜ歩行者がこの踏切に集中するのだろうか。その理由は駅の構造上の問題にある。平間駅は駅の入口が東口のみ。そのために駅の北西部に住む人、また勤め先に行く人が、この踏切を利用する。
迂回路もある。ところが、迂回路を使うとかなり遠回りになってしまう。駅の南側にある平間駅跨線人道橋がその迂回路だが、写真内の地図のA地点から迂回すると5分30秒ほどかかった。踏切を通れば、わずか40秒ほどで着いてしまう。踏切が近道になる時には、なかなか利用しないように思う。
地元、川崎市議会ではたびたび同踏切の危険性が指摘されてきた。地元では高架化事業計画を進め、令和3年から武蔵小杉駅〜矢向駅間(平間駅も含む)、立体交差化へ事業着手をする予定としている。とはいえ完成は約20年先となる。一番の解決策は平間駅の西口や地下自由通路などを設けることと思われる。ところが駅周辺には民家がすき間無く建つ。川崎市議会では短期的に効果を見いだせる踏切対策を検討しているが、なかなか容易で無いように感じた。
【開かずの踏切②】我慢の限界?遮断時間が平均して長い踏切
◆京浜急行電鉄・京急本線「品川第1踏切」(東京都品川区北品川)
◆最寄り駅:品川駅・北品川駅
「品川第1踏切」は京浜急行電鉄の京急本線・品川駅〜北品川駅間にある。JR東海道新幹線やJR在来線をまたぐ曲線区間が続く。そのため京急の電車はスピードを抑えて、このカーブ区間を走る。電車のスピードが遅めで、遮断時間が長くなりがちな踏切だ。
◇調査結果(調査日2020年1月24日)
通過列車数 | ・上り(品川方面)24本 ・下り(京急蒲田方面)23本 |
遮断機が閉じた回数 | 10回 |
遮断時間の合計 | 49分24秒 |
遮断時の平均時間 | 4分56秒 |
最長遮断時間 | 8分45秒 (AM8時27分〜35分、通過列車数:上り3本、下り4本) |
開いた時間の合計 | 10分36秒 |
開いた時の平均時間 | 40秒 |
開いた時の最長時間 | 1分8秒(AM8時41分〜42分) |
遮断機が閉まる回数は、調べた5つの踏切の中で最も少ない。しかし、遮断時間は約49分と長い。つまり1回あたりの遮断時間が長くなっている。結果を見ても、遮断時間の平均が4分56秒と調査した踏切の中で最も長かった。
この踏切でも遮断機が閉まっている時に、合間を縫って横断してしまう人が多く見られた。やはり遮断時間が平均5分近い時間は、朝の少しでも急ぎたい時にはつらい、ということを物語っているようだ。
ちなみに迂回路もある(向かい側に出るためには3分ほど余計にかかる)。迂回路を利用している人も多く見られた。
品川付近の泉岳寺駅〜新馬場駅間の1.7km区間は平成30年12月21日に東京都の都市計画化が決定している。現在、準備の段階だが、品川駅と隣の北品川駅が高架化し、3つの踏切が廃止される。すでに用地の測量が始められている。