JR西日本キヤ141系「ドクターWEST(ウェスト)」
西日本を広くカバーするJR西日本のドクター
2006年にJR西日本の在来線の軌道と、電気検査用に2両×2編成が導入された。元となった車両は特急用のキハ187系気動車と山陰本線などを走るキハ126系で、特急並みの走行性能を持つ。当初、愛称はなかったが、いつしか鉄道ファンの間では「ドクターWEST」の名前で呼ばれた。その後、京都鉄道博物館で「ドクターWEST」の名前で展示されたことがあり、この愛称が一般化しつつある。
◇運行の状況
2編成とも吹田総合車両所京都支所に配置。そのうち1編成は、ほとんど下関総合車両所山口支所を常駐しているため、両車両基地から出動することが多い。JR西日本の全路線と、JR四国、JR九州、線路がつながる第三セクター鉄道、私鉄の路線を幅広く検査をして回る。運転日の情報は掴みにくいが、利用者が多い東海道本線を行き来することが多く、Twitter等にも頻繁に目撃情報が報告されている。
JR九州マヤ34形 高速軌道検測車
検測車両の元祖的な車両が今も九州で活動を続ける
JRとなる前の国鉄では、長い間、保線作業員が目視による線路の検査を行っていた。列車本数が増え、列車が高速化するに従い、人の検査だけでは限界になっていた。
そのために1959年に開発されたのがマヤ34形「高速軌道検測車」だった。事業用客車のため自走はできない。そのため機関車により牽引され、検査を行ってきた。全国に10両ほど増備され、長年にわたり使われたが、各社が検査車両を新造したこともあり、ほとんどが廃車となった。現在、残るのはJR九州のマヤ34形-2009(2009は車両番号)で1978年に製造された車両だ。
◇運行の状況
JR九州では架線の検査、線路の検査にJR西日本の443系や、キヤ141系を借りて検査を行うことが多くなっている。そのためにマヤ34形の出動機会が非常に減っている。希少なためか、その動き自体が鉄道趣味誌のニュースに掲載されるほどになっている。出会ったら本当に珍しい車両になりつつある。
JR北海道マヤ35形 軌道検測車
マヤ34形に代わりJR北海道が導入した新型事業用客車
JR北海道では、国鉄から引き継がれてきたマヤ34形客車を線路の検査に使用していた。とはいえ製造から約40年が経ったこともあり、機器の古さ、そして部品が調達できないことが問題となっていた。そこで2018年に導入したのがマヤ35形軌道検測車だ。車両はJR東日本のE491系「East i-E」をベースにしたアルミニウム合金製で、北海道新幹線のH5を思わせる緑ベースに白帯が巻かれて登場した。
◇運行の状況
マヤ35形はJR北海道の全路線の検査に使われる。自走できないために、前後にキハ40系気動車を連結され走る。廃線直前の札沼線(さっしょうせん)を検測するために運行されたが、そのほか目撃情報があまりファンの間から上がってこない。窓が無く客車というよりも貨車に近い印象がある。残念ながら鉄道ファンの間では人気が薄い検測車両なのかも知れない。