【近鉄特急に迫る④】南大阪線・吉野線を走る特急車両は?
近鉄の路線は標準軌(1435mm)の路線が多い。これまで紹介してきた特急用の車両もすべてが標準軌用だ。一方、JRの在来線と同じ1067mmという路線がある。それが大阪阿部野橋駅〜吉野駅間を走る南大阪線、吉野線だ。線路の幅が異なるため、南大阪線、吉野線専用の車両が走る。
「近鉄特急」の中では特異な存在と言って良いだろう。標準軌の路線を走る同タイプの車両のほかに、専用の特急車両も走っている。こちらも見ておこう。
【近鉄特急に迫る⑤】イメージを大きく変えた特急「しまかぜ」
ここまで近鉄特急として走る主な特急車両を紹介してきた。しかし、まだ紹介していない車両がある。それは50000系「しまかぜ」と、16200系「青の交響曲(シンフォニー)」だ。いずれも“観光特急”という位置づけだ。
中でも50000系「しまかぜ」は、近鉄特急を大きく変えた車両と言って良いだろう。「しまかぜ」はカフェ車両とグループ席車両をのぞき、客席すべてがプレミアムシートという豪華な車両となった。座席には本革を使用している。展望が楽しめるハイデッカー車両と、一般的な構造の平床車両の他に、グループ向けのサロン席や、和・洋の個室を用意。また2階建てのカフェ車両も連結している。
2013年に大阪難波駅〜賢島駅間と、近鉄名古屋駅〜賢島駅間の運転を開始。さらに2014年からは京都〜賢島駅間の運行も始められた。運転開始以来、観光シーズンには予約が取れないほどの人気の観光特急となっている。
「しまかぜ」と同じく観光特急として走るのが「青の交響曲(シンフォニー)」だ。こちらは南大阪線・吉野線を走る特急で、車内でスイーツや、軽食、ドリンク・アルコール類が楽しめる。大阪阿部野橋駅〜吉野駅間が1時間16分とほどほどの乗車時間、料金も運賃プラス大人730円(特急料金520円+特別車両料金210円)と手軽さが魅力となっている。吉野名物の桜・紅葉のシーズンともなるとこちらも予約が取り辛くなる。