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2020/4/19 18:30

新型感染症の流行に「苦悩する鉄道」−−列車運休から駅なか営業まで気になる情報を調べた

【苦悩する鉄道③】JR三島会社は定期運行の一部特急を運休

在来線の対応はどのような状況なのだろう。通勤・通学の足は、通常通りの運行が続けられている。一部の鉄道路線の減便が始まっているが、これは後述したい。まずは特急列車の運行状況から。

 

JR東日本、JR東海、JR西日本ではすでにGWを中心に臨時特急列車の運行を取りやめることを発表している。一方で、気になるのはJR三島会社の動きだ。JR三島とは、JR北海道、JR四国、JR九州のことを指す。本州三社に比べて事業規模が小さく、さらに閑散路線が多いことで、国鉄民営化当初から非常に難しいかじ取りが危惧された。

 

本州に路線網を持つJR三社からは現状、定期運行されている特急の減便は発表されていない。一方、JR三島各社からは、定期運行している特急の一部運休が発表されている。内容を見ておこう。

↑JR九州の特急「みどり」。通常時、博多駅〜早岐駅間は特急「ハウステンボス」との連結運転が行われるが、「みどり」のみでの運行が続く

 

◇JR北海道

すでに5月6日まで期間、次の列車が減便・減車が発表されている。

 

札幌駅〜旭川駅間を走る「ライラック」「カムイ」が計10本、札幌駅〜室蘭駅間を走る「すずらん」が4月23日まで計6本、以降5月6日まで計4本。札幌駅〜函館駅間を走る「北斗」の計4本が減便される予定だ。

 

さらに車両数を減らす列車も出てきている。札幌駅〜釧路駅間を走る「おおぞら」は6両編成から5両編成に減車される。札幌駅〜函館駅を走る「北斗」も通常の7両編成から、5〜6両編成に減車される。「カムイ」も一部列車が6両編成から5両編成に減車される。

 

まさに苦肉の策といった様子が窺える。5月7日以降も減便、減車の予定で、指定席の発売が中止されている。

 

◇JR四国

現在のところ、利用者が多い土讃線や、予讃線の高松駅〜松山駅間を走る特急の減便は発表されていない。一方で、予讃線・松山駅〜宇和島駅間を走る「宇和海」の1往復、高徳線の高松駅〜徳島駅間を走る「うずしお」の1往復、徳島線を走る「剣山(つるぎさん)」の1往復が5月17日までの運休が発表されている。

 

◇JR九州

三島会社の中でも特急列車の大幅な減便を予定しているのがJR九州だ。土・日曜日、GW期間に走る臨時列車に加えて、多くの定期列車も運休される。

 

4月24日〜5月31日に走る博多駅〜長崎駅間を走る「かもめ」が計330本、博多駅〜佐世保駅間を走る「みどり」「九十九島みどり」が計228本、主に博多駅〜大分駅間を結ぶ「ソニック」が計610本、大分駅〜南宮崎駅を結ぶ「にちりん」が計250本、ほか「ハウステンボス」が計596本、「きらめき」が計243本、「きりしま」が計178本、「ひゅうが」計92本、「かいおう」計46本といった具合。こうした特急列車の計2573本が運休となる予定だ。このほか区間運休となる特急列車も数多い。

 

それ以外に人気となっている観光特急の「ゆふいんの森」や「指宿のたまて箱」「海幸山幸」といった列車も大幅に減便の予定だ。いずれも土・日曜日、休日に運休となる列車が大半だが、まさに予想外の状況となりつつある。

 

大手私鉄の特急は京阪電気鉄道、西日本鉄道など一部の会社が特急列車の減便や運休を発表しているが、そのほかの大手私鉄では現状まではJRほど大きな動きは報告されていない。とはいえ観光利用が多い座席指定制の特急列車は利用者が大幅に減少しているだけに、いずれ減便といった流れが起る可能性が予想される。

 

【苦悩する鉄道④】通勤電車では窓開け対策をあの手この手でPR

大都市圏の平日の通勤・通学の足は通常通りの運行が続けられている。すでにお気付きのように、3月の初旬から各社では窓開けをうながすアナウンスが駅や、車内で行われている。ある駅構内でのアナウンスは次のようなものだ。

 

「新型コロナウィルス感染予防のお願いです。車内換気のため、全車両で複数個所の窓開けを実施しています。恐れ入りますが、お近くの窓をお開けいただき……(後略)」というアナウンスが繰り返し行われている。

 

さらに各車両の吊り広告や、車内に設置された液晶ディスプレーで、「車内窓開けのお願い」を目にするようになった。この窓開けにより、少しでも感染を防ごうと協力する姿が、ごく普通に見られるようになってきた。

↑窓明けが可能な車両では上部を開けて走る姿が当たり前になりつつある。車内の液晶ディスプレーにも左上のような表示が繰り返し映される

 

こうした「車内窓開けのお願い」の一方で、窓が開かない車両も走っている。もちろん新幹線など高速で走る列車は窓が開かない。こうした列車の換気はどのようになっているのだろう。

 

窓が開かない車両には、常に換気する装置が付いている。ベンチレーターと総称される装置で、車内の汚れた空気を風圧により吸い出し、外気を吸い込んで室内へ流す仕組みだ。新幹線や特急では7分前後で車内空気の入れ換えが行われている。最近は、心配する乗客を配慮して、「これから換気装置により、外気を取り入れ」というアナウンスを聞くことも多くなっている。

 

こうした換気により、多少の冷気が入り、車内は温度が下がりがちになる。寒がりの筆者にとっては、ややつらい時もあるが、感染症対策に少し役立てば歓迎したいところだ。

 

換気の促進はどのような効果があるのか。感染症の専門家は、車内の換気がどの程度の予防効果があるかは、「分からない」という声が多い。とはいえ、換気しないよどんだ空気よりも、換気した方がはるかに良いことは確かなようである。また感染の可能性がある通勤電車内では、ストレスを軽減する意味でも窓開けの効果は大きいように思われる。

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