【鉄道貨物新時代③】この春、新しい松山貨物駅が開設された
注目を浴びた石炭輸送列車の廃止だが、今年のダイヤ改正では他にどのような変化があったのだろうか。まずはJR貨物から発表された主な情報を確認しておこう。
1)松山貨物駅の移転・新設
四国内での貨物輸送は、瀬戸大橋線および予讃線で行われている。西は松山駅まで貨物列車が走り続けてきた。
この松山駅。旅客駅に隣接して貨物駅がありコンテナの積み下ろしが行われてきた。3月14日、この駅に代わり松山貨物駅と名付けられた新貨物駅がオープンした。新駅は松山駅から南西に5.9km離れた予讃線の北伊予駅〜伊予横田駅間に設けられた。同駅はコンテナ車を最大13両、取り扱い可能なコンテナホームを備えている。なお最寄りに旅客駅の南伊予駅も新設された。
貨物駅が廃止された松山駅は、今後、都市計画事業に伴い立体交差化に向けた工事が始まる。将来は駅と路線が高架上に移されるとともに、新設される駅西口方面へ伊予鉄道の路面電車線の延伸工事などが計画されている。
2)東京レールゲートの新設
東京を巡る貨物輸送の拠点、東京貨物ターミナル駅。この春、構内に「東京レールゲートWEST」が誕生した。この施設は、トラックに積まれてきた荷物を、JR貨物のコンテナに荷物を積み替える、もしくはJR貨物のコンテナに積まれて運ばれてきた荷物をトラックに積み替える「積替ステーション」として機能する。
かなりの大きさい施設だが、すでに東側にWESTの3倍規模という東京レールゲートEASTが着工された。こちらは2022年8月完成を目指している。貨物拠点駅の効率化を目指そうとする施設整備が着々と続けられているわけである。
3)新型機関車を新製
旧型の機関車との入換えをするために新型機関車の導入も活発に進められている。この春に増備されたのはEF210形式電気機関車が3両、HD300形式ハイブリット機関車が2両、DD200形式ディーゼル機関車が8両。
この車両の新製により、貨物用機関車のこれまでの運用が代わりつつある。鉄道好きにとって、最も気になるところ。春以降の動きを詳しく見ていきたい。
【鉄道貨物新時代④】東日本での運用が目立ち始めたEF66形式
ダイヤ改正と同じ日に毎年出版される「貨物時刻表」。同時刻表では、徐々に車両数が減りつつある国鉄時代に生まれた“国鉄形機関車”の気になる動きが見られた。
まずEF66形式直流電気機関車から。EF66は、寝台列車ブルートレインの牽引機としても使われた。優れた牽引性能および、使いやすさで重宝されてきた。1両のみ基本番台(27号機)が走り続け、鉄道ファンから最も注目を集める国鉄形機関車と言って良いだろう。ほかJR貨物が誕生した後に増備された100番台が33両、計34両が吹田機関区(大阪府吹田市)に配置されている。
東海道・山陽本線の主力機として長年、働いたEF66形式だが、昨年から山陽本線東福山駅までの運用に限られるようになっていた。一方、東日本での動きが活発になってきた。この春からは、東京貨物ターミナル駅〜隅田川駅間を結ぶ通称「シャトル便」の牽引を2往復担当するようになっている。
これまで西日本での活動が多かった27号機も、首都圏でその姿を見る機会ががぜん増えてきた。
【鉄道貨物新時代⑤】EF65で運用のシャトル便が2往復に減った
東日本に軸足を移す傾向が見られるEF66形式に対して、気になるのがEF65形式電気機関車の動きだ。
配置車両数は新鶴見機関区(神奈川県川崎市)に配置の37両で、車両数は昨年と変化がない(2020年2月1日現在)。全般検査で、JR更新色から元の国鉄原色に戻した姿が見られる。鉄道ファンにとってはうれしいところだ。
ところが、この春に運用変更が確認された。EF65のみが担当してきた“シャトル便”の半数(4往復→2往復に)がEF66に変更されたのである。今のところ四国、松山貨物駅への便などの牽引はそのまま残り、他の運用に大きな違いは見られないが、このシャトル便の減少は気になるところだ。
まだまだ走り続けそうなEF65だが、最も新しい車両にしても造られてから40年以上の歳月がたつ。同じくEF66の27号機は47歳という古参機である。これらの国鉄形機関車(EF66の増備機も含め)は新型機関車と比べれば性能面で見劣りする。新製機関車が増備されるに従って徐々に減っていくことになりそうだ。